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2011/10/24

【オペラ】善を求めて悪を行う哀しさ『サロメ』新国立劇場

 ぽん太が初めて観た『サロメ』はコンヴィチュニー演出だったので、ぽん太の頭のなかは( ゚д゚)ポカーンでした。今回新国立で初めてまともな(失礼!)『サロメ』を観て、ようやくどういうオペラかわかりました(*^-^)v。
 コンヴィチュニーの演出は、以前の記事にも書いたように、最後にサロメとヨハナーンが互いに手を取りあって「外部」へ出て行くというものでした。この奇抜な演出を考えた理由についてコンヴィチュニーは、「リヒャルト・シュトラウスの音楽がそのように書かれている」というようなことを言ってました。しかしぽん太は前回の『サロメ』では、演出に目を奪われて、音楽を聴いている余裕がなく、コンヴィチュニーの言っていることはよく理解できませんでした。そこで今回は、音楽に注意するよう心がけました。
 ぽん太なりに一生懸命聴いてみると、サロメが歌うときの音楽は、やはりコンヴィチュニーの言うとおり、心底から美しいものでした。冒頭で猥雑な宴から逃れて庭に出てきたときや、ヨハナーンを讃えるとき、ラストのソロなど、リヒャルト・シュトラウスが全身全霊を傾けて創った完璧な音楽だと思いました。ということは、やはりサロメは、酒池肉林の宴や姦淫などの悪徳、神学者が延々と繰り広げる無意味な議論などに嫌気がさし、何か新しいもの、真なるものを求めていたと思われます。しかし彼女もまたその時代の制約のなかにいたため、彼女の欲望は新たな世界に開かれることはなく、切り落としたヨハナーンの首に口づけするという、最も醜悪でおぞましい行為にしか到達できませんでした。
 ん〜オスカー・ワイルドの原作はどうだったんだろう?これはリヒャルト・シュトラウスの解釈なのか。ぽん太にはわかりません。
 サロメの行いには思わず顔を背けたくなる一方、良いものを求めながら最悪の行為をしてしまった彼女の哀れさに、深い悲しみを感じざるをえません。無限のエネルギーを手にして永遠の繁栄を手に入れたと信じ思いながら、取り返しのつかない放射能汚染を招いたわれわれの愚行にも重なってきます。

 サロメのエリカ・ズンネガルドは、そうしたサロメをうまく表現していました。歌はもちろんすばらしかったですが、スタイルもよく、七つのベールの踊りを見事に踊ってみせたのはびっくり。最後はぶらじゃも投げ捨てての大サービスでした。これではヘロデも言うことを聞くしかない。ヨハナーンのジョン・ヴェーグナーは、以前に新国立の『カルメン』でエスカミーリョを聞いたことがありますが、井戸の中から出て来る様子は亡霊のような迫力がありました。ヘロデのスコット・マックアリスターは、反対に芥子粒のようなせこい人間を見事に表現。
 アウグスト・エファーディングの演出は、コンヴィチュニーを観たあとでは、オーソドックスすぎてちと物足りなかったです。指揮とオケの善し悪しは、例によってぽん太にはわからず。


『サロメ』
Richard Strauss : Salome
リヒャルト・シュトラウス
2011年10月19日、新国立劇場オペラ劇場

【指 揮】ラルフ・ヴァイケルト
【演 出】アウグスト・エファーディング
【美術・衣裳】ヨルク・ツィンマーマン

【サロメ】エリカ・ズンネガルド
【ヘロデ】スコット・マックアリスター
【ヘロディアス】ハンナ・シュヴァルツ
【ヨハナーン】ジョン・ヴェーグナー
【ナラボート】望月哲也
【ヘロディアスの小姓】山下牧子
【5人のユダヤ人1】大野光彦
【5人のユダヤ人2】羽山晃生
【5人のユダヤ人3】加茂下 稔
【5人のユダヤ人4】高橋 淳
【5人のユダヤ人5】大澤 建
【2人のナザレ人1】大沼 徹
【2人のナザレ人2】秋谷直之
【2人の兵士1】志村文彦
【2人の兵士2】斉木健詞
【カッパドキア人】岡 昭宏
【奴 隷】友利 あつ子

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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