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2011年10月の11件の記事

2011/10/31

【歌舞伎】現代的テーマが欲しい・2011年10月国立劇場「開幕驚奇復讐譚」

 歌舞伎座が建替えとなったせいなのか、国立劇場や平成中村座など、歌舞伎の新たな試みが一斉に萌芽してきたような気がしているぽん太です。いかがおすごしですか。僕も元気です。ということで10月の国立劇場、菊五郎劇団による新作歌舞伎です。こちらが公式サイト、そしてこちらが特設サイトです。
 国立劇場の裏に諸君がずらっと整列していたので何かと思ったら、芝翫さんの葬儀の車が立ち寄るとのことでした。すばらしい芸を見せてくれありがとうございました。ご冥福をお祈りします。
 で、こんかいの公演ですが、菊之助がぐるんぐるん回るダブル宙乗りあり、なでしこジャパンのパロディの笑いあり、自害あり、時代物もあれば世話物あり、立ち回り、現代的な幻想的風景、レディ・ガガを意識した衣装、金閣寺のせり上がりあり、「実ハ」ありで、一瞬も目を離すことができない歌舞伎らしい舞台でしたが、ぽん太はいまいち満足できませんでした。というのは感動がない。思わず泣いてしまう場面が欲しかったです。確かに荷二郎の自害はありましたが、自害すればいいというものではなく、「お軽勘平」にしろ「寿司屋」にしろ、自害にいたるまでの流れに共感できなければ、感動はできません。また古典の復活上演ならまだしも、「新作」歌舞伎なのですから、現代的な感性やテーマを取り込んで欲しいところ。これではただのエンタテイメントです。
 三幕目の、奈良屋綿七が小夜二郎と長総を騙り、長総が綿七に乗り換える下りが、芝居として面白かったです。
 菊五郎はあいかわらずうまい。恒例の千穐楽のお楽しみは最後の「バレちゃった?」か。時蔵の長総、藤白安同に諌言する道義心ある妻が、いつの間にか小夜二郎といい感じになり、奈良屋綿七に寝返ったかと思うと、いつのまにか盗賊のおかみさん風を吹かせるという、節操がないというか変わり身が早い人物を、いやったらしくならずに、場面場面を歌舞伎らしく演じ分けていて見事でした。松緑・菊之助もしっかりと役を演じてました。亀三郎と松也の悪党が面白かったです。特に松也、こういう役もやるのか……。


国立劇場開場45周年記念
平成23年度(第66回)文化庁芸術祭主催
曲亭馬琴=作『開巻驚奇侠客伝』より
通し狂言 開幕驚奇復讐譚(かいまくきょうきあだうちものがたり) 五幕十場
  尾上菊五郎・尾上菊之助  両宙乗りにて術譲り相勤め申し候
2011年10月27日 国立劇場 
  尾上菊五郎=監修
  国立劇場文芸課=脚本
  国立劇場美術係=美術

発  端      新田貞方討死の場
序  幕(相模) 箱根賽の河原の場
          底倉温泉藤白家浴館の場
二幕目  九六媛仙境の場
三幕目(伊勢) 上多気宿街道筋の場
          同     旅籠屋の場
          同     店先の場
          飼坂峠の場
四幕目(河内) 千剣破村木綿張荷二郎内の場
大  詰(山城) 北山殿金閣の場

(出演)
 吉野山の仙女・九六媛/木綿張荷二郎/斯波義将:菊五郎
 藤白安同妻・長総/将軍足利義持:時蔵
 新田貞方/新田小六助則:松緑
 褄笠小夜二郎/楠姑摩姫:菊之助
 野狐銀次:亀三郎
 熊谷満実:亀寿
 野上復市:梅枝
 仙童女田鶴:右近
 宮満重:萬太郎
 小狸金太:松也
 白藤安同:権十郎
 乳母・母屋:萬次郎
 旅籠屋亭主・与九介/隅屋維盈:團蔵
 畠山満家:彦三郎
 足利義満:田之助

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2011/10/30

【バレエ】愛するギエムに思わず胸キュン/シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 Aプロ

 Aプロは、ギエムが愛をテーマにした二つの作品を踊りました。これまでぽん太はギエムというと、コンテンポラリーなど力強くエネルギッシュなバレエしか観たことがなかったので、新たな一面を見た思いでした。こちらが本日の公演の公式サイトです。
 同じ「愛」をテーマにしていながら、「マノン」と「田園の出来事」では、全く異なる愛のかたちを見せてくれました。「マノン」のギエムはとっても若々しくて愛らしく、愛の喜びが溢れ出てくるかのよな情熱的なダンスでした。ホントにギエムなのかと、双眼鏡で顔を確認したくらいです。一方「田園の出来事」は、女の盛りを過ぎた貴婦人が、若い家庭教師との間にひとときの愛の炎を燃え上がらせるという話しで、イギリスらしく、アシュトンらしく、ノスタルジックで胸がキュンとなるようなバレエでした。でも女性の観客はギエムが踊るナターリヤに感情移入すればいいので簡単ですが、メタボ中年のぽん太は、ムッルのベリヤエフに感情移入することなど恐れ多く、後藤晴雄のラキティンに我が身をなぞらえるしかなく、哀しく寂しい思いがしました。ぽん太は初めて見た演目ですが、とてもすばらしく、上質のバレエでした。
 ギエムは、愛が止めどなく溢れ出てくるような若々しいマノン、貴婦人の時ならぬ恋、ともにすばらしい表現力でした。ムッルがギエムの相手役をしっかりと踊りました。松下裕次が息子コーリアを、キレの良い踊りで好演。ラキティンの後藤晴雄が、哀愁とペーソスが感じられてよかったです。
 「白の組曲」。ラロというと、ぽん太は「スペイン交響曲」ぐらいしか聞いたことがありませんでした。民族色あふれる組曲でしたが、オーケストレーションに問題があるのか、なんかギクシャクして聴きにくい音楽でした。東京バレエ団がまあまあ健闘。
 「スプリング・アンド・フォール」も初めて観る演目。う〜ん高岸さん、肉体がオヤジになってきましたね〜。山海塾の天児牛大を見る思いでした。


シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 
HOPE JAPAN TOUR Aプロ
10月26日 東京文化会館

「白の組曲」
振付:セルジュ・リファール
音楽:エドゥアール・ラロ
シエスト: 乾友子、高木綾、渡辺理恵
テーム・ヴァリエ(パ・ド・トロワ): 奈良春夏、木村和夫、柄本弾
セレナード:小出領子
プレスト(パ・ド・サンク):岸本夏未、高橋竜太、小笠原亮、長瀬直義、宮本祐宜
シガレット:田中結子
マズルカ: 後藤晴雄
アダージュ(パ・ド・ドゥ):上野水香、柄本弾
フルート: 西村真由美
東京バレエ団

「マノン」より第一幕(寝室)のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
シルヴィ・ギエム、マッシモ・ムッル

「スプリング・アンド・フォール」よりパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:アントニン・ドヴォルザーク
吉岡美佳、高岸直樹

「田園の出来事」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:フレデリック・ショパン
ナターリヤ:シルヴィ・ギエム
ベリヤエフ(家庭教師):マッシモ・ムッル
ラキティン:後藤晴雄
ヴェラ(養女):小出領子
コーリア(息子): 松下裕次
イスライエフ:アンソニー・ダウエル
カーチャ(メイド):奈良春夏
マトヴェイ(従僕):永田雄大

指揮: アレクサンダー・イングラム
ピアノ: ケイト・シップウェイ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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2011/10/27

【バレエ】黒鳥の32回転がかすむ熊川哲也の王子『白鳥の湖』Kバレエカンパニー

 ぽん太が棲息する多摩地区でKバレエが『白鳥』をやるとのこと。しかも熊哲の王子!これは何を置いても観に行かねばなりません。こちらが公式サイトです。
 ぽん太がKバレエの『白鳥』を観るのは今回が3回目。最初は2007年2月の東京国際フォーラムで、吉田都がオデット、松岡梨絵がオディールと、白鳥と黒鳥を別のダンサーが踊るという企画。ことのき熊川哲也は踊りませんでしたが、その3ヶ月後に右膝前十字靭帯を損傷したわけです。2回目は、同じく2007年11月のオーチャードホールで行われた公演で、ベルリン国立バレエ団の中村祥子がオデット/オディール、王子は宮尾俊太郎でした。このときのぽん太の記事はこちらです。で、こんかいの3回目なので、熊哲の王子は初めてです。わくわく。
 オデット/オディールは、当初は白石あゆ美とのことでした。ぽん太は記憶にない名前ですが、Kバレエのソリストで、既に何回か観ているようです。どんな白鳥を見せてくれるのでしょうか。
 ところが会場に行ってみると、荒川祐子に交替。怪我かしら……などと思ってキャスト表をながめていると、パ・ド・トロワに出てるやん。ということは役を外されたのか?カワイソス。映画『ブラック・スワン』顔負けのドロドロが繰り広げられたのだろうか……。でも、パ・ド・トロワで踊っていた白石さんはとってもキュートで、喜びが内からあふれて来るような踊りでした。彼女のオデット/オディールも観てみたかったです。
 荒井祐子は、白鳥よりも黒鳥の方がよかったです。グラン・アダージョもうるうる感がちと不足していましたし、身体が固いのか羽の動きもピチピチしていて魚みたいでした。一転して黒鳥は、強靭な身体がマッチしており、妖艶な表情もなかなかのものでした。長いバランスの見せ場もあり、グラン・フェッテもダブルを交えて安定していました。ただその直後、熊哲が高速回転をみせ、最後は片足を上げた回転姿勢のまま止まって見せたので観客は大興奮。やっぱり主役はこっちか、という感じでした。その他ジャンプなど、熊哲の身体パフォーマンスはあいかわらずすばらしかったです。
 ロットバルトのスチュアート・キャシディ、ちょっと太ったでしょうか?少し身体が重そうで踊りにキレがなかった気がしました。友人ベンノの橋本直樹、美しく端正な踊りで良かったですが、回転はもうちょっとスピードが欲しいところ。パ・ド・トロワの遅沢佑介、なぜか元気がありませんでした。2羽の白鳥の佐藤圭、おそらくぽん太は初めて観たと思いますが、大人のエレガンスがあっていいですね。コールドもそろっていて美しかったです。オケは、所々テンポがふらついていたり、音のバランスがよくなかったりしたのが気になりました。

 演出について。過去2回の演出はよく覚えてないのですが、気がついたところをいくつか覚え書き。
王子が、冒頭から弓を持って出て来たのでびっくり。そのあとどうするのかと思っていたら、お母さんからはもっと高性能の弓をもらっていた。道化は出てこなくて、かわりに王子の友人が出てくるパターン。お城にロットバルトが一瞬あらわれる。この段階ではまだ王子とオデットは出会ってさえいないのに、何でロットバルトが城に来るのか不明。第1幕最後の「マザコン王子の憂うつ踊り」はなかった。
 第2幕、オデットが初めて現れるシーンで、勢い良くでてきた。ゆっくり出て来る方がぽん太は好きです。マイムの動きは、以前よりも洗練されて美しくなった気がします。白鳥たちの衣裳が足が見えないのは、ぽん太にとっては減点です。白鳥の群舞に、ロットバルトが絡まないで欲しい。邪魔です。
 第3幕、以前はチャイコフスキーの原曲に忠実に、お妃候補が2度に分けて出て来ましたが、今回は普通に一度に出るかたちになってました。オディールのソロは、蛇使い風の音楽のほう、32回転の音楽も珍しいほうの曲で、残念ながらどちらもぽん太の好みではありません。
 第4幕のオデットと王子の踊りはなかなかよかったです。ラストはオデット、続いて王子が身を投げ、愛の力と白鳥たちの力でロットバルトをやっつけ、あの世で二人は結ばれるという結末。熊哲の振付けはストーリー性が強いせいか、結構感動して目がうるうるしてしまいました。


