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2012/02/11

【バレエ】主役はもちろん道化です。「白鳥の湖」ボリショイ・バレエ

 ド迫力の「スパルタクス」に続いて、定番の「白鳥の湖」を観てきました。こちらが公式サイトです。
 会場についてキャスト表を見てみると、なんと岩田守弘という名前が!!ソワレだけの出演かと思ってたぽん太は、狂喜乱舞・歯舞色丹でした。ソビエト時代から単身異国にわたり、ボリショイのソリストにまで上り詰めた才能と努力には、頭が下がる思いです。ボリショイのダンサーたちに囲まれると、とってもちっちゃく見えますが、ひときわ高いジャンプや鋭い回転を披露するたびに、客席からは盛大な拍手が巻き起こりました。特に第一幕の道化クルクルでは、見事なピルエットの連続に拍手が起きたのですが、さらにそこからターボがかかってもう一段スピードが上がるという素晴らしいパフォーマンスでした。あゝ、いいもの観たな。今シーズン限りで現役引退なんてもったいない……。
 オデット/オディールは、「スパルタクス」に引き続きルンキナです。軽くて柔らかい踊りなのでオデットの方が合ってるかとぽん太は思ったのですが、チラシ(A3のでかいやつ)のインタビューによれば、ルンキナ自身はオディールの方が踊りやすいと言ってました。
 実際に見てみると、確かにオディールの方がよく、妖艶さにはやや欠けますが、弾けた感じで勢いがあります。いっぽうオデットは意外と体の硬さが気になり、か弱さを見せようとしてなのか、黒鳥との対比を強調しようとしたためなのか、なんだか力が抜けているように見えてしまいました。とはいっても、すばらし踊りだったことは間違いありません。
 王子のチュージンは、ぽん太は初めて見ましたが、手足がすらりと長く、立ち姿がなかなか美しいです。ジャンプ力は驚くほどではありませんが、脚を広げて飛んだ時など、とても大きく優雅に見えます。
 こんかいのグレゴローヴィチ版はロッドバルドの踊りが多いのですが、ラントラートフが悪魔らしい雰囲気をかもし出しながら見事に踊りました。
 この版では、第一幕の最後の時点で、ロットバルトが王子に影のようにまとわりついて踊るパ・ド・ドゥがあります。ということは、ロットバルトはオデットを白鳥に変えたフクロウの化け物ではなくて、人間の心に潜む抽象的な悪との設定か。またラストではオデットが死んで、王子は崩れ落ちて終わりますが、見終わったあとどっぷりと気分が暗くなるので、ぽん太はハッピーエンドの方がいいです。
 パ・ド・トロワはもちろんのこと、コール・ドの一人ひとりの踊りも美しく、第一幕の群舞を眺めているだけで、「バレエ」としての美しさに感動で目がうるうるしてきました。
 舞台美術も重厚で美しく、場面転換もスピーディー。ボリショイ劇場管弦楽団も、ときにアンサンブルを乱しながらも大迫力の演奏。実は激しい音楽だったんですね。普段は聞こえない声部が聞こえてきたりして、まったく違う曲に聞こえました。
 あ〜いいもの観たな。しあわせ、しあわせ。


<白鳥の湖>
The Bolshoi Ballet & The Bolshoi Theatre Orchestra
2012年2月9日マチネ 東京文化会館

台本:ユーリー・グリゴローヴィチ (ウラジーミル・ベーギチェフとワシーリー・ゲーリツェルの原台本に基づく)
プティパ・イワノフ版初演: 1895年1月15日、ペテルブルグ帝室マリインスキー劇場 グリゴローヴィチ新改訂版初演: 2001年3月2日、モスクワ・ボリショイ劇場
音楽 :ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
演出 :ユーリー・グリゴローヴィチ
振付 :マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
アレクサンドル・ゴールスキー、ユーリー・グリゴローヴィチ
美術 :シモン・ヴィルサラーゼ
音楽監督・共同制作 :パーヴェル・ソローキン
照明 :ミハイル・ソコロフ
指揮 :パーヴェル・ソローキン
管弦楽 :ボリショイ劇場管弦楽団

出演
オデット/オディール :スヴェトラーナ・ルンキナ
ジークフリート王子 :セミョーン・チュージン
王妃 (王子の母) :エカテリーナ・バリキナ
悪魔ロットバルト :ウラディスラフ・ラントラートフ
王子の家庭教師 :アレクセイ・ロパレーヴィチ
道化 :岩田守弘
王子の友人たち :アンナ・ニクーリナ、アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
儀典長 :アレクサンドル・ファジェーチェフ
ハンガリーの王女 :オルガ・マルチェンコワ
ロシアの王女 :アンナ・レベツカヤ
スペインの王女 :チナーラ・アリザーデ
ナポリの王女 :ダリーヤ・コフロワ
ポーランドの王女 :アンジェリーナ・ヴラシネツ
3羽の白鳥 :アンジェリーナ・ヴラシネツ、オルガ・マルチェンコワ、ユリア・グレベンシコーワ
4羽の白鳥 :スヴェトラーナ・パヴロワ、ユリア・ルンキナ、ダリーヤ・コフロワ、マルガリータ・シュライネル
ワルツ :アンナ・レベツカヤ、アンナ・オクネワ、マリーヤ・ヴィノグラードワ、ヤニーナ・パリエンコ、 カリム・アブドゥーリン、デニス・ロヂキン、 アルテミー・ベリャコフ、ミハイル・クリュチコフ

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