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2012年4月の14件の記事

2012/04/30

【バレエ】コミカルなルグリが素敵だが、ウィーン色は薄いか「こうもり」ウィーン国立バレエ団

 ゴールデンウィークに入って、とても暖かい一日。ぽん太とにゃん子は、上野の東京文化会館に、ウィーン国立バレエ団の「こうもり」を観に行ってきました。公式サイトはこちらです。
 上野は動物園にパンダを見に来たのか、家族連れでいっぱいでした。ぽん太がわからなかったのは、桜も咲いてないのに、昼間から林のなかでブルーシートを敷いて、宴を張ってた人たちがいっぱいいたこと。しかも20代から30代くらいの女性のグループも多かったです。なんだろう。ハイキングがはやりなんでしょうか。
 バレエの「こうもり」は、今年の2月に新国立で観たばかり。それも悪くはありませんでしたが、今日の舞台はやはり格が違いました。とてもオシャレな美しく楽しい舞台で、良質のエンタテイメントを堪能できました。
 なんといってもルグリのウルリックが最高。コミカルな役を踊ったルグリは初めてみましたが、動きの一つひとつが表情豊かで、とても素晴らしかったです。踊りのキレもまだまだ健在で、ルグリの技と芸にただただ見とれるばかりでした。ペーソス感はあまりありなく、ベラに対する優しさが感じられました。ヒゲをたくわえた顔は、なんだか久米宏っぽかったです。
 ベラのオルガ・エシナはとても美人でスタイルが良く、冒頭の「主婦」の時点ですでに見とれるほどの美しさ。カフェで夫を誘惑する場面では、黒鳥のようにコケティッシュな魅力を持ちつつも、どこまでも上品で優雅でした。
 ヨハンのキリル・クルラーエフは、色男の二枚目的な顔ではなく、冒頭で妻のベラと無表情で気がなさそうに踊る様子は、まさに「倦怠期」という感じで寒々しくかったです。留置所でのパ・ド・ドゥでは、笑顔や恍惚ではなく、恋い焦がれて苦しんでいるかのような表情でした。一方エシナのベラは、夫を好きですきでたまらず、愛が戻った喜びにひたっている様子でした。にゃん子と長い結婚生活を送っているぽん太には、とても感動的なパ・ド・ドゥでした。
 木本全優は、とても素直な美しい踊りでしたが、チャルダッシュなので、もっとアクがあってもよかったかも。ダト、デンプス、タランのギャルソン・トリオは楽しく、また群舞も素晴らしかったです。
 音楽はペーター・エルンスト・ラッセン指揮の東京シティフィル。軽快で歯切れよい演奏でしたが、も少しパンチがあってもよかったかも。
 「こうもり」といえばウィーンで活躍したヨハン・シュトラウスの作曲ですが、ウィーン国立バレエ団員はロシア系が多く、バレエ「こうもり」の振り付けはフランス人のローラン・プティ。美術もフランス的、芸術監督はルグリで、「ウィーン色」は弱い感じがしました。今後の発展に期待。
 

ウィーン国立バレエ団
「こうもり」
2012年4月30日 東京文化会館

振付・演出:ローラン・プティ
音楽:ヨハン・シュトラウスⅡ世(ダグラス・ギャムリー編曲)
舞台美術:ジャン=ミッシェル・ウィルモット
衣裳:ルイザ・スピナテッリ
装置制作・照明:ジャン=ミッシェル・デジレ
振付指導:ルイジ・ボニーノ、ジャン・フィリップ・アルノー

ベラ:オルガ・エシナ
ヨハン:キリル・クルラーエフ
ウルリック:マニュエル・ルグリ
メイド:マルタ・ドラスティコワ
グランカフェのギャルソン:ダヴィデ・ダト、マーチン・デンプス、ドゥミトル・タラン
チャルダッシュ:木本全優
看守:ガーボア・オーベルエッガー
他、ウィーン国立バレエ団

指揮:ペーター・エルンスト・ラッセン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ学校

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2012/04/28

【展覧会】「BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧」展

 新国立劇場でオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を観る前に、オペラシティーのアートギャラリーで「絵描き小僧」展を観てきました。公式サイトはこちら、オペラシティーのサイトはこちらです。
 入場するといきなり、脳を片手に持った北野武がお出迎え。縁日・見世物小屋的な雰囲気の合体動物もあります。絵画は落書き風・ピカソ風のヘタウマ系。ペンキ屋の父からの影響を思わせるポップな色彩で、ユーモアに満ちております。恐竜が滅んだ理由がさまざま書かれた展示や、蒸気機関車みたいな動く巨大なミシン。旧日本軍の極秘生物兵器は、ジンベイザメを使った航空母艦に、トビウオの戦闘機が配備されており、上には懐かしい青焼きのコピーが。また、ビートたけしの昔のコントのビデオも流れてました。
 たけしが全部作ったわけではなく、アイディアだけ出して他人に作らせたものも多いですが、それはそれでいいでしょう。肩肘張らず、楽しくてユーモアあふれる展覧会でした。


BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展
Beat Takeshi Kitano, Gosse de peintre
期間:2012年4月13日[金]─ 9月2日[日]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー

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2012/04/27

【バレエ】ルグリの「ルートヴィヒ2世」にため息<ウィンナー・ガラ>ウィーン国立バレエ団

 2010年にルグリが芸術監督となった新生ウィーン国立バレエ団の初来日公演。まずは<ウィーン・ガラ>から。公式サイトはこちらです。
 ガラといってもよくある名場面集ではなく、良質の短編小説集のような、よく考えられたプログラムでした。現代的な作品が多かったですが、曲はクラシック音楽がほとんどで、小難しいコンテンポラリー風の振り付けはなく、どれも素直に楽しめました。
 ぽん太はウィーンのバレエと聞いてもイメージがわかなかったのですが、団員はロシア系が多いようです。今回の公演を観た限りはオシャレでエスプリが感じられ、どことなくパリオペっぽくて、ルグリの影響が強いのかな〜と思いました。