Tetsuya Kumakawa K-BALLET COMPANY Autumn Tour 2011
白鳥の湖 Swan Lake
2011年10月23日 府中の森芸術劇場 どりーむホール

オデット Odette / オディール Odile :荒井祐子 Yuko Arai
ジークフリード王子 Prince Siegfried :熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
ロットバルト Von Rothbart :スチュアート・キャシディ Stuart Cassidy
王妃 The Queen:柄本まりな Marina Tsukamoto
家庭教師 Tutor :小林由明 Yoshiaki Kobayashi
ベンノ-王子の友人 Benno:橋本直樹 Naoki Hashimoto
【第1幕 Act 1】
パ・ド・トロワ Pas de Trois
第1ヴァリエーション 1st Variation :白石あゆ美 Ayumi Shiraishi
第2ヴァリエーション 2nd Variation :遅沢佑介 Yusuke Osozawa
第3ヴァリエーション 3rd Variation:東野泰子 Yasuko Higashino
王子の友人たち Princes Friends
日向智子 Satoko Hinata / 中村春奈 Haruna Nakamura / 浅野真由香 Mayuka Asano / 井上とも美 Tomomi Inoue / 岩渕もも Momo Iwabuchi / 松岡恵美 Emi Matsuoka
ニコライ・ヴィユウジャーニン Nikolay Vyuzhanin / 秋元康臣 Yasuomi Akimoto / 浅田良和 Yoshikazu Asada / ビャンバ・バットボルト Byambaa Batbold / 伊坂文月 Fuzuki Isaka
【第2幕 Act 2】
4羽の白鳥 Four Cygnets
神戸里奈 Rina Kambe / 湊まり恵 Marie Minato 梶川莉絵 Rie Kajikawa / 渡部萌子 Moeko Watanabe
2羽の白鳥 Two Swans
浅川紫織 Shiori Asakawa / 佐藤圭 Kei Sato
【第3幕 Act 3】
6人の姫 Six Princesses
日向智子 Satoko Hinata / 中村春奈 Haruna Nakamura / 白石あゆ美 Ayumi Shiraishi / 浅野真由香 Mayuka Asano / 別府佑紀 Yuki Beppu / 森絵里 Eri Mori
ナポリ Neapolitan
神戸里奈 Rina Kambe / 湊まり恵 Marie Minato
小山憲 Ken Koyama / 北爪弘史 Hirofumi Kitazume
マズルカ Mazurka
岩渕もも Momo Iwabuchi / 並河会里 Eri Namikawa / 薄井友姫 Yuki Usui / 山口愛 Ai Yamaguchi
ビャンバ・バットボルト Byambaa Batbold / 伊坂文月 Fuzuki Isaka / 福田昴平 Kohei Fukuda / 合屋辰美 Tatsumi Goya
スペイン Spanish
井上とも美 Tomomi Inoue / 北見奈稚 Nachi Kitami / 國友千永 Chiei Kunitomo / 山田蘭 Ran Yamada
ニコライ・ヴィユウジャーニン Nikolay Vyuzhanin / 秋元康臣 Yasuomi Akimoto / 浅田良和 Yoshikazu Asada / 西野隼人 Hayato Nishino
白鳥 Swans / 貴族 Court Ladies and Gentlemen :Artists of K-BALLET COMPANY
●芸術監督 Artistic Director 熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
●演出・再振付 Production / Additional Choreography 熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
●原振付 Original Choreography マリウス・プティパ Marius Petipa / レフ・イワノフ Lev Ivanov
●音楽 Music ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー Peter Ilyich Tchaikovsky
●舞台美術・衣裳 Set and Costume Design ヨランダ・ソナベンド Yolanda Sonnabend / レズリー・トラヴァース Leslie Travers
●照明 Lighting Design 足立恒 Hisashi Adachi
●指揮 Conductor 井田勝大 Katsuhiro Ida
●演奏 シアター オーケストラ トーキョー THEATER ORCHESTRA TOKYO

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2011/10/26

【歌舞伎】三谷組のコメディアン獅童の「一心太助」・2011年10月新橋演舞場昼の部

 昼の部は『源平布引滝』から「義賢最期」。愛之助の義賢、獅童の行綱です。ハラで演じる前半は、いまいち面白みに欠けましたが、後半のアクションシーンになってからは、若さがプラスに出て迫力がありました。「戸板倒し」や「仏倒れ」などの体を張った立ち回りに大拍手!
 「京人形」は、左甚五郎の右近の踊りがまろやかでツヤがあり、リズムも感じられてよかったです。笑也の京人形は、鏡を懐にいれて太夫の魂が宿ったときに、もう少しぞくっとくるような色気があるといいのですが。
 「一心太助」は、「歌舞伎」だと思わなければ、面白く愉しめました。一心太助と徳川家光の二役を演じた獅童、さすがに三谷幸喜のもとでコメディアンの修行を積んだだけあって、笑いのツボと間の取り方を心得てます。ただ動きや台詞廻しに歌舞伎らしさがないので、「新宿コマ」みたいな感じでした。太助の気っ風やイナセさ、家光の殿様らしい風格の表現はまだまだ。菊五郎で観てみたいと思いました。ストーリーは、殿様と魚屋が入れ替わって、それぞれのギャップで笑わせ、悪徳商人が一部の役人と結託して利権を得ようとするというベタなものですが、良く出来ていて飽きさせず面白かったです。お仲の亀治郎、こういうシャキシャキした女性はうまいです。猿弥が老け役の大久保彦左衛門でしたが、軽妙で飄々としていてよかったです。舞台が暗転するときにボソボソつぶやいていたのがおかしかったです(たとえば「人のことをハゲと言うと、自分が禿げるんじゃぞ」みたいな)。魚河岸の差配役じつは真田幸村の旧臣という信濃屋五郎兵衛を演じた錦吾が、それらしく見えました。門之助が片目の剣豪柳生十兵衛。ほんとに器用な人だこと。
 ここまでアドリブを入れて喜劇風にやるなら、「けさ、大事件があったのを知ってるか?」というところで、まさにその日の朝に報道された愛之助と愛原実花とのラブラブ宣言に触れて欲しかったです。

