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2011/05/27

【歌舞伎】菊之助再発見/2011年4月新橋演舞場夜の部

 地震だ原発だで、歌舞伎の感想がすっかり滞っておりました。だいぶ時間がたって印象も薄れてしまってますが、備忘録として書いておきます。
 東日本大震災の影響で公演が次々にキャンセルとなり、約一ヶ月ぶりの芸術鑑賞でした。被災者の方々には申し訳ないけど、あ〜やっぱり舞台はい〜な〜と思いました。こちらが公式サイトです。
 驚いたのが菊之助。う〜ん、先月も見たはずなのに、ぽん太にはまったく別人に見えました。ここのところ3階席でばかり見ていて、久々の一階席だったせいからかしら……。演技や表情に気品があり、格が一段上がったみたいでした。見た目の美しさや色っぽさ・感情表現といったレベルを超えた、内面から発する神々しさ・崇高さがあって、ぽん太は最初から最後まで、ただただ見とれておりました。
 たとえば『絵本太閤記』の初菊の最初の出。許嫁の十次郎が討ち死に覚悟で戦場に赴かんとしている状況ですから、目一杯悲しそうな表情をして、泣き叫びながら出てきそうなもの。ところが菊之助は、感情を表に出さず、能面のような、深い哀しみを秘めた表情で現れました。それ以降も感情を、近代演劇のように表情や声で表すのではなく、あくまでも歌舞伎の様式的な動きのなかで表現しておりました。
 なんか一時は父ちゃんよりも恰幅がある感じでしたけど、身体も絞ったのでしょうか。体型もすっきりとし、余分な肉のなくなった顔は、目を見張るような美しさでした。しかしその美しさは肉感的なものではなく、精神的な美しさとでもいうべきものでした。玉三郎に感じるような崇高さがありました。
 動作の決まりきまりが気持ちよく、また表情が少ないため、時おり見せるちょっとした視線の動きが、とても印象的でした。
 『男女道成寺』でも、色っぽさはあるけれども、媚を売るような下品さはなく、身体の動きの美しさが感じられました。

 さて演目に戻ると、最初は『絵本太閤記』。ぽん太は初めてみる演目で、明智光秀(劇中は武智光秀)が主人公でした。ぽん太が先日みちくさした、妻が髪を切る話しは出てきませんでした。菊之助以外にも役者がそろっていて、魁春の様式的な所作、菊五郎の明るい大きさ、團十郎の怪異さなど、迫力ある贅沢な舞台でした。節電のためなのか、舞台の照明が暗めで、よけいに凄みが感じられました。
 『男女道成寺』。筋書きには名前があがっていたものの、人間国宝の常磐津一巴太夫がいなかったのが残念。ご祝儀の手ぬぐいをゲットすることができました。
 『権三と助十』は、岡本綺堂作の明るく楽しい人情話。権三の三津五郎は、芸達者で笑いのツボも押さえているけど、バカっぽさが足りないのは仕方なし。いっぽう亀三郎の助八はバカっぽさ十分で、けんかっ早いけど純な感じがよく出てました。秀調の猿回し与助も、ほんわかした味わいに芸の力を感じました。市蔵の左官屋勘太郎はいかにも嫌なヤツ。『夏祭浪花鑑』の義平次とともに、嫌なヤツ市蔵の嫌なヤツは絶品!左團次は風格があり、梅枝の小間物屋彦三郎もよかったです。


新橋演舞場
四月大歌舞伎
平成23年4月
夜の部

一、絵本太功記(えほんたいこうき)
  尼ヶ崎閑居の場
                武智光秀  團十郎
                   操  魁 春
               武智十次郎  時 蔵
                  初菊  菊之助
                佐藤正清  三津五郎
                  皐月  秀太郎
                真柴久吉  菊五郎

二、男女道成寺(めおとどうじょうじ)
        白拍子桜子実は狂言師左近  松 緑
               白拍子花子  菊之助

三、権三と助十(ごんざとすけじゅう)
                  権三  三津五郎
                  助十  松 緑
                  助八  亀三郎
              願人坊主雲哲  亀 寿
             小間物屋彦三郎  梅 枝
              願人坊主願哲  巳之助
              左官屋勘太郎  市 蔵
                石子伴作  権十郎
               猿廻し与助  秀 調
             権三女房おかん  時 蔵
              家主六郎兵衛  左團次

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