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2011/11/13

【バレエ】これは新国立の財産や 「パゴダの王子」新国立劇場バレエ団

 ビントレーの「パゴダの王子」を観てきました。こちらが公式サイト、そしてこちらが特設サイトです。
 昨シーズンから新国立劇場舞踏芸術監督となったデヴィッド・ビントレーですが、「アラジン」、「ペンギン・カフェ」と、なんかアメリカのショーみたいで、ぽん太はいまひとつピンと来ませんでした。でも今回は、だんだん目が慣れてきたのか、なかなか楽しめましたし、感動もいたしました。
 新国立劇場バレエ団は、牧阿佐美前芸術監督のときは、一流ダンサーのフィーチャリング方式で世界水準のパフォーマンスを観ることがでましたが、ビントレーになってからは新国立バレエ団員のみによる公演が増えました。今回の舞台も日本人ダンサーだけ。でもこの作品が新国立劇場のレパートリーとして財産になるのでしょうから、ビントレーには感謝、感謝です。日本を舞台にしたこのビントレー版が、『パゴダの王子』の世界標準版になるといいのですが……。
 幕が開く前から舞台中央に道化(吉本泰久)が座り込み、軽妙なマイムで会場をくすぐります。楽しいファンサービスで、当日は祭日だったため子供達も多かったので、みな大喜びでした。吉本は幕が開いてからもユーモラスな演技がひかり、キレのいいピルエットも見せてくれました。
 主役は長田佳世と芳賀望の元Kバレエコンビ。長田さんは動きが柔らかくポーズも美しく、何も知らない少女が試練を経て成長していく様子を見事に表現してました。芳賀君も、不気味だけど魅力的なサラマンダーと、頼もしく誠実な妹思いの兄を踊り分け、複雑なピルエットのD難度の連続技も見せてくれました。ただちょっと身体が固いのが気になり、前後に足を開くジャンプなど、少し物足りなかったです。川村真樹の女王エピーヌは、これぞバレエの本道という感じの端正な踊りでしたが、この役ならもっと下衆なあだっぽさが欲しい。皇帝のトレウバエフ、第三幕で呆けてしまって富士山の中腹にいじけて引きこもっているのが面白かったです。そのあとの我が子を思っての泣き叫ぶ演技は、胸に迫るものがありました。四人の王様も、新国立にまだ詳しくないぽん太は誰が誰やらよくわからないのですが、それぞれにすばらしかったです。コール・ドもよかったです。なんかダンサー全員が、とっても生き生きとして表現力豊かに踊っていたような気がします。これもビントレーのおかげか?
 ストーリーも面白かったです。オリジナルのシナリオは問題が多かったそうですが、ビントレーがかなり手を加えたのでしょうか(注1)。さくら姫と王子が兄妹で、恋人同士ではないため、パ・ド・ドゥの雰囲気が微妙でした。いっそのこと許嫁同士という設定にした方がいいのに、などと思いながら観てたのですが、それで第三幕が結婚式じゃ、確かにありきたりのパターンですよね。
 切絵風・アールヌーヴォー風のセットも奥行きが感じられて美しかったです。衣装も面白く、特に群舞の女性の着物など、着物らしく、踊りやすく、かつエレガントでした。
 ガムランを取り入れたブリテンの音楽も格調が高く、おかげで「アラジン」のように俗っぽくならずにすみました。
 今回の公演、ぽん太はかなり満足いたしました。

(注1)新国立劇場の情報誌「ジ・アトレ」Vol.174、2011年5月号に収録されている實川絢子の「『パゴダの王子』ーー日本とイギリスをつなぐファンタジー・バレエ」に、クランコ版(1975年)とマクミラン版(1989年)のストーリーが載ってました。
 クランコ版は、十九世紀古典バレエのスタイルを踏襲し、「眠れる森の美女」「美女と野獣」「シンデレラ」「リア王」など様々な要素が混ざり合ったストーリーだったそうです。これまでサポート役だった男性ダンサーに焦点を当てたことが特色で、サラマンダーの姿に変えられた王子や、東西南北の四人の王など、個性的な男性バリエーションが沢山あったそうです。
 マクミラン版は「リア王」のように年老いた皇帝が領地を二人の娘に分け与えるところから始まるそうです。皇帝がお気に入りの妹に領地のほとんどを与えたため、嫉妬した姉が、妹の婚約者の王子を魔法でサラマンダーに変え、さらに皇帝から王冠まで奪ってしまいます。旅に出た妹は、虚栄や暴力性などを象徴する四人の王を拒絶し、サラマンダーの住むパゴダの国に到着。精神的に成長をとげた妹は宮廷に戻り、キスによって人間に戻った王子と力を合わせて、四人の王を打ち負かして王冠を取り戻し、ついに二人は結ばれる、という複雑な筋だったそうです。(2011年11月27日付記)。


パゴダの王子
[New Production]
The Prince of the Pagodas
2011年11月3日 新国立劇場オペラ劇場

【振 付】デヴィッド・ビントレー
【音 楽】ベンジャミン・ブリテン
【美 術】レイ・スミス
【照 明】沢田祐二
【指 揮】ポール・マーフィー
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

さくら姫:長田佳世 
王 子:芳賀 望 
女王エピーヌ:川村真樹 
皇 帝:M. トレウバエフ 

北の王:福田圭吾
東の王:奥村康祐
西の王:小口邦明 
南の王:厚地康雄
道化:吉本泰久
宮廷官吏:貝川鐵夫
雲:西川貴子/北原亜希/千歳美香子/今村美由起/川口藍/成田遥
  古川和則/輪島拓也/アンダーシュ・ハンマル/小柴富久修/田中俊太朗/原健太/宝満直也/宇賀大将(交替出演)
星:大和雅美/石山沙央理/奥田花純/五月女遥/盆子原美奈/益田裕子
泡:さいとう美帆/高橋有里/寺島まゆみ/寺田亜沙子/堀口純/丸尾孝子/井倉真未/加藤朋子/柴田知世/細田千晶
タツノオトシゴ:八幡顕光/江本拓/奥村康祐/福田圭吾/小口邦明/清水裕三郎/林田翔平(交替出演)
深海:貝川鐵夫/小柴富久修
炎:大和雅美/奥田花純/盆子原美奈/益田裕子

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