« 【バレエ】ルグリ別格!マニュエル・ルグリの新しき世界II・Bプロ | トップページ | 【バレエ】『ブラック・スワン』の……。アメリカン・バレエ・シアター《オープニング・ガラ》 »

2011/07/25

【歌舞伎】「江戸の夕映」が出色。2011年7月新橋演舞場夜の部

 こちらが本公演の公式サイトです。
 最初の「吉例寿曽我」は、いつも見る「寿曽我対面」とは違ってさしたる内容はなく、がんどう返しの仕掛けと、せり上がって来た時の錦絵のような美しさが眼目。こういうリアルなフィギュアを作ったら売れるんじゃないでしょうか。お土産コーナーで売ってる歌舞伎人形は、少しかわいくデフォルメしすぎです。梅丸くんの喜瀬川亀鶴がかわいかったです。
 続いて海老蔵の「鏡獅子」。確かに美形だし、「あの」海老蔵が女形というギャップがあり、ソツなくこなしていましたが、やはり色気や面白みにはかけ、前半は思わず昏睡。後半、獅子の精となってからは、並外れたパワーと迫力に圧倒されました。毛振りもまだまだ余裕があります。普通より50センチくらい長い特製のカツラにしてもいいのでは?今の若い海老蔵ならではの身体能力。いつぞやの「義経千本桜」の狐忠信で、平舞台から二重に両足をそろえてひとっ飛びで飛び上がってみせたのを思い出しました。
 「江戸の夕映」は平成18年に見ておもしろくなかった記憶があり、しょうじき期待していませんでしたが、思いのほかの収穫。今月で一番よかったのでは?
 前回とどこが違うのかと考えてみるに、やはり團十郎、左團次、福助、萬次郎といった役者がそろって、「歌舞伎」になっている点だと思います。だいたいこの演目、ストーリーはたいして面白くないし、序幕では武士として死ぬために蝦夷地に赴こうという実直な青年だった小六が、第三幕の蕎麦屋ではとつぜん渡世人みたいになっているのも変だし、お登勢が偶然通りかかるのもわざとらしい。現代劇っぽく演じると、学芸会みたいになってしまいます。しかし今回の舞台では、歌舞伎として「異化」されていたので、そうした矛盾が劇としての面白さとして感じられました。同じ人物が幕が変わるとまったく違ったキャラクターで出てくるのは、歌舞伎ではあたりまえです。
 團十郎の台詞まわしも、へたくそだと言う人もいますが、現代劇だったらそうかもしれませんが、歌舞伎としては独特の様式感を伴った情が感じられると、ぽん太は思います。左團次も碁会所の場で、役者としての風格でもって、時代におもねない元武士の品格と、お殿様のおおらかさを表現しておりました。福助も、おりきのような気っ風のいい姉御の役の方が、楊貴妃よりも似合ってます。萬次郎のおきんも、しっかりと芸のうまさを見せてくれました。壱太郎のお登勢もうまかわいい。
 というような周りの役者(言及しなかったひとも含めて)に恵まれて、海老蔵も好演。「戻ってくるのを皆でまちわびる」というところが意味深ですが、武士の生き方に命をかけるのと、酔っぱらって暴力事件に巻き込まれるのとでは、根本的に違うので勘違いしないように。
 男女蔵、もう少し痩せましょう。


新橋演舞場
七月大歌舞伎
平成23年7月
夜の部

一、吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)

  鶴ヶ岡石段の場
  大磯曲輪外の場
                工藤祐経  梅 玉
                曽我五郎  松 江
                曽我十郎  笑 也
               朝比奈三郎  男女蔵
                秦野四郎  弘太郎
               喜瀬川亀鶴  梅 丸
               化粧坂少将  春 猿
                大磯の虎  笑三郎
                八幡三郎  猿 弥
               近江小藤太  右 近

二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
          小姓弥生後に獅子の精  海老蔵
            家老渋井五左衛門  市 蔵
             用人関口十太夫  亀 鶴
                胡蝶の精  玉太郎
                同     吉太朗
                 局吉野  右之助
               老女飛鳥井  家 橘

三、江戸の夕映(えどのゆうばえ)
                堂前大吉  團十郎
                 おりき  福 助
                本田小六  海老蔵
                 お登勢  壱太郎
                  徳松  男女蔵
                黒岩伝内  亀 鶴
               網徳娘お蝶  宗之助
               吉田逸平太  市 蔵
              松平妻おむら  家 橘
                 おきん  萬次郎
                松平掃部  左團次

|

« 【バレエ】ルグリ別格!マニュエル・ルグリの新しき世界II・Bプロ | トップページ | 【バレエ】『ブラック・スワン』の……。アメリカン・バレエ・シアター《オープニング・ガラ》 »

芸能・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74997/52262403

この記事へのトラックバック一覧です: 【歌舞伎】「江戸の夕映」が出色。2011年7月新橋演舞場夜の部:

« 【バレエ】ルグリ別格!マニュエル・ルグリの新しき世界II・Bプロ | トップページ | 【バレエ】『ブラック・スワン』の……。アメリカン・バレエ・シアター《オープニング・ガラ》 »