新橋演舞場
芸術祭十月花形歌舞伎
平成23年10月20日 昼の部

  源平布引滝
一、義賢最期(よしかたさいご)
           木曽先生義賢  愛之助
           九郎助娘小万  笑三郎
              待宵姫  新 悟
             進野次郎  薪 車
            百姓九郎助  錦 吾
              葵御前  春 猿
     下部折平実は多田蔵人行綱  獅 童

  銘作左小刀
二、京人形(きょうにんぎょう)
             左甚五郎  右 近
            女房おとく  笑三郎
        娘おみつ実は井筒姫  春 猿
              奴照平  猿 弥
            京人形の精  笑 也

三、江戸ッ子繁昌記(えどっこはんじょうき)
  御存知 一心太助
        一心太助/徳川家光  獅 童
             女房お仲  亀治郎
            鳥居甲斐守  愛之助
             用人喜内  右 近
          大久保彦左衛門  猿 弥
             侍女豊乃  吉 弥
               鮨勝  薪 車
          信濃屋五郎兵衛  錦 吾
            柳生十兵衛  門之助
              御台所  高麗蔵
             酒井忠勝  友右衛門
            松平伊豆守  我 當

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2011/10/25

【バレエ他】勇気づけ鼓舞するギエムのボレロ「HOPE JAPAN」東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ

 この日は新国立オペラの「サロメ」の予定が入っていたので諦めていたのですが、ギエムが封印していた「ボレロ」を踊ると聞いてどうしても観たくなり、調べてみたところ昼の「サロメ」のあとなんとかハシゴできそうだったので、急遽チケットを取りました。一般発売直後にS席を押さえたのですが、買ったばっかりのスマホの操作に慣れず、購入するのに30分かかってしまってあえなく撃退。最初から取り直してなんとかE席を確保しました。バレエにしろオペラにしろ来日中止があいつぐなか、チャリティ公演を開いてくれたギエムやルグリには、ホントに頭が下がる思いです。こちらが公式サイトです。
 まずは東京バレエ団による「現代のためのミサ」。ミサということで震災つながりなのかもしれませんが、ベジャールにしては、なんかあんまりインスピレーションを感じられない振付けで、正直おもしろくありませんでした。
 次に、英国ロイヤル・バレエ団の創設者であるニネット・ド・ヴァロワの二篇の詩が朗読されました。朗読したのはアンソニー・ダウエルで、なんでも20世紀を代表するダンサーのひとりで、のちに同バレエ団の芸術監督もつとめた人だそうです。特に「満ち足りた幽霊」では、日本人とイギリス人の死者に対する思いに違いがないんだな〜と思いました。当日の会場に集まった人達の多くはバレエファンだったと思うのですが、詩の朗読が持つ言葉の力にみな深い感銘を受けていたようでした。
 「ルナ」は、アルトーの「ヘリオガバルス」に触発されてベジャールが振付けた作品で、「月」を描いたソロだそうです。静謐で祈りのようなバレエで、ギエムの一挙一動に被災者や犠牲者に捧げる気持ちが感じられました。ギエムの動きはほんとうに美しいです。
 ムッルの「アルルの女」は、草刈民代の引退公演で観た記憶があります。震災との関係は不明ですが、気迫あふれる踊りでした。
 次の「火の道」は一転して邦楽の世界で、横笛と太鼓による音楽にのせて舞いをまうというもの。音楽はそれなりに面白く、とくに太鼓は迫力がありましたが、舞いはいまいちで、あまり迫力がありませんでした。
 ルグリの「ダンス・組曲」も、2008年のエトワール・ガラで観た演目。バッハのチェロ組曲にのせて、はじめは簡単なステップから、次第に複雑な踊りへと高まっていきます。ときにはユーモラスで、さりげない動きに豊かな表現力が感じられます。ルグリ先生、ありがとう!
 藤村実穂子の歌で「十五夜お月さん」などの日本歌曲をしみじみと聞く。
 で、いよいよ最後はギエムの「ボレロ」です。ギエムが「最後のボレロ」と銘打った公演(その公式サイトはこちら)を行って、日本での「ボレロ」を封印したのが2005年。2009年のベジャール追悼公演(そのときの公式サイトはこちら)で一度封印を解き、ぽん太も「ギエムのボレロ」を観ることができました。今回は東日本大震災のチャリティということで、ギエムが再び封印を解いてくれました。秘儀的なエロティシズムよりも、健康的な力強さを感じる踊りで、「リズム」の男性ダンサーたちを勇気づけ、鼓舞しているように感じられました。
 すばらしい公演をありがとう。ギエムや、参加してくれたほかのアーティストたちに、心から感謝したいと思います。


東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ 
HOPE JAPAN
10月19日 東京文化会館

【第1部】
「現代のためのミサ」より"ジャーク"(バレエ「ダンス・イン・ザ・ミラー」より)
「ピエール・アンリ音楽/モーリス・ベジャール振付
東京バレエ団

ニネット・ド・ヴァロワによる詩「満ち足りた幽霊」「子どもの言うには・・・」
朗読:アンソニー・ダウエル

「ルナ」
ヨハン・セバスチャン・バッハ音楽/モーリス・ベジャール振付
シルヴィ・ギエム

「アルルの女」より
ジョルジュ・ビゼー音楽/ローラン・プティ振付
マッシモ・ムッル

「火の道」
舞踊:花柳壽輔  横笛:藤舎名生  太鼓:林英哲

【第2部】

「ダンス組曲」より
ヨハン・セバスチャン・バッハ音楽/ジェローム・ロビンズ振付
マニュエル・ルグリ  チェロ:遠藤真理

「十五夜お月さん」「五木の子守唄」「シャボン玉」「赤とんぼ」「さくらさくら」
歌:藤村実穂子

「ボレロ」
モーリス・ラヴェル音楽/モーリス・ベジャール振付
シルヴィ・ギエム  東京バレエ団
指揮:アレクサンダー・イングラム
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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2011/10/24