 「バッハ組曲第3番」は、「管弦楽組曲第3番」(有名な「アリア」が入ってるやつですネ)にノイマイヤーが振り付けたもの。「純粋バレエ」風の作品で、華やかな幕開けでした。
 「アンナ・カレーニナ」は、ダンディなエノ・ペシと、エレガントなツィンバルによる大人のムードあふれるバレエでした。
 「マリー・アントワネット」は、ルグリお気に入りのパトリック・ド・バナの振り付け。バナは同行していたようで、「ルードヴィヒ」のカーテンコールに出てきました。バロック音楽にのせて、バナらしい濃厚な色気が漂う重厚な舞台でした。
 「スキュー - ウィフ」は、ユーモラスでスピーディーな楽しい作品。ぽん太は「モペイ」を思い出しました。
 休憩をはさんて「グロウ - ストップ」は、哀愁あふれるシックな踊りでした。
 「イン・ザ・ナイト」は、ショパンのノクターンのピアノ生演奏にのせて、星空を背景に、三組のペアが順番に踊る、ロマンチックで静謐な作品。振り付けの関係かもしれませんが、ピアノの生演奏のテンポが遅く、ちょっともっさり間延びした印象を受けました。3組目に、いよいよルグリの登場。比べちゃいけないけど、格が全然違います。動作の一つひとつに、言葉のような意味と感情が感じられます。喜び・悲しみ・驚き・疑い……。情熱的に舞台袖に引っ込んだかと思ったら、一瞬の間に気を変えて、静かに一歩いっぽ舞台に歩み出るあたりの変化も見事。ピアノもルグリに触発されたのか感情がこもって来て、ショパンらしい激情が生じました。あゝすばらしい。
 2回目の休憩をはさみ、「精密の不安定なスリル」。シューベルトの交響曲「ザ・グレート」の4楽章にのせて、軽快でスピーディーな踊りが繰り広げられます。女性の緑のCDみたいなチュチュや、男性の背中があいた体操ユニフォームみたいな衣裳も面白かったです。
 「ルートヴィヒ2世-白鳥の王」で、再びルグリが登場。ド・バナの振り付けで、世界初演だそうですが、これまたため息が出るほど素晴らしかったです。ルートヴィヒ2世は、ヴィスコンティの映画も大好きだし、ノイシュバンシュタイン城も2回行ったし、ぽん太としてはけっこう思い入れがある題材です。会場で配られた配役表を見ると、音楽はワグナーとのこと。「ローエングリーン」かしら、などと思ってたら、「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲と、最後の「愛の死」でした。ルグリ演ずるルートヴィヒ2世が、心配するエリザベート皇后をよそに、謎の「湖の貴婦人」に魅かれて行くという感じでした。Wikipediaをご覧になっていただければわかりますが、エリーザベト皇后というのはルートヴィヒの奥さんではなく、オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の奥さんですね。同性愛者であり人との交わりを避けたルートヴィヒ2世が珍しく心を許した女性でしたが、エリーザベトが勧めた妹のゾフィーとの結婚をルートヴィッヒが拒否したことから、関係は悪化したようです。プログラムを買わなかったので、このバレエ作品の設定はわからないのですが、ルートヴィヒが「湖の貴婦人=白鳥」に魅了され、狂気へと近づいて行く場面のように思えます。表情豊かに踊るルグリですが、この作品では笑顔も恍惚とした表情も見せず、終始しかめつらをしており、王の苦悩が感じられました。
 最後はウィーン国立バレエの団員が多数加わって「ライモンダ」で踊りおさめました。終演は夜の10時でしたが、大満足。
 昨年「マニュエル・ルグリの新しき世界」で「モペイ」を踊った木本全優が出てました。背が高くて顔が小さくて上手ですね。他にも日本人がけっこう多いのが目につきました。
 今回の来日公演のもうひとつのプログラム「こうもり」は、言わずと知れたウィーンの作曲家ヨハン・シュトラウスのオペレッタに基づく演目。こちらでどのような舞台を見せてくれるのかも楽しみになってきました。


ウィーン国立バレエ団<ウィンナー・ガラ>
2012年4月25日 東京文化会館
 
「バッハ組曲第3番」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
マリア・ヤコヴレワ ‐ ロマン・ラツィク
橋本清香 ‐ ミハイル・ソスノフスキー
マルタ・ドラスティコワ ‐ アレクサンドル・トカチェンコ
アリーチェ・フィレンツェ ‐ ドゥミトル・タラン
澤井怜奈 ‐ ダヴィデ・ダト

「アンナ・カレーニナ」より パ・ド・ドゥ
振付:ボリス・エイフマン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アンナ:イリーナ・ツィンバル  カレーニン:エノ・ペシ

「マリー・アントワネット」より
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:ジャン=フィリップ・ラモー、ルイ・ミゲル・コボ、アントニオ・ヴィヴァルディ
マリー・アントワネット:オルガ・エシナ
ルイ16世:ロマン・ラツィク
運命:キリル・クルラーエフ

「スキュー ‐ ウィフ」
振付・衣裳:ポール・ライトフット、ソル・レオン 音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
イオアナ・アヴラム、ミハイル・ソスノフスキー、デニス・チェリェヴィチコ、マーチン・デンプス

「グロウ ‐ ストップ」
振付:ヨルマ・エロ 音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト、フィリップ・グラス
オルガ・エシナ、イリーナ・ツィンバル、リュドミラ・コノヴァロワ、アリーチェ・フィレンツェ、仙頭由貴、アンドレア・ネメトワ、
キリル・クルラーエフ、リヒャルト・ザボ、ウラジーミル・シショフ、アッティラ・バコ、エノ・ペシ、イゴール・ミロシュ

「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:フレデリック・ショパン
ナタリー・クッシュ ‐ 木本全優
アレーナ・クロシュコワ ‐ ロマン・ラツィク
ニーナ・ポラコワ ‐ マニュエル・ルグリ
イーゴリ・ザプラヴディン(ピアノ)

「精密の不安定なスリル」
振付・衣裳・照明:ウィリアム・フォーサイス 音楽:フランツ・シューベルト
リュドミラ・コノヴァロワ、玉井るい、橋本清香、木本全優、デニス・チェリェヴィチコ

「ルートヴィヒ2世‐白鳥の王」 〈世界初演〉
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:リヒャルト・ワーグナー
ルートヴィヒ2世:マニュエル・ルグリ
エリザベート皇后:マリア・ヤコヴレワ
湖の貴婦人:ニーナ・ポラコワ

