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2011/07/28

【歌舞伎】仁左衛門の福岡貢に背筋ゾクゾク・2011年7月松竹座夜の部

 仁左さんが出るということで、大阪遠征して参りました。こちらが公式サイトです。
 「車引」は、孝太郎・愛之助・進之介ら、次世代の松嶋屋が勤めました。迫力があり、格調も高く、集中力が感じられる舞台でした。特にこんかい目を見張ったのは進之介。これまであまり着目しておりませんでしたが、しょうゆ顔の役者さんが多い歌舞伎界のなかで、彫りの深いごつごつした感じの表情が仁王像のように力強く、とても大きく見えました。
 続いてお目当て、「伊勢音頭恋寝刃」です。三年前の海老蔵と同じように「相の山」からの通しで、ストーリーがわかりやすかったです。仁左衛門が通し上演を大切にしていることにぽん太も賛成であることは、以前に書きました。ただ、大蔵・丈四郎と林平の追いかけっこの下りは、ちょっと長過ぎる気もしました。舞台の上を歩き回るだけになりがちなだんまりは、二見ヶ浦の観光名所をバックに、ついに太陽が上がって来て密書が読めるという時の流れの待ち遠しさが加わって、とっても面白かったです。
 「伊勢音頭恋寝刃」は夏の芝居。夏の芝居というと、「夏祭浪花鑑」も有名ですが、こちらはねっとりと汗をかく寝苦しい夜のような蒸し暑さが感じられますが、「伊勢音頭」の方は題材にも関わらず涼やかな感じがし、登場人物の服装にも清涼感がありますね。
 仁左衛門、やっぱりい〜ですね〜。福岡貢は伊勢神宮の御師(おんし)という役所。御師とは、参詣者の宿泊や参拝の世話をする、下級の神官だそうです(→Wikipedia)。さらに福岡貢は元武士でもあり、強さと柔らかさを併せ持つ複雑な人物像(「ぴんとこな」というらしい)に仁左衛門がよく似合ってます。油屋で万座のなかで侮辱され、ついに殺人に及びますが、おどろおどろしくならずに、常に美しさと色気を失わない所が、仁左衛門の真骨頂です。
 対する時蔵のお紺もびっくりするほど美しく、愛想尽かしも重くならずにさらりと演じて爽やかでした。その分、秀太郎の万野が嫌みたっぷりの憎々しい演技。前半のつっころばしの万次郎との二役で、大活躍でした。万次郎……う〜ん、若侍に見えます!恐るべし芸の力と歌舞伎ワールド。三津五郎の喜助、忠義心と料理人らしい気っ風の良さが出てました。愛之助、実直な喜助を軽くコミカルに演じ、客席を走り回って多いに客を湧かせてました。逃げ回る大蔵の松之助と、特に丈四郎の當十郎が大熱演で、面白かったです。梅枝のお岸はきれい。芸達者の彌十郎がお鹿。伊勢音頭も華やかでした。
 しかしこの狂言、さんざん滅多切りしておいて、最後は刀と折紙が戻ってめでたしめでたしというラストには、なんか違和感が感じられます。とってつけたようなハッピーエンドは、当時の芝居では多かったんでしょうか?「盟三五大切」でも、最後は突然討ち入りに加わる場面となり、不条理だとか、忠臣蔵の批判だとか言われてますが、実は「伊勢音頭恋寝刃」と同じように、単なるとってつけたハッピーエンドだったのかも。


大阪松竹座
関西・歌舞伎を愛する会 第二十回
七月大歌舞伎
平成23年7月26日
夜の部

一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)

  車 引
           藤原時平公  我 當
           舎人桜 丸  孝太郎
           舎人杉王丸  巳之助
           舎人梅王丸  愛之助
           舎人松王丸  進之介

  通し狂言
二、伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)

  相の山
  宿 屋
  追駆け
  地蔵前
  二見ヶ浦
  油 屋
  奥 庭
             福岡貢  仁左衛門
            油屋お紺  時 蔵
           料理人喜助  三津五郎
             奴林平  愛之助
            油屋お岸  梅 枝
            仲居千野  吉 弥
     徳島岩次実は藍玉屋北六  亀 蔵
     藍玉屋北六実は徳島岩次  秀 調
            油屋お鹿  彌十郎
      今田万次郎/仲居万野  秀太郎
            藤浪左膳  我 當

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