【オペラ】善を求めて悪を行う哀しさ『サロメ』新国立劇場

 ぽん太が初めて観た『サロメ』はコンヴィチュニー演出だったので、ぽん太の頭のなかは( ゚д゚)ポカーンでした。今回新国立で初めてまともな(失礼!)『サロメ』を観て、ようやくどういうオペラかわかりました(*^-^)v。
 コンヴィチュニーの演出は、以前の記事にも書いたように、最後にサロメとヨハナーンが互いに手を取りあって「外部」へ出て行くというものでした。この奇抜な演出を考えた理由についてコンヴィチュニーは、「リヒャルト・シュトラウスの音楽がそのように書かれている」というようなことを言ってました。しかしぽん太は前回の『サロメ』では、演出に目を奪われて、音楽を聴いている余裕がなく、コンヴィチュニーの言っていることはよく理解できませんでした。そこで今回は、音楽に注意するよう心がけました。
 ぽん太なりに一生懸命聴いてみると、サロメが歌うときの音楽は、やはりコンヴィチュニーの言うとおり、心底から美しいものでした。冒頭で猥雑な宴から逃れて庭に出てきたときや、ヨハナーンを讃えるとき、ラストのソロなど、リヒャルト・シュトラウスが全身全霊を傾けて創った完璧な音楽だと思いました。ということは、やはりサロメは、酒池肉林の宴や姦淫などの悪徳、神学者が延々と繰り広げる無意味な議論などに嫌気がさし、何か新しいもの、真なるものを求めていたと思われます。しかし彼女もまたその時代の制約のなかにいたため、彼女の欲望は新たな世界に開かれることはなく、切り落としたヨハナーンの首に口づけするという、最も醜悪でおぞましい行為にしか到達できませんでした。
 ん〜オスカー・ワイルドの原作はどうだったんだろう?これはリヒャルト・シュトラウスの解釈なのか。ぽん太にはわかりません。
 サロメの行いには思わず顔を背けたくなる一方、良いものを求めながら最悪の行為をしてしまった彼女の哀れさに、深い悲しみを感じざるをえません。無限のエネルギーを手にして永遠の繁栄を手に入れたと信じ思いながら、取り返しのつかない放射能汚染を招いたわれわれの愚行にも重なってきます。

 サロメのエリカ・ズンネガルドは、そうしたサロメをうまく表現していました。歌はもちろんすばらしかったですが、スタイルもよく、七つのベールの踊りを見事に踊ってみせたのはびっくり。最後はぶらじゃも投げ捨てての大サービスでした。これではヘロデも言うことを聞くしかない。ヨハナーンのジョン・ヴェーグナーは、以前に新国立の『カルメン』でエスカミーリョを聞いたことがありますが、井戸の中から出て来る様子は亡霊のような迫力がありました。ヘロデのスコット・マックアリスターは、反対に芥子粒のようなせこい人間を見事に表現。
 アウグスト・エファーディングの演出は、コンヴィチュニーを観たあとでは、オーソドックスすぎてちと物足りなかったです。指揮とオケの善し悪しは、例によってぽん太にはわからず。


『サロメ』
Richard Strauss : Salome
リヒャルト・シュトラウス
2011年10月19日、新国立劇場オペラ劇場

【指 揮】ラルフ・ヴァイケルト
【演 出】アウグスト・エファーディング
【美術・衣裳】ヨルク・ツィンマーマン

【サロメ】エリカ・ズンネガルド
【ヘロデ】スコット・マックアリスター
【ヘロディアス】ハンナ・シュヴァルツ
【ヨハナーン】ジョン・ヴェーグナー
【ナラボート】望月哲也
【ヘロディアスの小姓】山下牧子
【5人のユダヤ人1】大野光彦
【5人のユダヤ人2】羽山晃生
【5人のユダヤ人3】加茂下 稔
【5人のユダヤ人4】高橋 淳
【5人のユダヤ人5】大澤 建
【2人のナザレ人1】大沼 徹
【2人のナザレ人2】秋谷直之
【2人の兵士1】志村文彦
【2人の兵士2】斉木健詞
【カッパドキア人】岡 昭宏
【奴 隷】友利 あつ子

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2011/10/23

【歌舞伎】猿之助となる亀治郎大活躍。2011年10月新橋演舞場夜の部

 新橋演舞場10月夜の部は、市川亀治郎の小栗判官で『當世流小栗判官』。さる9月27日、大ニュースが世間を賑わしました。香川照之と猿之助の和解、香川が九代目市川中車を襲名して歌舞デビュー、香川の長男が五代目市川団子として歌舞伎界入り、亀治郎が四代目市川猿之助を、そして猿之助が二代目猿翁をそれぞれ襲名するとのこと。観る方もついつい意識してしまいます。右近も最近柔らかさと遊びがそなわって華が出て来ていたのに、「猿之助」を取られて悔しくないのかな〜。まあ、血筋じゃないから仕方ないか。でも「ひょっとしたら……」なんて思ってたのかな〜などと、頭の中を妄想が駆け巡ります。まあ海●蔵があの事件で失速したあとですから、なんとか歌舞伎の人気を盛り上げて欲しいものです。
 こちらが公式サイトです。
 ぽん太はこの芝居は2006年3月の国立劇場で、右近の小栗判官で観ておりますが、あんまし覚えてません。
 小栗判官が復活を遂げた湯の峰温泉は、世界遺産に登録されているという珍しい温泉ですが、そこをぽん太が訪れた時の記事はこちらです。湯の峰温泉には、足の不自由な小栗判官が乗って来た土車を埋めたところという「車塚」や、力の回復を試すために持ち上げたという「力石」など、ゆかりの史跡もあります。
 亀治郎、なかなかよかったです。最初はちょっと固かったみたいですが、お駒を演じるあたりからはじけてきました。でもこの演目なら、もっともっとお客を意識してステージアピールしてもよかったのでは?まだ初日から間もなかったせいもあるでしょうか。
 段四郎が横山大膳役で応援。右近が口調といいリズムといい間といい、すばらしかったです。獅童の矢橋の橋蔵、面白かったけど、足腰が立たないあたりの演技がうまくなかったです。
 最後は亀治郎と笑也の二人宙乗り。二階左袖で観た甲斐があって、間近で観れて大迫力でした。


