【バレエ】コミカルなルグリが素敵だが、ウィーン色は薄いか「こうもり」ウィーン国立バレエ団
ゴールデンウィークに入って、とても暖かい一日。ぽん太とにゃん子は、上野の東京文化会館に、ウィーン国立バレエ団の「こうもり」を観に行ってきました。公式サイトはこちらです。
上野は動物園にパンダを見に来たのか、家族連れでいっぱいでした。ぽん太がわからなかったのは、桜も咲いてないのに、昼間から林のなかでブルーシートを敷いて、宴を張ってた人たちがいっぱいいたこと。しかも20代から30代くらいの女性のグループも多かったです。なんだろう。ハイキングがはやりなんでしょうか。
バレエの「こうもり」は、今年の2月に新国立で観たばかり。それも悪くはありませんでしたが、今日の舞台はやはり格が違いました。とてもオシャレな美しく楽しい舞台で、良質のエンタテイメントを堪能できました。
なんといってもルグリのウルリックが最高。コミカルな役を踊ったルグリは初めてみましたが、動きの一つひとつが表情豊かで、とても素晴らしかったです。踊りのキレもまだまだ健在で、ルグリの技と芸にただただ見とれるばかりでした。ペーソス感はあまりありなく、ベラに対する優しさが感じられました。ヒゲをたくわえた顔は、なんだか久米宏っぽかったです。
ベラのオルガ・エシナはとても美人でスタイルが良く、冒頭の「主婦」の時点ですでに見とれるほどの美しさ。カフェで夫を誘惑する場面では、黒鳥のようにコケティッシュな魅力を持ちつつも、どこまでも上品で優雅でした。
ヨハンのキリル・クルラーエフは、色男の二枚目的な顔ではなく、冒頭で妻のベラと無表情で気がなさそうに踊る様子は、まさに「倦怠期」という感じで寒々しくかったです。留置所でのパ・ド・ドゥでは、笑顔や恍惚ではなく、恋い焦がれて苦しんでいるかのような表情でした。一方エシナのベラは、夫を好きですきでたまらず、愛が戻った喜びにひたっている様子でした。にゃん子と長い結婚生活を送っているぽん太には、とても感動的なパ・ド・ドゥでした。
木本全優は、とても素直な美しい踊りでしたが、チャルダッシュなので、もっとアクがあってもよかったかも。ダト、デンプス、タランのギャルソン・トリオは楽しく、また群舞も素晴らしかったです。
音楽はペーター・エルンスト・ラッセン指揮の東京シティフィル。軽快で歯切れよい演奏でしたが、も少しパンチがあってもよかったかも。
「こうもり」といえばウィーンで活躍したヨハン・シュトラウスの作曲ですが、ウィーン国立バレエ団員はロシア系が多く、バレエ「こうもり」の振り付けはフランス人のローラン・プティ。美術もフランス的、芸術監督はルグリで、「ウィーン色」は弱い感じがしました。今後の発展に期待。
ウィーン国立バレエ団
「こうもり」
2012年4月30日 東京文化会館
振付・演出:ローラン・プティ
音楽:ヨハン・シュトラウスⅡ世(ダグラス・ギャムリー編曲)
舞台美術:ジャン=ミッシェル・ウィルモット
衣裳:ルイザ・スピナテッリ
装置制作・照明:ジャン=ミッシェル・デジレ
振付指導:ルイジ・ボニーノ、ジャン・フィリップ・アルノー
ベラ:オルガ・エシナ
ヨハン:キリル・クルラーエフ
ウルリック:マニュエル・ルグリ
メイド:マルタ・ドラスティコワ
グランカフェのギャルソン:ダヴィデ・ダト、マーチン・デンプス、ドゥミトル・タラン
チャルダッシュ:木本全優
看守:ガーボア・オーベルエッガー
他、ウィーン国立バレエ団
指揮:ペーター・エルンスト・ラッセン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ学校
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