「ライモンダ」よりグラン・パ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパに基づく) 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ライモンダ:オルガ・エシナ
ジャン・ド・ブリエン:ウラジーミル・シショフ
アンリエッテ:アレーナ・クロシュコワ
パ・ド・カトル:アッティラ・バコ、グレイグ・マチューズ、ドゥミトル・タラン、アレクサンドル・トカチェンコ
クレメンスとふたりの女性:マルタ・ドラスティコワ、マリア・アラーティ‐澤井怜奈    
他、ウィーン国立バレエ団

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2012/04/26

【歌舞伎】最高のエンターテイメントなれど「小笠原騒動」2012年4月平成中村座第2部

 初めて見た「小笠原騒動」ですが、スピーディーな場面展開に、お家騒動・狐・幽霊・可愛らしい子役・戻り・本水・立ち回りなど歌舞伎定番のアイテムが盛りだくさんという、サービス満点のエンターテイメントでした。でも、第1部の「法界坊」を観た後では、ちと見劣りがしたかな。勘三郎の演じる法界坊の人間像が光っていたし、一人ひとりの役者が「芸」を見せてくれた気がします。公式サイトはこちら
 ストーリーも、ちょっとわからないところがあって(筋書きを買えってか)、狐の駕篭に乗った小笠原隼人はどこへ行ったのか(家に帰っただけ?)、そのあと隼人に化けた白狐は何かしたの? 岡田良助が幽霊に取り憑かれてなぜ改心したのかも、よくわかりませんでした。ラストもなんだかすっきりしてなくって、白狐の手助けも加わって犬神兵部が倒されたかと思ったら、また刃向かいだして、壇上の犬神兵部を中心にして一同見得を切って終わりとなりました。この形の見得で終わるのなら、双方互角の乱闘からそのまま見得に突入した方がいいのに。
 勘九郎と七之助が、それぞれ善玉と悪玉の二役。七之助があいかわらずすばらしく、冒頭で養父の首を赤い布で締めた姿で現れた時は、その美しさと恐ろしさにゾクっとしました。台詞を言っている間も、布がピンと張っている方が良かった気がしますが。勘九郎もなんだか色気が出てきて、以前は忠犬ハチ公みたいだった実直さが、犬神兵部では荒事的なカラッとした感じに、飛脚小平次では江戸っ子的な勢いに感じられるようになってきました。橋之助はカッコいいし上手ですが、観客を意識したあざとさが、ときどき気になります。水車での体を張った演技には、拍手喝采です。国生がんばりましょう。扇雀も三役をこなして健闘。子役の下りが可愛らしく思えたのは、ぽん太もおじいさんになりかけているせいか。笹野高史もうまい。勘三郎の小笠原遠江守が出てきて、そのセリフ回しに、現代劇みたいだった舞台が一挙に歌舞伎らしくなりました。なるほど、歌舞伎の芸とはこういうものか……。


平成中村座 四月大歌舞伎
平成24年4月 第2部

小笠原諸礼忠孝
通し狂言 小笠原騒動(おがさわらそうどう)

  序 幕 明神ヶ嶽芒原の場より
  大 詰 小笠原城内奥庭の場まで

            岡田良助/林帯刀  中村 橋之助
          犬神兵部/飛脚小平次  中村 勘九郎
        お大の方/小平次女房お早  中村 七之助
               隼人妹小萩  坂東 新 悟
                 林数馬  中村 国 生
               良助母お浦  中村 歌女之丞
               米屋市兵衛  笹野 高 史
                大石百介  片岡 亀 蔵
              小笠原豊前守  坂東 彌十郎
   小笠原隼人/奴菊平/良助女房おかの  中村 扇 雀
              小笠原遠江守  中村 勘三郎

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2012/04/23

【オペラ】力強く歯切れよい「ドン・ジョヴァンニ」新国立劇場

 新国立劇場にモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を観に行ってきました。平日のせいか空席も目立ちましたが、気合いが入ったとっても素晴らしい舞台で、ぽん太は大満足でした。休憩を入れて4時間、眠くならずにhappy01観れました。公式サイトはこちら、特設サイトはこちらです。
 今回のプロダクションは、2008年に新国立劇場で新製作されたものです。ぽん太はそのとき生まれて初めて「ドン・ジョヴァンニ」を観たのでした。4年前にドンナ・エルヴィーラを歌ったアガ・ミコライが、今回はドンナ・アンナ。力強く誠実な歌声で、父の仇をとりたいという強い意志と真剣な気持ちが伝わってきました。こんかいドンナ・エルヴィーラを歌ったのはニコル・キャベル。ミコライのドンナ・エルヴィーラは、もてあそばれながらもドン・ジョヴァンニの改心を願うけなげな女性という感じでしたが、エルヴィーラの場合は、騙されたのにドン・ジョヴァンニを忘れられず、甘い言葉についつい許しを与えてしまう、ちょっとバカっぽい女性でした。
 しかし、何と言っても今回の公演の歌手の目玉はタイトルロールのマリウシュ・クヴィエチェン。並外れた声量、豊かな表現力。演技も素晴らしく、エネルギッシュで、冒頭で階段をドンナ・アンナともみ合いながら降りてくる所など、本当に力が入ってました。舞台上の姿は、女たらしというより、イケメンそのものでスタイルもいいです。昨年のメトロポリタン歌劇場の来日公演で「ラ・ボエーム」のマルチェッロを歌っているのを、NHKホールで遥かかなたから観ているはずですが、あまりに遠すぎて印象が残ってません。
 レポレッロは日本人の平野和。2年前の新国立の「影のない女」で、霊界の使者を聴いたはずですが、これまた記憶なし。クヴィエチェンに互角に渡り合うすばらしい歌声でした。日本人だと、演技がどことなく日本人っぽくなるのですが、平野和の仕草がヨーローッパ人ぽいのには驚きました。ドン・オッターヴィオのダニール・シュトーダは、声量にはやや欠けますが、明るく繊細な歌声で、カンツォーネ風の節回しがよかったです。騎士長の妻屋秀和が地の底から響くような迫力あるバスを披露して、ドン・ジョヴァンニの最後を恐ろしいものにしておりました。。マゼットの久保和範と、ツェルリーナの九嶋香奈枝も、可愛らしいカップルを好演。
 指揮者のエンリケ・マッツォーラは初めて聴きました。赤い眼鏡に赤いシャツという洒落た出で立ちで、音楽も表情豊かで歯切れがよかったです。


