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2011/07/24

【バレエ】ルグリ別格!マニュエル・ルグリの新しき世界II・Bプロ

 原発事故の影響で、予告されていた多くのダンサーが来日せず、プログラムも大幅変更になったのが残念です。一時は公演中止も検討されたけど、ルグリの強い希望で実現したとのこと。来日してくれたアーティストには感謝するばかり。こちらが公式サイトです。
 幕開きの「ビフォア・ナイトフォール」は、演目もダンサーもぽん太は初めて。東京バレエ団の群舞を従え、エレガントでありながらどこか不安が漂う大人のダンスでした。
 続いて「ドン・キホーテ」ですが、見慣れたものとはだいぶ違うようで、どうやらヌレエフの振付けだそうです。このペアもぽん太はお初でしたが、二人とも驚異的なテクニックで、バランスが良く、踊りが正確で、回転もすばらしかったです。リュドミラ・コノヴァロワは、グラン・フェッテ前半をすべて2回転で決めてました。デニス・チェリェヴィチコは、跳び回し蹴りを連続しながら移動する技(名称不明)が、高くて見事でした。
 「モペイ」は、2年前の《マニュエル・ルグリの新しき世界》でのフォーゲルの踊りが記憶に残っています。ダンサーは木本全優という日本人。これまたぽん太は初めてでした。背が高くて顔が小さくて均整がとれており、背中の筋肉も美しい。なんでも2005年のローザンヌのファイナリストだとか。きびきびとした動きでよかったですが、まだちょっと必死そうで、ユーモアに欠けていた気がします。でも今後が楽しみです。
 さて、いよいよアイシュヴァルトとフォーゲル登場。ノイマイヤーの「椿姫」は全幕を観たことがないのですが、フォーゲルは純朴そうな青年で、オペラの「椿姫」からは想像できない穏やかで幸せそうな二人の踊りでした。
 「クリアチュア」は、アジアっぽい振付けが似合う上野水香ですが、バナと比べるとちょっと見劣りが。でも大健闘。
 前半の〆でルグリ登場。ポラコワと「マノン」の第1幕のパ・ド・ドゥを踊りました。さすがルグリ。これまでのダンサーとは全然違います。喜びが全身から満ちあふれ、一挙一動がまるで言葉のように語りかけているみたいでした。
 休憩をはさんで「サイレント・クライ」はバナのソロ。武道を思わせる動きが面白く、精神性を感じる踊りでした。
 「グラン・パ・クラシック」は……忘れた。「カノン」、木本くんが三人のなかで一番よかったような。
 「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」では、フォーゲルが白タイツ姿で登場。な、なんか、体つきが変わりましたね。以前はひょろりとして子供っぽい体型だった気がしますが、太ももなどに筋肉がついて、すっかり大人っぽくなりました。長い手足が、大きくて滞空時間の長いジャンプや柔らかい動きによく映えて、会場も大興奮で拍手喝采でした。
 さて、トリはルグリとアイシュヴァルトの「オネーギン」。何年も前に、ルグリがルディエールと踊ったのを観ましたが、そのときは強い印象を受けたものの、まだ「オネーギン」のストーリーも知りませんでした。状況がつかめた今、ルグリの登場シーンを見ただけで胸にぐっとこみ上げてくるものがあります。同じ「愛」でも、先ほどの喜びに満ちあふれた「マノン」とは異なり、真剣に思い詰めた表情です。知的だが人間性に欠け、世の中を斜めに見ている偏屈なオネーギンが、遅ればせの恋の炎に翻弄され、すでに人妻であるタチアーナに思いを寄せているのです。タチアーナにとって、実はオネーギンは初恋の人。心が思わず揺らぎそうになります。オペラだと、いまや公爵夫人となったタチアーナが毅然とした態度でオネーギンに別れを告げるのですが、バレエでは愛欲の高まりの絶頂で急転直下オネーギンからの恋文を破り捨て、オネーギンは逃げるかのように走り去って行きます。ほんの短い間のバレエでしたが、「オネーギン」の全てを集約して表現しておりました。感動しました。こういう踊りは、ルグリにしかできません。


<マニュエル・ルグリの新しき世界II>Bプロ
2011年7月18日
東京文化会館

「ビフォア・ナイトフォール」
振付:ニル・クリスト 音楽:ボフスラフ・マルティヌー
ニーナ・ポラコワ、ミハイル・ソスノフスキー
高村順子-宮本祐宜、佐伯知香-松下裕次、吉川留衣-長瀬直義

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ 音楽:レオン・ミンクス
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ

「モペイ」
振付:マルコ・ゲッケ 音楽:C.P.E.バッハ
木本全優

「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、フリーデマン・フォーゲル

「クリアチュア」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
上野水香、パトリック・ド・バナ

「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ

「サイレント・クライ」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:J.S. バッハ
パトリック・ド・バナ

「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトール・グゾフスキー 音楽:フランソワ・オーベール
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ

「カノン」
振付:イリ・ブベニチェク 音楽:オットー・ブベニチェク、ヨハン・パッヘルベル
デニス・チェリェヴィチコ、ミハイル・ソスノフスキー、木本全優

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:P.I. チャイコフスキー
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル

「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:P.I. チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ

ピアノ:三原淳子(「椿姫」)

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