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2010/12/13

【バレエ】ゴージャスだけど感情移入しにくい『ロミオとジュリエット』レニングラード国立バレエ

 ぽん太は、レニングラード国立バレエときくと、伝統的で地味(でちょっとチープ)な印象を持っていたのですが、今回の『ロミオとジュリエット』は演出も凝っていて、セットや衣裳もゴージャスでした。いや、ホント、お見それしました。光藍社の今回の公演の公式サイトはこちら、また光藍社作成のレニングラード国立バレエの日本語サイトはこちらです。
 ヴィノグラードフ版の『ロミオとジュリエット』を見るのはぽん太は初めて。というか、ヴィノグラードフが振り付けた作品を見るの自体が初めてだと思います。ヴィノグラードフの名前は、以前の記事で書きましたが、『海賊』の冒頭に難破シーンを持って来た人として聞いたことがあります(同一人物だよね)。
 ただしレニングラード国立バレエは、今年の7月からスペイン人のナチョ・ドゥアトが芸術監督として就任しております。ドゥアト自身も1997年には『ロミオとジュリエット』の振付けをしているようですが、今回の舞台のどこがヴィノグラードフの演出で、どこがドゥアトのアイディアなのか、浅学のぽん太にはまったくわかりませんでした。冒頭に流れた『アルハンブラ宮殿の思い出』は、明らかにドゥアトのアイディアだと思うのですが……。でも何で『アルハンブラ』?他にスペインっぽいところはないし。就任の挨拶みたいなものか?
 セットは、赤い大理石みたいな質感の天井まで届くアーチが、幾層にもなって舞台を埋め、それらを動かしたり上げ下げすることで、場面転換をしておりました。なかなか斬新で豪華です。舞踏会のシーンなども、平場で繰り広げられる踊りに合わせ、背景2階のアーチ状の窓のなかでもダンサーが踊り、まるで歌舞伎みたいな何とも不思議な光景でした。ラストシーンでは、横たわるジュリエットの背後に巨大な月が出ており、「をひをひ、墓地が屋外にあるのかい」と、つっこみたくなりました。しかも見慣れているはずの月ですが、なんか違和感があります。よく見ると、裏焼きのようです。わざとか間違いなのか……。衣裳も、時代や場所の設定は全く無視して、メタリック系が多用されたゴージャスなコスチュームでした。場面も結構省略されていて、話しがびゅんびゅん進んでいきます。「生」と「死」という役柄も、あまり効果的でないし、話しが寓話的に感じられてしまいます。全体として、様式的・象徴的で、異化された(ふふふ、懐かしい言葉)感じの舞台でした。その分、ストーリーに感情移入しにくい面があり、思わず共感してウルウルするような演出ではありませんでした。
 振付けは、テクニックとしては古典的。バルコニーシーンは、アーチでできたバルコニーの上には星がまたたき、なかなかいい雰囲気ですが、バルコニーの上にいたジュリエットが、いったん舞台袖にはけてから地面に降りて再登場して来るので、その間ロミオだけが舞台上で踊ることになるのが欠点。それも含めて、恋する二人のドキドキが、あまり伝わってきませんでした。
 ジュリエットのイリーナ・ペレンは、美人でスタイルも抜群。2年前のシーズンに『白鳥の湖』を観た(見えなかった?)時は、ちょっと肉感的な印象を受けたのですが、今回はジュリエットはかわいらしいお嬢さんという感じで、こどもこどもした感じはありませんでした。そういう面も含め「ロミオとジュリエットが恋を通じて成長する」という物語にはなっていませんでした。ロミオのニコライ・コリパエフは、その『白鳥』ではマズルカの一員でしたが、出世したのでしょうか。すらりとした若者のロミオで、悪くなかったです。マキューシオのアルジャエフ、もっと飛んだり回ったりしてほしかったです。
 指揮のパーヴェル・ブベルニコフ(ブベリニコフ?)は、昨年のマリインスキーの来日公演の『白鳥の湖』で、東京ニューシティー管弦楽団を振ってました。今回はレニングラード国立歌劇場管弦楽団。演奏は悪くありませんでしたが、先日の「奇跡の響宴」がまだ耳に残っているので、ちと物足りない気がするのはやむを得ないか。
 毎年恒例のレニングラード国立バレエ団、『白鳥』や『ジゼル』は見飽きたところもあったので、珍しい版の『ロミジュリ』が見れてよかったです。


レニングラード国立バレエ ―ミハイロフスキー劇場―
「ロミオとジュリエット」 ―全3幕―
2010年12月8日 東京文化会館
演出・振付:ヴィノグラードフ

ジュリエット:イリーナ・ペレン
ロミオ:ニコライ・コリパエフ
パリス:リシャート・ユルバリソフ
ティボルト:アレクサンドル・オマール
マキューシオ:ニコライ・アルジャエフ
生:ユリア・バラグロワ
死:エレーナ・イヴォルギナ
キャピュレット:ウラジミール・ツァル
キャピュレット夫人:アンナ・ノヴォショーロワ
モンタギュー:イリヤ・アルヒプツォフ
ヴェローナの領主:アレクセイ・マラーホフ
ロレンス神父:キリル・ミャスニコフ
ジュリエットの友人:ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ、ヴィクトリア・ザリポワ
ロミオの友人:アンドレイ・マスロボエフ、マクシム・ポドショーノフ、ニキータ・クリギン、パーヴェル・ヴィノグラードフ
隊長:アレクセイ・クズネツォフ、デニス・トルマチョフ
タランテラ:オリガ・セミョーノワ

指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

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