ドン・ジョヴァンニ
Wolfgang Amadeus Mozart : Don Giovanni
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
2012年4月19日 新国立劇場オペラ劇場

【指 揮】エンリケ・マッツォーラ
【演 出】グリシャ・アサガロフ
【美術・衣裳】ルイジ・ペーレゴ
【照 明】マーティン・ゲップハルト

【ドン・ジョヴァンニ】マリウシュ・クヴィエチェン
【騎士長】妻屋秀和
【レポレッロ】平野 和
【ドンナ・アンナ】アガ・ミコライ
【ドン・オッターヴィオ】ダニール・シュトーダ
【ドンナ・エルヴィーラ】ニコル・キャベル
【マゼット】久保和範
【ツェルリーナ】九嶋香奈枝

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2012/04/22

【宿】新鮮な食材を使った食事が絶品。ロッジ基(もとい)(★★★)

Img_1220 今年の2月後半のことですが、鹿島槍スキー場でスキーと絶景とを楽しんだぽん太とにゃん子が泊まったのは、ロッジ基(もとい)さんです。公式サイトはこちらです。場所は栂池高原スキー場の近くです。木をふんだんに使った雰囲気のあるロッジです。
Img_1223 こちらが客室です。落ち着いた和室ですが……。
Img_1222 実はもう一部屋あって、こちらはベッドになっております。広々としているので、ゆったりと過ごすことができます。
Img_1225 こちらがお風呂です。温泉でないのが残念ですが、木が使われていて、ぬくもりが感じられます。
Img_1231 このロッジの売りはなんといっても素材にこだわったお食事です。自分の農場で作った自家製の野菜や、地元の新鮮な食材、日本海から取り寄せた魚介類が使われています。こちらの雰囲気あるダイニングでいただきます。
Img_1227Img_1228 基本は和食だそうですが、連泊のお客さんがいたため、今夜はイタリアンでした。
Img_1231_2Img_1232 一つひとつ運ばれて来るお皿には、地元の野菜が添えられています。ぽん太には、美味しさを表現する語彙がないのが残念です。
Img_1234 ドライフルールのリンゴが添えられたデザードは、味もさることながら、見た目も絵画のような美しさです。
Img_1235 朝食は和食でした。素材の美味しさが目立ちました。
 雰囲気あるロッジ。なんといっても素材にこだわった食事がすばらしい。今回はスキーシーズンですが、もう少しするともっともっと新鮮な食材が頂けるそうです。ただ、温泉じゃないのが残念で、ぽん太の総合評価は3点。この評価はあくまでも、鄙びた温泉好きであるぽん太の好みから判断した、個人的なものです。

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2012/04/21

【温泉】松本からほど近い格式ある和風旅館・尾上の湯旅館(★★★)

 今年の2月後半、ぽん太は長野県は松本の浅間温泉にある、尾上の湯旅館に泊まってきました。こちらが宿の公式サイトです。
Img_1185_3
 1996年に放映されたテレビドラマ「白線流し」で、ある登場人物の実家という設定でロケ地となった旅館です。「白線流し」とは、高校生が卒業式のあと、学帽の白線とセーラー服の赤いスカーフを結び合わせて川に流すというロマンティックな行事です。ぽん太はドラマの影響か、てっきり松本の高校の話しだと思っていたのですが、Wikipediaを見てみると、岐阜県高山市の岐斐太高等学校で行われているものなんだそうです。
Img_1207 入り口の建物は木の柱と白い壁が美しく、旧家のような格式と、落ち着いた雰囲気が感じられます。
Img_1210 古い部分は大正時代に創られたそうです。レンガ造りの壁も、和洋折衷的ないい味わいです。
Img_1187 玄関を入ると、金屏風の前に大きな生け花。帳場も、温泉旅館らしい華やいだ雰囲気はなく、格式と歴史を感じさせます。
Img_1190 部屋は落ち着く雰囲気の和室です。コタツの天板が異様に大きいですが、夕食を乗せるためです。
Img_1189 こちらは、古い建物の部分の廊下です。こちらの部屋にも泊まってみたいな〜。
Img_1177 こちらが浴室です。無色透明、かすかに湯の花が舞うお湯は、アルカリ性単純温泉とのこと。源泉掛け流しですが、湯量がちょっと少ないです。循環加熱しているようですが、温度はややぬるめでした。タイル張りで、あんまり雰囲気はありません。
Img_1203 もうひとつの浴室です。時間で交替になっています。
Img_1193 部屋食でいただく夕食は、信州の郷土料理を中心にした和食で、品数も多く、次々と持ってきてくれます。
Img_1195 信州といえば、馬刺ははずせません。
Img_1196Img_1198Img_1199 できたての暖かい料理が、次々と運ばれてきます。おいしゅうございました。
Img_1201 朝食はご覧の通り。こちらも品数が多く、なかなか美味しかったです。
Img_1213 翌日はスキーの予定でしたが、とても天気がよかったので、鹿島槍スキー場を選びました。思ったとおり、雪を頂く鹿島槍がすごい迫力でした。
 落ち着いた和風旅館で、食事も美味しいく、松本から車で20分という立地も魅力です。温泉力にちょっと欠けるのと、建物が本館を除くとあまり古くなくて「鄙び度」が足りないのがぽん太の好みからすると減点となり、ぽん太の評価は3点です。