新橋演舞場
芸術祭十月花形歌舞伎
平成23年10月6日 夜の部 

猿之助四十八撰の内
通し狂言 當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)

     市川亀治郎 市川笑也
     天馬にて宙乗り相勤め申し候

    小栗判官兼氏/浪七/娘お駒  亀治郎
              照手姫  笑 也
            鬼瓦の胴八  右 近
      横山次郎/膳所の四郎蔵  猿 弥
             後家お槙  笑三郎
           浪七女房お藤  春 猿
             横山郡司  寿 猿
             横山三郎  薪 車
             局 藤浪  竹三郎
      矢橋の橋蔵/上杉安房守  獅 童
             遊行上人  愛之助
             横山大膳  段四郎

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2011/10/22

【オペラ】迫力の大合唱『イル・トロヴァトーレ』新国立オペラ

 『イル・トロヴァトーレ』というのは、ぽん太は初めて耳にした題名ですが、公演の特設サイトを開いてみると、どこかで聞いたことのある、金床をカッチンカッチン鳴らしながら歌う大合唱が流れてきました。こ、これはぽん太がガキの時分、友だちと「あんみつ・コーラ」などと言ってふざけていた曲ではないか。正式にはアンヴィル・コーラス(Anvil Chorus)というらしい。ちなみにこちらがその特設サイトですが、そのうち消えるかと思われます。公式サイトはこちらです。
 先日聞いた『ローエングリン』の初演が1850年、『イル・トロヴァトーレ』は1853年。ほとんど同時期の作品ですが、なんかヴェルディの方が古風に感じられます。
 あらすじは、まるで歌舞伎のような「先祖の因果が子に報い」みたいな話しで、実の兄弟(兄ルーナ伯爵と弟マンリーコ)がそれとは知らず、一人の女性を廻って争い、ついには殺し合いにまで発展します。運命の糸を操るのは貧しいジプシー女のアズチェーナ。兄弟の父親によって母親を火あぶりにされた仕返しに、マンリーコをさらって焚き火に投げ込んで殺そうとしますが、なぜかその瞬間に突然錯乱して自分の実の息子を焼き殺してしまいます。自分のしでかしたことに呆然とする彼女は、マンリーコを実の子供として育てます。それもいじめるわけでもなく、けっこう愛情豊かに育てているようで、アズチェーナはマンリーコを頼りにしている様子がうかがえます。マンリーコの方もアズチェーナを母として愛しているようで、母の危機を知ったマンリーコが、愛するオノーラを置いて母を救いに行くのはご存知のとおり。
 このあたりの人間関係はなんか理屈にあわず、筋が通っていませんが、そこがさまざまな解釈を生み出し、多くの人からこのオペラが愛された所以かも。
 ところで「吟遊詩人」と聞いて、ぽん太は恋多き伊達男を想像しておりましたが、筋骨たくましい武人なんですね。
 ウルリッヒ・ペータースの演出は、「死の象徴」である男優が、最初から最後まで舞台上にいるというものですが、なんか凝りすぎかも。
 歌手ではアズチェーナ役のアンドレア・ウルブリッヒが、この複雑な人物像を母親・女の情動の上に描ききって好演。レオノーラのタマール・イヴェーリとマンリーコのヴァルテル・フラッカーロもよかった気がしますが、もう忘れてきてしまいました。フェルランドの妻屋秀和が、あいかわらずの豊かな喉を聞かせてくれました。「あんみつ・コーラ」の大合唱も迫力満点でした。


イル・トロヴァトーレ
ジュゼッペ・ヴェルディ/全4幕
Giuseppe Verdi : Il Trovatore
2011年10月5日 新国立劇場オペラ劇場
[New Production]

【指 揮】ピエトロ・リッツォ
【演 出】ウルリッヒ・ペータース
【美術・衣裳】クリスティアン・フローレン
【照 明】ゲルト・マイヤー

【レオノーラ】 タマール・イヴェーリ
【マンリーコ】 ヴァルテル・フラッカーロ
【ルーナ伯爵】 ヴィットリオ・ヴィテッリ
【アズチェーナ】アンドレア・ウルブリッヒ
【フェルランド】妻屋秀和
【イネス】小野和歌子
【ルイス】鈴木 准
【老ジプシー】タン・ジュンボ
【使者】渡辺文智

