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2011/07/16

【オペラ】原発が安全と信じ続ける蝶々さんに涙・『蝶々夫人』新国立劇場

 2009年1月にババジャニアンの蝶々夫人で初めて観て、とても感動した栗山民也演出のプロダクション。公式サイトはこちらです。
 観るのが2回目なので前回ほどの驚きはありませんでしたが、今回も涙が止まりませんでした。プッチーニには『トスカ』とか『ラ・ボエーム』とか名作がいろいろあるけれど、ぽん太はいまいち感情移入できません。でも『蝶々夫人』はなぜかツボにはまる。なぜでしょう。プッチーニが日本人固有の心性をつかんでいたのでしょうか。ちなみにぽん太は、このオペラは蝶々夫人の純愛を描いたものではなく、ピンカートンに裏切られると実はわかっていながら、一方で戻って来ると信じ続けるという、複雑な心理構造を描いている考えていることは、以前の記事で書いた通り。原発は危険だとわかっていながら、それに気付かず暮らしていたわれわれの心理と同じですね。あ、純愛というのは、そもそもそういうものなのかも知れませんね。
 タイトルロールのオルガ・グリャコヴァ、声に柔らかさが欠けるのが少々気になりましたが、第2目になって緊迫感が高まってくると声質が生きてきて、歌声が胸に迫って来ました。ピンカートンのゾラン・トドロヴィッチは、真面目そうであんまり女ったらしぽくありませんでした。なんじゃ今回はシャープレスが日本人か、と高をくくっていたところ、豊かな声量で堂々たる歌いっぷり、ガタイも含めて外人に見劣りしません。甲斐栄次郎さん、プログラムを見たらウィーン国立歌劇場の専属ソリストなんですね。恐れ入りました。前回と同じキャスティングの大林智子のスズキは、そつなく安心して観ていられました。高橋淳のゴローも、蝶々さんをあの人この人に紹介する怪しい人物でありながら実は人がよさそうで、洒脱な味わいがありました。ヤマドリの松本進、声量がありますね。
 オケと指揮に関してぽん太が論評できないのは、毎度のこと。
 震災後、またこうしてオペラを鑑賞できるようになったことがうれしかったです。空席が目立ったのがちと残念でした。


蝶々夫人
Giacomo Puccini:Madama Butterfly
ジャコモ・プッチーニ/全2幕
2011年6月12日
新国立劇場・オペラ劇場

【指 揮】イヴ・アベル
【演 出】栗山民也
【美 術】島 次郎
【衣 裳】前田文子
【照 明】勝柴次朗

【蝶々夫人】オルガ・グリャコヴァ
【ピンカートン】ゾラン・トドロヴィッチ
【シャープレス】甲斐栄次郎
【スズキ】大林智子
【ゴロー】高橋 淳
【ボンゾ】島村武男
【ヤマドリ】松本 進
【ケート】山下牧子

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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