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2012/04/20

【歌舞伎】元気がでる勘三郎の「法界坊」2012年4月平成中村座第1部

 平成中村座の代表作のひとつである「法界坊」。ぽん太は初めて見ましたが、抱腹絶倒、ハイテンション、息をもつかせぬスピーディーな展開、1時間半の序幕があっという間に感じられました。
 ストーリーは、お家騒動で宝物を盗まれ、町人に身をやつして捜している所に、恋の三角関係が生まれて……という歌舞伎のよくある話し。しかし、序幕の終わりで法界坊が死んでしまい、その後の芝居はどうするのかと思ったら、死んだ法界坊と野分姫が合体して亡霊となり、要介とお組に襲いかかります。ぽん太は記憶がないのですが、妻のにゃん子は、合体して亡霊になる話しを観たことがあるとのこと。大喜利の一部が舞踊として独立して演じられていることもあるそうなので、それを観たことがあるのかも。
 で、舞台はというと、法界坊の勘三郎が八面六臂の大活躍。悪人でありながら愛嬌のある破戒僧という設定だけで、勘三郎に正にうってつけ。劇中でも「オレ、病み上がりだから」とギャグを飛ばしてましたが、動きも台詞も病み上がりを感じさせず、パワーもテンポも120%全開でした。楽屋落ちや、素に戻ってのギャグも満載で、まさに変幻自在でした。
 笹野高史も、お組に横恋慕する山崎屋勘十郎を怪演。芝居はちっとも歌舞伎じゃありませんが、間が最高で笑いが止まりません。これまたお組を狙う番頭正八の亀蔵も、ほっぺを膨らませる技や(初めて見ました)、長い手足を使った奇妙な動きで、会場をわかしておりました。ひとり真面目に演じる手代要助実は吉田松若の勘九郎もよく、七之助も美しかったです。途中、役者が客席で演技をする場面がいくつもあったのですが、目の前で観た七之助のうなじはきれいだったな〜(会場に女王様もきてたネ)。
 何度も再演を重ねている演目のせいか、息もぴったり。ラストは舞台後方の扉をあけ、スカイツリーをバックに大量の桜吹雪。明るく楽しく元気になる芝居でした。

平成中村座
四月大歌舞伎
平成24年4月・第1部

串田和美 演出・美術
隅田川続俤

法界坊(ほうかいぼう)

  序 幕 深川宮本の場より
  大喜利 隅田川の場まで
              聖天町法界坊  中村 勘三郎
              道具屋甚三郎  中村 橋之助
       永楽屋手代要助実は吉田松若  中村 勘九郎
             花園息女野分姫  中村 七之助
               仲居おかん  中村 歌女之丞
              山崎屋勘十郎  笹野 高 史
                番頭正八  片岡 亀 蔵
             永楽屋権左衛門  坂東 彌十郎
              永楽屋娘お組  中村 扇 雀

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2012/04/19

【歌舞伎】桜も悪も美しき哉。2012年4月国立劇場「絵本合法衢」

 「絵本合法衢」は、昨年3月に上演されておりましたが、東日本大震災のため月の途中で打ち切りとなった演目です(その時の記事はこちら)。ぽん太は自粛前に、この芝居を観ることができました。あれから1年、善人たちをばったばったと返り討ちにして行く悪の凄まじさ相変わらずでしたが、こんなもんだっけと、ちょっと拍子抜けする部分もありました。ぽん太の頭の中で、芝居の記憶と地震の記憶がごっちゃになって増幅し、なんだか恐ろしいイメージに膨れ上がっていたようです。
 配役は前回とほとんど同じで、左團次が高橋瀬左衛門と高橋弥十郎の二役となり、また前回は吉弥だった太平次女房お道が秀太郎となりました。ぽん太は秀太郎は好きなのですが、今回はちょっと年齢的にきつかった気がします。脚本や演出も、変わった所は気がつきませんでしたが、なにせタヌキのぽん太の記憶ですから、ホントのところどうなのかはわかりません。大学之助という巨悪と、太平次というずる賢い小悪党を演じる仁左衛門の、凄みと美しさは昨年通りでした。
20120405_1135 ぽん太は芝居の前、千鳥ヶ淵を歩きました。寒さのせいか開花が遅れて、桜はまだ五分咲きでしたが、とても美しかったです。美しい桜を愛で、つづいて仁左衛門の演じる悪人に魅了されるとは、タヌキって不思議な生き物ですね。


通し狂言「絵本合法衢」(えほんがっぽうがつじ)
2012年4月 国立劇場大劇場

四世鶴屋南北=作
奈河彰輔=監修
国立劇場文芸課=補綴
国立劇場美術係=美術
       
   序 幕  第一場    多賀家水門口の場
        第二場    多賀領鷹野の場
        第三場    多賀家陣屋の場
   二幕目  第一場    四条河原の場
        第二場    今出川道具屋の場
        第三場    妙覚寺裏手の場
   三幕目  第一場    和州倉狩峠の場
        第二場    倉狩峠一つ家の場
        第三場    倉狩峠古宮の場
        第四場    元の一つ家の場
   大 詰  第一場    合法庵室の場
        第二場    閻魔堂の場

 片岡仁左衛門 左枝大学之助・立場の太平次
   中村時蔵 うんざりお松・弥十郎妻皐月
  片岡孝太郎 田代屋娘お亀
  片岡愛之助 田代屋与兵衛
  市川男女蔵 松浦玄蕃
   中村梅枝 お米
   片岡市蔵 佐五右衛門
  市川高麗蔵 孫七
   坂東秀調 田代屋後家おりよ
  片岡秀太郎 太平次女房お道
  市川左團次 高橋瀬左衛門・高橋弥十郎