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2011/10/21

【オペラ】隣りの夫婦喧嘩?『ローエングリン』バイエルン国立歌劇場

 ブログを書く間がありまへんがな……。
 NBSの海外オペラ来日公演は、いい席は高いし、安い席の抽選は1枚しか申し込めないので、ぽん太とにゃん子の二人はなかなか観に行けません。ということでバイエルンもパスするつもりだったのですが、お得なエコノミー席が売り出されたので、なんとかチケットをゲット!やった〜happy01。しかしその数日後、400人の来日予定メンバーのうち100人が、福島原発事故を理由に、来日を拒否したというニュースが……crying。ふふふ、NBSさん、やるやないの。
 こちらが今回の公演の公式サイトです。会場はばかでかいNHKホールで、席は2階の一番後ろ。なんだか遥か彼方でやっているのを遠くから眺めているという感じでしたが、値段を考えるとまずまず楽しめました。
 ワグナーの『ローエングリン』は、以前から一度観てみたいと思っていた演目。昨年のゴールデンウィークにノイシュヴァンシュタイン城を見てからは、さらに思いが募りました。ルードヴィッヒ2世が若い頃『ローエングリン』を観て魅了され、自ら扮装して楽しんだたことは有名で、城の内部にもローエングリンの絵が飾ってありました。考えてみるとこのお城は、今回の歌劇場があるミュンヘンと同じバイエルン州に属していますね。
 しかしリチャード・ジョーンズの演出は、オペラの進行にともなって、舞台上にエルザの理想とするマイホームが造られていくというもので、衣装も時代がかっていないので、思い描いていたような神話的・耽美的な美しさは感じられませんでした。おまけにローエングリン役のヨハン・ボータがかなりの太っちょで、白鳥を抱いて登場してきたときの絵柄はちょっと滑稽でした。しかし彼の名誉のために直ちに付け加えておけば、声はすばらしく、フォルテッシモでも声を張り上げている感じがなく、広いNHKホールの隅っこまで、朗々と響き渡りました。
 第三幕でのローエングリンとエルザのやりとりは、完成した新居のなかで行われるので、なんか観念的な夫と現実的な妻のあいだの、よくある夫婦喧嘩のように見えてきます。「結婚するんだから名前くらい教えてよ」というエルザの方が当たり前に思われ、名前を聞いてしまったばっかりに、大衆の面前で「正義」の名のもとに避難され、闘いのリーダーを失った責任まで追わされるのは、まことに気の毒に思えます。
 ラストシーンでは、生き返って来たエルザの弟を見て、人々が一斉に自殺しようとするのですが、こんな子供をリーダーにしても勝てっこないということでしょうか?なんだか変な演出でした。
 例によってぽん太には、オケと指揮の善し悪しはわかりません。ただ、これだけはぽん太も聞き慣れている第三幕への前奏曲は、いまいち光り輝くような迫力がなかったような気がしました。
 合唱は、なんかそろってない気がしましたが、日本人も多く混ざっていたせいか?


バイエルン国立歌劇場「ローエングリン」
2011年10月2日(日)15:00開演(会場:NHKホール)

リヒャルト・ワーグナー作曲
「ローエングリン」 全3幕
Richard Wagner
LOHENGRIN  
Oper in drei Akten

指揮:ケント・ナガノ
Musikalische Leitung Kent Nagano
演出:リチャード・ジョーンズ
Inszenierung Richard Jones
美術・衣裳 :ウルツ
Bühne und Kostüme Ultz
照明:ミミ・ジョーダン・シェリン
Licht Mimi Jordan Sherin
合唱指揮:ゼーレン・エックホフ
Chöre Sören Eckhoff

ハインリッヒ王:クリスティン・ジークムントソン
Heinrich der Vogler Kristinn Sigmundsson
ローエングリン:ヨハン・ボータ
Lohengrin Johan Botha
エルザ・フォン・ブラバント:エミリー・マギー
Elsa von Brabant Emily Magee
フリードリヒ・フォン・テルラムント伯爵:エフゲニー・ニキーチン
Friedrich von Telramund Evgeny Nikitin
オルトルート:ワルトラウト・マイヤー
Ortrud Waltraud Meier
王の伝令:マーティン・ガントナー
Heerrufer des Königs Martin Gantner

ブラバントの貴族:
フランチェスコ・ペトロッツィ、ケネス・ロバーソン、ペーター・マザラン、タレク・ナズミ
Brabantische Edle Francesco Petrozzi, Kenneth Roberson, Peter Mazalán, Tareq Nazmi
4人の小姓:バイエルン国立歌劇場合唱団ソリスト
4 Edelknaben Solistinnen des Chores der Bayerischen Staatsoper

バイエルン国立管弦楽団/バイエルン国立歌劇場合唱団
Bayerisches Staatsorchester/Chor der Bayerischen Staatsoper

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2011/10/07

【歌舞伎】仁左衛門のいがみの権太のバランス感覚 2011年巡業西コース

 ぽん太の棲息する多摩地区で、仁左衛門がいがみの権太を演じるというので、観に行ってまいりました。この日が公演全体の楽日だったようで、筋書きが売り切れてしまって買えなかったのが残念でした。こちらが公式サイトです。
 まずは『雨の五郎』。曽我五郎が、遊女化粧坂の少将に会いに廓に向かう場面を描いた長唄舞踊。愛之助はあいかわらずの美男でしたが、勇ましさが勝って、ちょっと色気や艶っぽさに欠けた気がします。
 さあ、前菜を味わったところで本日のメイン、『義経千本桜』の「すし屋」です。仁左衛門のいがみの権太は、ぽん太は初めてでした。
 実はこの話し、これまでぽん太はなんか違和感を感じてました。というのは、善人に戻った権太の行いが、頼朝の深い思量のもとでは単なる浅知恵として、すべて無駄になってしまうからです。心を入れ替えたことも、愛する妻子を犠牲にしたことも、すべてが無意味となり、おまけに父親の手によって命まで失います。これでは権太があまりにかわいそうです。
 かといっていつぞやの海老蔵の時のように(2009年1月の新橋演舞場)、権太が根っからの悪人で、「お前みたいな悪いやつがにわかに善いことしようとするから、こんな目に会うんだよ」という感じだと、たしかに筋は通りますが、なんだか『義経千本桜』全体の趣旨にあいません。
 今回の仁左衛門の演出を観て、初めて「すし屋」の筋がストンと腑に落ちました。権太はやはり根はいい人で、心を入れ替え妻子を犠牲にして忠義を尽くしたのは賞賛に値します。しかし権太をはじめ「すし屋」の登場人物たちは、平維盛をかくまっている平家方ですから、平家を否、源氏を是とする江戸時代の価値観からすれば、悲劇的結末になるのはやむを得ません。権太の善行が最終的に無駄になることで、勧善懲悪の単純な図式を超えて、善行が必ずしも報われるとは限らないということが示されます。これは『義経千本桜』全体を貫く無常観に合致します。実際にこの世の中は、懸命に努力したからといっていい結果が出るとは限らず、善を積んだからといって報われるとはかぎりません。当時の江戸の庶民も、権太の哀れな最後に我が身を重ね合わせたことでしょう。
 こちらのサイトの仁左衛門のインタビューによれば、今回の「すし屋」は仁左衛門独自の台本だそうで、全体の構成を考えてバランスよく演じる仁左衛門の力量と合わさって、ぽん太の狸脳でも理解できる演出となったのだと思います。
 仁左衛門の権太は根っからの悪人ではなく、子供に対する愛情もまごころがこもっています。母親を騙してお金をせしめるあたりは、本当に可愛らしいです。「もどり」になってから、妻子を犠牲にすることを悲しむ折々のそぶりも、目立ちすぎないけどもしっかりと演じられ、わかりやすかったです。最後の場面も涙が止まりませんでした。
 孝太郎のお里、いつもながらに体の動きによる表現力がすばらしく、「びびびびび〜」のあとの身を翻す時の動きのキレもよかったです。きびきびして積極的なお里でした。秀太郎が小せんと平維盛の二役。いろいろな役を難なくこなして、仁左衛門一座には欠かせない存在ですね。高齢ですが、ぽん太でも難なく二枚目の若者に脳内変換できます。特に弥助が「まず、まず」で維盛に変わるあたりは見事で、映画なら効果音やらカット割やら技法を駆使するところを、芸一つで表現しておりました。高麗蔵が意外と(ごめんなさい)可愛く見えました。竹三郎のお米、彌十郎の弥左衛門も達者。薪車の梶原景時はこの座組では若すぎましたが、若々しく迫力がありました。
 う〜ん、仁左衛門をこれだけ堪能してS席5500円とは、ありがたい限りです。とっても幸せな気分になりました。


