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2012/04/14

【歌舞伎】鴈治郎型の勘平を初めて見たよ。2012年4月新橋演舞場夜の部

 4月の新橋演舞場は1回しか観劇の予定が立たなかったので、五・六段目がある夜の部を選択しました。こちらが公式サイトです。
 五・六段目には、いつも観るのとは違う型があることは知っていましたが、ぽん太はこんかい初めて見ることができました。なんでも鴈治郎型というそうで、初代中村鴈治郎(安政7年(1860年)〜昭和10年(1935年))によるものだそうです。ちなみになじみの演出は、六代目尾上菊五郎(明治18年(1885年)〜昭和24年(1949年))による菊五郎型。山崎街道で勘平が花道から本舞台に入るとき、灯りがわりに火縄をクルクル回す動作や、縄で輪を作って斧定九郎の足にかけ、持ち上げてみて「妙だな」と思う仕草がありません。大きく違うのは勘平腹切りの場で、帰ってきた勘平が着る着物の柄が違いますし、担がれてきた父与市兵衛の遺体は、上手にある部屋のなかに運び込まれます。これじゃ、後で見に行くとき大変だな〜って感じです。不破数右衛門と千崎弥五郎が、人に道を尋ねながら勘平の家を訪れます。勘平が迎えに出ようとするとき、菊五郎型では母おかやが勘平にしがみつきますが、今回の型では紋付を抱え込んで着させまいとします。勘平の申し開きとなって、「撃止めたるは」のところで、不破数右衛門と千崎弥五郎が「舅殿」と言って、上手の遺骸を確認しに行きます。同時に勘平は下手奥に移動し、そこで後ろ向きのまま腹を切っています。最後に果ててゆく勘平に、母親が紋付を掛けてやります。
 ぽん太には、見慣れているせいか、菊五郎型の方がドラマチックでいいように思えました。以前に「【歌舞伎・文楽】「仮名手本忠臣蔵」六段目の勘平は成仏したのか?」という記事で書いた点ですが、こんかいの型でも、「魂魄この土に止まって……」の台詞を言ってから、連判状に血判を押す、という順序は一緒でした。いっそのこと血判を押してから「魂魄この土に止まって……」として、終幕で勘平に二番目に焼香をさせるというシーンを復活させてみたら、夜の部が「勘平の通し」という感じで筋が通って面白かったのではないでしょうか。松竹で無理なら、国立で試して欲しいです。
 亀治郎の勘平はさすがに器用で上手ですが、細かい所の味がないのと、見せ場でやたらと声を張り上げ、芝居を忘れて観客へのアピールに走ってる感じがしました。獅童の斧定九郎、見た目も細身で美しく、爬虫類のような妖しさがあってよかったですが、「五十両」の台詞は意外とあっさり。おかるの福助、まじめにやれば上手です。一文字屋お才は笑三郎の予定で楽しみにしていたのですが、病気欠場とのことでした。1ヶ月まるまる休みのようですが、お加減は大丈夫でしょうか。代役の亀鶴もまあまあ。薪車の判人源六がいい味を出してました。寿猿の与市兵衛、竹三郎のおかやは、熟練の芸。亀三郎、亀寿の不破数右衛門と千崎弥五郎が若く見えるのは仕方ないか。
 七段目は松緑の寺岡平右衛門。なんとなく台詞が一般調子ですが、こういう奴の役は似合ってます。ただ妹を思う心情はあまり伝わってきませんでした。おかるの福助、斬られそうになって花道に逃げたところで、おかしな演技をするんじゃないかとヒヤヒヤしておりましたが、どうしてどうして立派な演技で、うまさが光りました。大星由良之助の染五郎、このメンバーのなかではさすがに落ち着いてみていられます。昼行灯といったぼーっとした鷹揚さはありませんでしたが、家老らしい風格と大きさが感じられました。


新橋演舞場
四月花形歌舞伎
通し狂言 仮名手本忠臣蔵
平成24年4月 夜の部

五段目  山崎街道鉄砲渡しの場
     同 二つ玉の場
六段目  与市兵衛内勘平腹切の場
七段目  祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
     同 奥庭泉水の場
     同 炭部屋本懐の場

【五・六段目】
            早野勘平  亀治郎
            斧定九郎  獅 童
          不破数右衛門  亀三郎
           千崎弥五郎  亀 寿
          百姓与市兵衛  寿 猿
            判人源六  薪 車
          一文字屋お才  亀 鶴
            母おかや  竹三郎
           女房おかる  福 助
【七段目】
          大星由良之助  染五郎
          寺岡平右衛門  松 緑
           千崎弥五郎  亀 寿
           竹森喜多八  萬太郎
           矢間重太郎  巳之助
            大星力弥  児太郎
           仲居おつる  歌 江
            鷺坂伴内  猿 弥
            斧九太夫  錦 吾
           遊女おかる  福 助
【十一段目】
          大星由良之助  染五郎
            大星力弥  児太郎
          小汐田又之丞  廣太郎
          木村岡右衛門  廣 松
            大鷲文吾  宗之助
           竹森喜多八  萬太郎
           小林平八郎  亀 鶴

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