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2012/04/14

【歌舞伎】鴈治郎型の勘平を初めて見たよ。2012年4月新橋演舞場夜の部

 4月の新橋演舞場は1回しか観劇の予定が立たなかったので、五・六段目がある夜の部を選択しました。こちらが公式サイトです。
 五・六段目には、いつも観るのとは違う型があることは知っていましたが、ぽん太はこんかい初めて見ることができました。なんでも鴈治郎型というそうで、初代中村鴈治郎(安政7年(1860年)〜昭和10年(1935年))によるものだそうです。ちなみになじみの演出は、六代目尾上菊五郎(明治18年(1885年)〜昭和24年(1949年))による菊五郎型。山崎街道で勘平が花道から本舞台に入るとき、灯りがわりに火縄をクルクル回す動作や、縄で輪を作って斧定九郎の足にかけ、持ち上げてみて「妙だな」と思う仕草がありません。大きく違うのは勘平腹切りの場で、帰ってきた勘平が着る着物の柄が違いますし、担がれてきた父与市兵衛の遺体は、上手にある部屋のなかに運び込まれます。これじゃ、後で見に行くとき大変だな〜って感じです。不破数右衛門と千崎弥五郎が、人に道を尋ねながら勘平の家を訪れます。勘平が迎えに出ようとするとき、菊五郎型では母おかやが勘平にしがみつきますが、今回の型では紋付を抱え込んで着させまいとします。勘平の申し開きとなって、「撃止めたるは」のところで、不破数右衛門と千崎弥五郎が「舅殿」と言って、上手の遺骸を確認しに行きます。同時に勘平は下手奥に移動し、そこで後ろ向きのまま腹を切っています。最後に果ててゆく勘平に、母親が紋付を掛けてやります。
 ぽん太には、見慣れているせいか、菊五郎型の方がドラマチックでいいように思えました。以前に「【歌舞伎・文楽】「仮名手本忠臣蔵」六段目の勘平は成仏したのか?」という記事で書いた点ですが、こんかいの型でも、「魂魄この土に止まって……」の台詞を言ってから、連判状に血判を押す、という順序は一緒でした。いっそのこと血判を押してから「魂魄この土に止まって……」として、終幕で勘平に二番目に焼香をさせるというシーンを復活させてみたら、夜の部が「勘平の通し」という感じで筋が通って面白かったのではないでしょうか。松竹で無理なら、国立で試して欲しいです。
 亀治郎の勘平はさすがに器用で上手ですが、細かい所の味がないのと、見せ場でやたらと声を張り上げ、芝居を忘れて観客へのアピールに走ってる感じがしました。獅童の斧定九郎、見た目も細身で美しく、爬虫類のような妖しさがあってよかったですが、「五十両」の台詞は意外とあっさり。おかるの福助、まじめにやれば上手です。一文字屋お才は笑三郎の予定で楽しみにしていたのですが、病気欠場とのことでした。1ヶ月まるまる休みのようですが、お加減は大丈夫でしょうか。代役の亀鶴もまあまあ。薪車の判人源六がいい味を出してました。寿猿の与市兵衛、竹三郎のおかやは、熟練の芸。亀三郎、亀寿の不破数右衛門と千崎弥五郎が若く見えるのは仕方ないか。
 七段目は松緑の寺岡平右衛門。なんとなく台詞が一般調子ですが、こういう奴の役は似合ってます。ただ妹を思う心情はあまり伝わってきませんでした。おかるの福助、斬られそうになって花道に逃げたところで、おかしな演技をするんじゃないかとヒヤヒヤしておりましたが、どうしてどうして立派な演技で、うまさが光りました。大星由良之助の染五郎、このメンバーのなかではさすがに落ち着いてみていられます。昼行灯といったぼーっとした鷹揚さはありませんでしたが、家老らしい風格と大きさが感じられました。


新橋演舞場
四月花形歌舞伎
通し狂言 仮名手本忠臣蔵
平成24年4月 夜の部

五段目  山崎街道鉄砲渡しの場
     同 二つ玉の場
六段目  与市兵衛内勘平腹切の場
七段目  祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
     同 奥庭泉水の場
     同 炭部屋本懐の場

【五・六段目】
            早野勘平  亀治郎
            斧定九郎  獅 童
          不破数右衛門  亀三郎
           千崎弥五郎  亀 寿
          百姓与市兵衛  寿 猿
            判人源六  薪 車
          一文字屋お才  亀 鶴
            母おかや  竹三郎
           女房おかる  福 助
【七段目】
          大星由良之助  染五郎
          寺岡平右衛門  松 緑
           千崎弥五郎  亀 寿
           竹森喜多八  萬太郎
           矢間重太郎  巳之助
            大星力弥  児太郎
           仲居おつる  歌 江
            鷺坂伴内  猿 弥
            斧九太夫  錦 吾
           遊女おかる  福 助
【十一段目】
          大星由良之助  染五郎
            大星力弥  児太郎
          小汐田又之丞  廣太郎
          木村岡右衛門  廣 松
            大鷲文吾  宗之助
           竹森喜多八  萬太郎
           小林平八郎  亀 鶴

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2012/04/12

【オペラ】破滅へと突き進んだフクシマのごとし「オテロ」新国立劇場オペラ

 エイプリルフールにぽん太は「オテロ」を観に行ってきました。公式サイトはこちら、特設サイトはこちら
 ぽん太はこれまでオペラでも演劇でも「オテロ」(オセロ)を観たことはありませんでした。原作も読んだことないと思います。陰謀にはまって奥さんに嫉妬して、あげくのはてに殺してしまう馬鹿な男の話しと聞いて、「なんだかありきたりのストーリーだな〜」と思っていたのですが、実際に観てみたらとても感動しました。すばらしかったです。ただぽん太には、シェイクスピアの原作がいいのか、ヴェルディの音楽がいいのか、今回の公演がいいのか、区別がつかないところが、情けないところですが。
 ちなみにシェイクスピアの原作は「オセロ」(Othello)で、ヴェルディのオペラはイタリア語なので「オテロ」(Otello)とのこと。オセロといえば、あの白黒をひっくりかえすゲームの名前として有名ですが、Wikipediaを見てみると、1973年(昭和48年)にゲーム作家の長谷川五郎がこのゲームを発表した時、英文学者であった父親の長谷川四郎が、黒人のオセロと白人のデスデモーナの関係がめまぐるしく変わることから取ったのだそうです。親が四郎で子供が五郎……。ふ〜ん、長谷川五郎さんは、製薬会社の営業をやっていたんだそうな。どこの製薬会社なんだろう。ググってみると、中外製薬みたいですが。また、オセロと同じルールのゲームが19世紀のイギリスで既に行われていて、リバーシ(Reversi)という名前だそうです。飛行機のアトラクションで、このゲームがOthelloじゃなくてReversiという名前になっているのは、そういう理由だったんですね。
 そういえば、オセロの中島さんも、早く元気になって欲しいです。