巡業・平成23年度
(社)全国公立文化施設協会主催
西コース・松竹大歌舞伎
平成23年9月25日昼の部・アミューたちかわ

一、雨の五郎(あめのごろう)
          曽我五郎時致  片岡 愛之助

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

  下市村茶店の場
  同  釣瓶鮓屋の場

   茶店
          いがみの権太  片岡 仁左衛門
           主馬小金吾  片岡 愛之助
           若葉の内侍  市川 高麗蔵
            弥左衛門  坂東 彌十郎
             小せん  片岡 秀太郎

   すし屋
          いがみの権太  片岡 仁左衛門
              お里  片岡 孝太郎
              お米  坂東 竹三郎
            梶原景時  坂東 薪 車
           若葉の内侍  市川 高麗蔵
            弥左衛門  坂東 彌十郎
     弥助実は平維盛/小せん  片岡 秀太郎

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2011/10/06

【歌舞伎】情感あふれる藤十郎の『新口村』2011年9月新橋演舞場昼の部

 なんか雑事が多くで、ブログを書くひまがありません。だいぶ記憶が薄れてしまいましたが、新橋演舞場9月の昼の部です。こちらが公式サイトです。
 最初は『舌出三番叟』。滑稽な祝祭舞踊ですが、染五郎の三番叟は、柔らかさや滑稽さがいまひとつで、ちょっと物足りなかったです。千歳の歌昇の方が、しなやかで色気が感じられました。
 お次ぎは『新口村』。藤十郎が4月に演じた『封印切』の続きですね。ここのところぽん太は、歌舞伎を観に大阪に足を運ぶことが多くなり、大阪の街になじんできました。そのせいか、藤十郎の関西風の演技のよさがわかるようになってきたようです。藤十郎の忠兵衛、ホントに感動いたしました。平成19年10月に歌舞伎座で観た時は、こんなに感動しなかったんですが。
 死ぬ前にひと目父親に会っておきたい、しかしそのことで父に難儀がかかってはいけないし、養い親への義理も立たない。限界まで張りつめた葛藤を柔らかな「情」で表現する味わいは格別です。小屋の小さな窓から見える顔と手。これという動作をしているわけではないのに、さまざまな感情が伝わってきます。福助の梅川も、義父となるはずだった孫右衛門へのやさしさがにじみ出てました。歌六の孫右衛門、花道からの登場の姿がすばらしかったです。降りしきる雪のなか、息子を案じつつ、老いた体でとぼとぼと歩く姿には、いとおしさがこみ上げてきました。ぽん太の脳内では、新橋演舞場の客席が、一面雪に覆われた野原となったように思われました。吉弥の忠三郎女房は、情で流れて行くドラマのなかで、きっちりアクセントとして納まっていました。
 『寺子屋』は又五郎の武部源蔵。足をギプスで固定しているようで、動きの少ない演出でした。悪くはなかったですが、何か凄い特徴がある、という感じはしませんでした。そういう意味では、吉右衛門の松王丸の方にやはり目が行きました。前半の大きさと迫力、後半でのうってかわって子を思う父親としての心情、どちらも見事でした。歌昇の涎くりが、そこらのコンビニにたむろしている中学生みたいで面白かったです。
 『勢獅子』は鳶頭らによるイナセな踊りで、又五郎、歌昇の襲名を祝い上げました。伴奏は人間国宝の一巴太夫らの常磐津。こういう威勢のいい常磐津もあるんですね。


新橋演舞場
秀山祭九月大歌舞伎
中村歌 昇改め 三代目 中村又五郎襲名披露
中村種太郎改め 四代目 中村歌昇襲名披露
平成23年9月14日

昼の部

  再春菘種蒔
一、舌出三番叟(しただしさんばそう)
                 三番叟       染五郎
                  千歳  種太郎改め歌 昇

  恋飛脚大和往来
二、新口村(にのくちむら)
                 忠兵衛       藤十郎
                  梅川       福 助
               忠三郎女房       吉 弥
                孫右衛門       歌 六

  菅原伝授手習鑑
三、寺子屋(てらこや)
                 松王丸       吉右衛門
                  千代       魁 春
                  戸浪       芝 雀
              涎くり与太郎  種太郎改め歌 昇
                 菅秀才       玉太郎
                百姓吾作       由次郎
                園生の前       福 助
                春藤玄蕃       段四郎
                武部源蔵  歌 昇改め又五郎

四、勢獅子(きおいじし)
                鳶頭鶴吉       梅 玉
                鳶頭雄吉  種太郎改め歌 昇
                  鳶頭       松 江
                  鳶頭       亀 寿
                  鳶頭       種之助
                 手古舞       米 吉
                 手古舞       隼 人
                 手古舞       歌 江
                鳶頭亀吉       松 緑

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