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2010/12/22

【バレエ】小林十市を観れて幸せ・ベジャールの『M』東京バレエ団

 ベジャールの『M』は初めてだったんですが、なかなかよかったな〜。質の高い舞台だったんじゃないかしら。以前に観た『ザ・カブキ』は、ストーリー展開に追われて慌ただしい感じがしたのですが、『M』はすっきりしていて、象徴的で、ポエジーを感じました。こちらがNBSの公式サイトです。
 『M』は三島由紀夫をモチーフとしたバレエだそうです。最後の切腹のシーンで『トリスタンとイゾルデ』の愛の死が流れたりするのを聞くと、そんな官能的なもんじゃないし、ちょっと現実の三島由紀夫と違うんじゃないかな〜という気もしもしたが、サクラが降りそそぐなか子供が切腹するシーンには日本人のDNAが刺激され、思わずジワっときてしまいました。現実の三島に即しているかどうかは別として、バレエとしてはとても良かったんじゃないでしょうか。
 これも初めて観た小林十市もよかったです。むむむ、「十一」(本名)が「四」を踊るのか……。ぽん太的には、落語家の5代目柳家小さんの孫、柳家花緑の兄といったほうがなじみ深いのですが、ベジャールが自伝で彼の『M』の「IV-シ(死)」役を誉めていることは、以前の記事で書きました。2003年に腰を痛めてバレエを引退しておりましたが、この公演で「死」を踊るために夏から準備をしていたそうです。引退して何年もたっているとは思えない引き締まった身体で、踊りも、柔軟性やジャンプ力にはやや欠けるものの、ジャンプしての回転など、キレのあるすばらしい動きをしておりました。そういったテクニックよりも、存在感、雰囲気、表現力がすばらしいです。マスクもよく、白塗りの顔でニヤリと笑うと、口紅を塗った唇の間から白い歯が見えて、ゾクっとするくらい怪しい魅力があります。彼がバレエを引退したことが、本当に残念に思われました。ただ、祖母の役は女性っぽく見えませんでした。普段から女形の修行を積んでいる歌舞伎役者だと、品の良い老女をノスタルジックな雰囲気を漂わせて演じることができるのでしょうけど、さすがにそれは無理か……。ちなみにこちらが小林十市の公式サイトです。
 聖セバスチャンの長瀬直義も、完全性と官能美をよく表現しておりましたが、さらにもうちょっとエロスが感じられるといいのですが。パンツの股上はもう2cmくらい短くしたほうが、マラーホフのパンツみたいでいいのでは?上野水香はいつもながら独特の存在感あり(ご結婚おめでとうございます)。高岸・後藤・木村の重鎮も好演。弓を射た人は弓道家かとおもったらダンサーだったんですね。たいしたもんですね。的を外して矢が誰かに突き刺さらなくてよかったです。様式に則って弓を射るしぐさが、バレエに匹敵する美しい動きであることがよくわかりました。
 舞台上に円形の大きな鏡が下がって来て、ダンサーを映し出す演出は面白かったです。盾の会の軍服姿のダンサーの迫力ある群舞とかもあればいいのに。それから全体にもう少しエロチックで退廃的な感じが出るとよかったのですが。どうも東バの男性プリンシバル陣はおじさんっぽい気が……ゴメンナサイ。


「M」
振付/美術・衣裳コンセプト:モーリス・ベジャール
音楽:黛敏郎、クロード・ドビュッシー、ヨハン・シュトラウスII世、
エリック・サティ、リヒャルト・ワーグナー、L.ポトラ/D.オリヴィエリ
2010年12月19日 東京文化会館

少年:肥田宏哉
I-イチ:高岸直樹
II-ニ:後藤晴雄
III-サン:木村和夫
IV-シ(死):小林十市
聖セバスチャン:長瀬直義
射手:永田雄大
船乗り:平野玲
女:上野水香
海上の月:渡辺理恵

【禁色】
オレンジ:吉川留衣
ローズ:奈良春夏
ヴァイオレット:田中結子

【鹿鳴館】           
円舞曲: 高村順子、乾友子、佐伯知香
松下裕次、氷室友、小笠原亮、梅澤紘貴
貴顕淑女:西村真由美、高木綾、松浦真理絵、浦川里紗

ソファのカップル: 川島麻実子、柄本武尊

海: 森志織、村上美香、岸本夏未、阪井麻美、矢島まい、川島麻実子、
寺嶋麻衣、河合眞里、許山麻有、加茂雅子、森彩子、小川ふみ、
ニ階堂由依、大塚怜衣、田島由佳、三浦菜々美、宮下加瑞、
中居歩美、縫谷美沙、波江野彩、石井初美、河谷まりあ、伝田陽美、
二瓶加奈子、飯田鈴実、政本絵美

男:  高橋竜太、松下裕次、氷室友、小笠原亮、宮本祐宜、梅澤紘貴、
柄本弾、谷口真幸、安田峻介、井上良太、柄本武尊、岡崎隼也、
杉山優一、永田雄大、中村祐司、野尻龍平、森川茉央、佐藤瑶、
竹下虎志、宮崎大樹

ピアニスト:三原淳子

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