 ウォッホン、みちくさが過ぎました。
 で、上に書いたようにこのオペラのストーリー、ひとつ間違えば下世話な痴話げんかになってしまうところです。しかし、オテロがとらわれる嫉妬は、通常の範囲を超えていき、まさに「嫉妬妄想」の様相を呈してきます。実際、誰かに「オテロは気がふれた」という台詞がありましたし、オテロ自身も、まるで癌のように自分のなかで膨らんで行き、自分を支配していく嫉妬心を、自分とは異質な物として捉えていました。勇敢な英雄であったオテロが嫉妬心によって壊れていき、またデズデーモナが夫の変容と自らの死という運命を受け入れるとき、ドラマは普遍性を獲得し、悲劇的なものにまで高まります。誤った考えや感情に支配され、死に向かって突き進んで行くオテロの姿は、危険を察知していながら大事故に行き着いたフクシマを思わせます。
 オテロ役は、昨年の「イル・トロヴァトーレ」でマンリーコを歌ったフラッカーロ。勇者らしい堂々とした雰囲気があり、前半では甘い恋の歌も聴かせてくれ、後半では嫉妬に狂い運命に翻弄されていくさまを鬼気迫る演技で表現しました。デズデーモナを代役で歌ったマリア・ルイジア・ボルシは、昨年「コジ・ファン・トゥッテ」で聞きましたが、そのときのコミカルな演技とは違って、今回は感動的でした。最低音がちと出にくそうでしたが、豊かな声量の落ち着いた声で、「柳の歌」もすばらしかったです。ミカエル・ババジャニアンは、オテロを破滅に導いて行く悪魔のようなイアーゴを好演。カッシオの小原啓楼やロドヴィーコの松位浩などの日本勢もよかったです。指揮者のジャン・レイサム=ケーニックが盛大な拍手をもらってましたが、有名なひとなんでしょうか。
 セットは、大量の水を使ってバブリーな感じがしましたが、悪くなかったです。


オテロ
ジュゼッペ・ヴェルディ
Giuseppe Verdi : Otello
2012年4月1日 新国立劇場オペラ劇場

【指 揮】ジャン・レイサム=ケーニック
【演 出】マリオ・マルトーネ
【美 術】マルゲリータ・パッリ
【衣 裳】ウルスラ・パーツァック
【照 明】川口雅弘

【オテロ】ヴァルテル・フラッカーロ
【デズデーモナ】マリア・ルイジア・ボルシ
【イアーゴ】ミカエル・ババジャニアン
【ロドヴィーコ】松位 浩
【カッシオ】小原啓楼
【エミーリア】清水華澄
【ロデリーゴ】内山信吾
【モンターノ】久保田真澄
【伝 令】タン・ジュンボ

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2012/04/11

【歌舞伎】えっと……忘れちゃった。2012年3月新橋演舞場昼の部

 3月の新橋演舞場は、昼の部だけの観劇でした。もう時間が経ちすぎて、印象が薄れてしまいましたが、データとして書いときます。
 染五郎の「荒川の佐吉」は、若い頃はまだしも、ラストではやはり貫禄不足か。梅玉の成川郷右衛門は流石の演技で、舞台に格を生み出してました。福助のお新も、おかしくなくみにくくなく、愛情はありながらも状況や情に流される女を見事に演じておりました、亀鶴の辰五郎も好演。
 「山科閑居」では、戸無瀬の藤十郎が群を抜いたすばらしさでしたが、小浪の福助も遜色のない演技でした。「ぢいさんばあさん」で外した福助、今回はどちらの演目もよかったのではないでしょうか。


新橋演舞場
三月大歌舞伎
平成24年3月 昼の部

  江戸絵両国八景
一、荒川の佐吉(あらかわのさきち)
    序 幕 江戸両国橋付近出茶屋岡もとの前の場より
    大 詰 長命寺前の堤の場まで
                 荒川の佐吉  染五郎
                丸総女房お新  福 助
                隅田の清五郎  高麗蔵
                 大工辰五郎  亀 鶴
                 極楽徳兵衛  宗之助
                   お八重  梅 枝
                鍾馗の仁兵衛  錦 吾
                成川郷右衛門  梅 玉
                相模屋政五郎  幸四郎

二、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
    九段目 山科閑居
                   戸無瀬  藤十郎
                大星由良之助  菊五郎
                    小浪  福 助
                  大星力弥  染五郎
                    お石  時 蔵
                 加古川本蔵  幸四郎

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2012/04/10

【オペラ】なるほど、初期のワーグナーとはこういうものかと。「さまよえるオランダ人」新国立劇場オペラ

 年度の変わり目で忙しいですばい。3月中旬に観た新国立劇場オペラの「さまよえるオランダ人」。公式サイトはこちら、特設サイトはこちらです。
 ワーグナーの超有名なオペラですが、ぽん太は初めて観ました。28歳のときに作曲したそうで、そのなかに、後年のオペラ・楽劇につながる様々な要素を見て取れるのだそうですが、ぽん太に分かろうはずがありません。ぽん太としては、「ワーグナーにしては物足りないな〜」という感じでした。ここらでワーグナー独特の音楽で盛り上がって欲しいな〜というところで、古典的な和音進行になってしまいます。「ベートーヴェンの交響曲第一番って、よく聞くと実はいい曲なんだよ」と言われても、やっぱり「運命」や「第九」のほうがいいのと同じです。
 ストーリーもちと納得がいきません。最後の最後で船長が「わたしこそ、さまよえるオランダ人だ〜」と叫びますが、「みんな知っとるわい」という感じです。昔ゼンダがエリックに、ちと愛を誓うようなことを言ったことがあるからといって、それでオランダ人が「裏切られた〜」というのも大げさな気がします。ラストも、ゼンダは水底に沈んで行き、地上に残されたオランダ人はめでたく死ぬことができました、というのも、なんか盛り上がりにかけます。もっともこのオペラの結末は、様々なヴァージョンがあるんだそうな。
 演出は悪くなかったし、歌も迫力があった気がします。なんか、もう忘れてしまって、すみません。


さまよえるオランダ人
Richard Wagner : Der fliegende Holländer
リヒャルト・ワーグナー/全3幕
2012年3月11日 新国立劇場オペラ劇場

【指 揮】トマーシュ・ネトピル
【演 出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美 術】堀尾幸男
【衣 裳】ひびのこづえ
【照 明】磯野 睦

【ダーラント】ディオゲネス・ランデス
【ゼンタ】ジェニファー・ウィルソン
【エリック】トミスラフ・ムツェック
【マリー】竹本節子
【舵 手】望月哲也
【オランダ人】エフゲニー・ニキティン

