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2010/11/06

【バレエ】やっぱオケって大事だね〈奇跡の響演〉ズービン・メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団/モーリス・ベジャール・バレ団/東京バレエ団

 〈奇跡の響演〉という名前に釣られて行ってきました。モーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団の合同公演(ここまでは普通の競演)に、ズービン・メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団がオーケストラピットに入るとのこと!まさに奇跡としか言いようがありません。NBSさん、商売うまいね〜。公式サイトはこちらです。
 オーケストラにとって、演奏会は自分たちが主役、オペラでは歌手と対等の立場です。しかしバレエの場合は、どちらかというと脇役で、指揮者も踊りに合わせてテンポを調整しなくてはなりません。指揮者やオケにとっても一段低い仕事と見られているとことがあって、先日の某公演のように、こんなオケだったら録音テープの方がまし、という場合もあります。そんなバレエのオケピにメータとイスラエル・フィルが入ってくれるなんて。あゝうれしや、うれしや。いったいどんな体験ができるのだろう。
 ぽん太はいまだかつてない期待を持って会場の東京文化会館に足を運んだのですが、期待に違わず、というか期待以上のすばらしい公演でした。音が普段聞き慣れているのとまったく違います。キレがあるけど柔らかくふくよか……なんだか日本酒の褒め言葉みたいですが、そんな感じです。ホルンが裏返らないとか、リズムきっちりそろってるなんてのは当たり前。色彩豊かで、さまざまな副旋律が絡み合って心地よく、小さい音も美しく繊細、しかしやるときゃやるぜ、大音量のパンチもものすごいです。最初にメータがオケピに現れた時から、会場は割れんばかりの拍手。最後のカーテンコールでは、ダンサーたちのカーテンコールが何度も繰り返され、なんだかメータが出てくるの遅いな〜などと思っていたら、何回目かにカーテンが開いたとき、メータとイスラエル・フィルの楽団員全員が舞台に並んでいました。しかも、わざわざチェロとか楽器持って。客席は大興奮でした。
 今回の公演プログラムは、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」と「春の祭典」、そして「愛が私に語りかけるもの」の音楽はマーラーの交響曲第3番の第4,5,6楽章ですから、バレエの伴奏に慣れていない指揮者やオケでも演奏しやすかったかもしれません。また、メータ&イスラエル・フィルは、今回のオケとしての来日公演のプログラムに「春の祭典」を入れているので、実は一度で二度おいしい……のかも。

 よた話しはこれくらいにして、公演の感想に戻りますが、まず東京バレエ団の「ペトルーシュカ」。よかったです。感動しました。数年前に見た時よりもツーランクいい感じ。やはり踊る方も、いい音を聞きながら踊るとワンランクくらいうまくなるのではないでしょうか。観客の感動もいい音楽でワンランクあがるので、合計ツーランクという感じ。青年を踊ったのは長瀬直義。これまであまり注目しておりませんでしたが、非常にのびのびと踊っており、感情表現も豊かでした。モーリス・ベジャール・バレエ団のように、ゆっくりとした動きの中で身体の線の美しさを見せるところまでは行ってませんが……。群舞もとても迫力がありました。例の舞台装置も、遊園地のミラーハウスのような効果が面白かったです。ベジャール版「ペトルーシュカ」は、若者が自己のなかにある他者を見いだして混乱していく、みたいな心理学くさいところがちと嫌いなのですが、その結果若者が、仲間たちと以前のようにはうまくいかなくなり、世間から浮き上がっていくところは、少ししんみりしました。
 次いでモーリス・ベジャール・バレエ団の「愛が私に語りかけるもの」。初めてみる演目ですが、マーラーの交響曲第3番の、第4,5,6楽章に振付けたものとのこと。第6楽章の部分が、ゆったりした動きが彫像のように美しく、神秘的で少し官能的で、崇高な感じを受けました。ただ最後の、いきなり黄色タイツの元気いっぱい少年が出て来て、お空に真っ赤な太陽というのは、『ツァラトストラ』の「大いなる正午」なのかもしれませんがちょっと絵が俗っぽく、「をひをひ最後がこれかい!」とツッコミたくなりました。「彼」を踊ったジュリアン・ファヴローは悪くないのですが、2年前に見た時も感じたのですが、あまりに健康的で普通のいい人っぽいのがぽん太には不満。ジル・ロマンみたいにちょっと翳りがある感じの人がいいです。
 最後はモーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団入り交じっての「春の祭典」。どしても東京バレエ団組は見劣りするけど、もうそんなの関係なし。メータ・IOPの熱演も加わって、〈奇跡の響演〉の大迫力に酔いしれるのみ。「春の祭典」といえばベジャールの出世作。もう歴史的な価値がありますね。そういえば今月は、ベジャール版「火の鳥」も見る予定ですから、これでベジャール振付けのストラヴィンスキー3大バレエを見れることになります(そういえばフォーキンの「火の鳥」も見たばかりでした……)。


<奇跡の響演>
2010年11月4日 東京文化会館
振付:モーリス・ベジャール

『ペトルーシュカ』
東京バレエ団
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

青年:長瀬直義
若い娘:佐伯知香
友人:木村和夫
魔術師:柄本武尊
3つの影:高橋竜太、氷室友、小笠原亮
4人の男:松下裕次、梅澤紘貴、井上良太、岡崎隼也
4人の若い娘:高村順子、森志織、村上美香、吉川留衣

『愛が私に語りかけるもの』
モーリス・ベジャール・バレエ団
音楽:グスタフ・マーラー(「交響曲第3番」より第4,5,6楽章)

彼:ジュリアン・ファヴロー
彼女:エリザベット・ロス
子ども:大貫真幹
子どもたち:ローレンス・ダグラス・リグ、ウィンテン・ギリアムス、ヘベルス・リアスコス、
ダニエル・サラビア・オケンド、エクトール・ナヴァロ、アドリアン・シセロン
オアナ・コジョカル、フロランス・ルルー=コルノ、キアラ・パペリーニ、
ジャスミン・カマロタ、コジマ・ムノス
大人たち:ダリア・イワノワ、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、ヴァランタン・ルヴラン
マルコ・メレンダ、キャサリーン・ティエルヘルム、那須野圭右
ダヴィッド・クピンスキー、ルイザ・ディアス=ゴンザレス、ティエリー・デバル、
ポール・クノブロック、ポリーヌ・ヴォワザール、オスカー・シャコン

『春の祭典』
モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

生贄:オスカー・シャコン
2人のリーダー:ダヴィッド・クピンスキー、柄本武尊
2人の若い男:松下裕次、マルコ・メレンダ
生贄:井脇幸江
4人の若い娘:キャサリーン・ティエルヘルム、フロランス・ルルー=コルノ、
小出領子、吉川留衣

指揮: ズービン・メータ
演奏: イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ: ラハヴ・シャニ (「ペトルーシュカ」)
メゾ・ソプラノ: 藤村実穂子 (「愛が私に語りかけるもの」)
合唱: 栗友会合唱団 (「愛が私に語りかけるもの」)
児童合唱: 東京少年少女合唱隊 (「愛が私に語りかけるもの」)

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