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

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2012/04/09

【歌舞伎】一点の曇りもない勘九郎の御所五郎蔵。2012年3月平成中村座夜の部

 年度の変わり目で忙しいですばい。
 3月の平成中村座の夜の部でぽん太が楽しみにしていたのは、初めて観る仁左衛門の「傾城反魂香」です。田舎者っぽくてちょっぴりダサい浮世又平を、二枚目でカッコいい仁左衛門が演じると、いったいどうなるのか。おまけにおしゃべりの「おとく」を勘三郎が演じるとのこと。ペラペラしゃべって会場を大いに湧かせてくれそうです。こちらが公式サイトです。
 が、しかし、結論からいうとちょっと期待はずれでした。仁左衛門は、やはり又平を演じるにはハンサムすぎるし、また勘三郎の台詞のテンポが遅くて少し暗い印象でした。
 冒頭からみていくと、亀蔵の土佐将監はやはり貫禄不足。修理之助の信吾は、土佐の名字をもらって嬉しそうに笑っておりましたが、又平が名字をもらえないことで自害を決意することを考えれば、1月の松竹座の笑也のように、名字を賜って感極まる演技の方が筋が通っている気がします。
 「傾城反魂香」を観劇するにあたって注目点のひとつは、又平とおとくが花道からどのような表情で登場するかです。ふたりはすれ違った農民から、修理之助が名字を許されたことを聞いているという設定です。以前に観た吉右衛門の又平は、「今日こそお師匠様から名字をいただかなくては」という厳しい表情でした。また上に書いた松竹座の時は、翫雀の又平は弟子に先を越されて茫然自失、秀太郎のおとくは「ここは私がなんとかお師匠さんと話しをつけなくっちゃ」という決意が感じられました。ところが仁左衛門と勘三郎は、ふたりとも意気消沈といった様子で、トボトボと歩いてきます。勘三郎は仁左衛門を見てかすかに笑顔を見せますが、絶望的な状況のなかで見せた夫への情愛という感じでした。
 続くおとくのおしゃべりも楽しみにしていたところで、勘三郎に打ってつけのシーンだと思うのですが、台詞のテンポが遅く、おしゃべりの面白さもなければ、師匠なんとか納得してもらおうとついつい多弁になっている感じも出てませんでした。
 仁左衛門の又平、名字を許されて喜びながら着替えたり踊ったりするところの可愛らしさは期待通りでしたが、前半はちょっと格好良すぎたのは上に書いた通り。それよりも、心理描写が得意な仁左衛門にしては、妻に任せておれなくなって吃りながらも自ら将監に訴えようとしたり、八つ当たり気味に妻を打ち、そのことで一層自分を情けなく思ったり、といった気持ちの動きが、十分に表現されていないような気がしました。
 それから、土佐将監の奥方が出て来ないのはなぜでしょう。適当な役者が揃わなかったからでしょうか、それとも演出上の意図なんでしょうか。奥方が、又平を哀れに思いながらも夫将監に従うところや、名字を得た又平に「ほんとに良かった、良かった」という感じで装束や刀を渡すところも、見所のひとつだとぽん太は思うのですが。
 もひとつ演出で言えば、大頭の舞のところで又平が、おとくの鼓に注文を付ける下りが省略されていたのが、ぽん太は納得ができません。吃りの又平がおしゃべりのおとくに主導権を取られていたのが、逆におとくのどもり(鼓のリズムの誤り)をたしなめるという対比がなくなってしまいます。口が不自由な又平が物見を命じられて、必死に目を見張るシーンと同様、劇の構成上の重要な要素だと思うのですが。

 「口上」では、平成中村座というホームグラウンドでの講演であったためか、それともテレビの収録が入っていたためか、先月の新橋演舞場のときよりもざっくばらんな話しが多くて、面白かったです。

 「御所五郎蔵」が思わぬ拾い物でした。初役の勘九郎は、こんかい仁左衛門に教わったとのこと。直球勝負の勘九郎じゃ、どうせ仁左衛門の色気は出ないだろうな〜と思って観たら、実際その通りだったのですが、次第に勘九郎の五郎蔵が魅力的に見えてきました。まっすぐで一点の曇りもなく、若さゆえの単純さと勢いをもつ五郎蔵。おそらく人生において挫折の経験もなければ、妥協や裏表の使い分けもしたことがないはず。キッとした表情の見得も、浮世絵に描かれた役者絵のような美しさでした。
 この芝居は歌舞伎のよくある名場面を集めて作った感じで、これまでぽん太はなんだか単純でウソっぽいな〜と思ってたのですが、今回の舞台はとっても楽しめました。江戸っ子らしさを切り取ってポーンと差し出してくれる芝居だったんですね。
 笹野高史が友情出演しておりましたが、いつもながら上手。市川中車もまずこのレベルが目標か。

 最後の「元禄花見踊」は、若衆歌舞伎(見たことないけど)を思わせる華やかさでした。ここのところ歌舞伎の大御所の訃報が続いてますが、新しい世代も育ってきているようです。


中村勘太郎改め
六代目中村勘九郎襲名披露
平成中村座 三月大歌舞伎
平成24年3月 夜の部

一、片岡十二集の内 傾城反魂香(けいせいはんごんこう)
  土佐将監閑居の場
        浮世又平後に土佐又平光起       仁左衛門
              土佐将監光信       亀 蔵
              土佐修理之助       新 悟
              狩野雅楽之助       猿 弥
             又平女房おとく       勘三郎

二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上(こうじょう)
                      勘太郎改め勘九郎
                           幹部俳優出演

三、曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)
  御所五郎蔵
               御所五郎蔵  勘太郎改め勘九郎
              星影土右衛門       海老蔵
                傾城逢州       七之助
                梶原平蔵       亀 蔵
                新貝荒蔵       男女蔵
                秩父重介       国 生
               二宮太郎次       猿 弥
               花形屋吾助       笹野高史
                傾城皐月       扇 雀
               甲屋与五郎       我 當

四、元禄花見踊(げんろくはなみおどり)
                元禄の衆       児太郎
                   同       虎之介
                   同       鶴 松
                   同       宜 生
                   同       国 生

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