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2012/06/22

【歌舞伎】中車の話題性と、藤十郎・秀太郎の至芸 2012年6月新橋演舞場昼の部

20120613_1223 6月歌舞伎は何といっても香川照之親子の襲名と初舞台が見物。「芸」とは関係のないところへの興味で恥ずかしい限りですが、小説よりも奇なりというか、歌舞伎の芝居を越えた現実のドラマからは目が離せません。皆の関心も高かったようで、いつもより高く料金が設定されているのに、チケットがとりずらかったです。筋書きの値段も高いような……。ふふふ、松竹さん、儲けましたね。本公演の公式サイトはこちらです。

 ということで、もっとも印象に残ったのは「口上」です。こんなに感動的な「口上」は、ぽん太は初めてでした。藤十郎が進行役で、猿翁はおりませんでした。一同が深々とお辞儀をしたあと、皆は少し頭を上げた姿勢に戻りましたが、市川中車(香川照之)だけは最初から最後まで、頭を床につけて平身低頭したままでした。挨拶の時も表情がこわばっておりました。團子が「猿翁さんより立派な役者になりたいです」みたいなことを言ってましたが、ギャグにしても不遜にすぎないか?猿翁は出ないのかと思っていたら、最後に赤いひな壇に座って(腰掛けているけど正座しているように見える仕掛けですね)、後ろから登場。少しロレツの回らぬ口調ながら、しっかりと口上を述べ、左右にきっぱりとにらみをきかせました。
 しかし、香川照之にこんな歌舞伎への思いがあったとは、ちっとも知りませんでした。血筋への思いというのは、われわれの想像をはるかに越えております。でも、この年齢で歌舞伎の世界に入るなんて、勇気がありますね。例えて言えば、ぽん太が突然外科医として手術室に入るようなもんです。大変だと思います。歌舞伎俳優名鑑に、新猿翁や新猿之助は載っているのに、中車や團子が載っていないのも、ちと気になります。
 それから、亀治郎も猿之助を襲名。これもまた血筋・家柄だから当然とはいえ、右近はどんな気持ちでいるだろうかなどと、いろいろ考えてしまいました。
 ブログの冒頭の写真の祝い幕は、当初は横に並べるはずだった澤瀉屋を代表する役者の隈取りを、福山雅治の発案で一つに重ねたものだそうです(夜の部の冒頭の口上で猿之助が言ってました)。

 さて、最初の演目の「小栗栖の長兵衛」では中車が奮闘。大正9年に初演された岡本綺堂作の新歌舞伎なので、歌舞伎の素養のない中車にも演じやすい演目。中車の演技は、普通の芝居だったら悪くありませんが、歌舞伎としては、やはり声の抑揚や間、動きの様式性に欠けるところがありました。しかし歌舞伎の初舞台で、しかも主役で、ここまでできれば大したもんです。4月の新橋演舞場を病気で休演していた笑三郎、少し痩せたか。段治郎が、いつのまにか月乃助という名前に変わってました。ぽん太が好きな役者の一人ですが、こういうのは襲名披露はしてくれないんですかね。歌舞伎の世界もいろいろ複雑ですね。

 最後は亀治郎の「四の切」。2011年5月に明治座で観て以来です。上手なのは相変わらずですが、観客を意識したあざとさが減って、悲しさがにじみ出ていてよかったです。アクロバティックな動きも、海老蔵だと筋力でぴょんぴょんジャンプしている感じですが、猿之助は柔らかくてふわりふわりとしておりました。藤十郎の義経、秀太郎の静御前が、香川照之の話題性とは異なり、歌舞伎の芸として最高でした。ともに初役だそうですが、義経の気品と悲しみ、静御前の可愛らしさ、これぞ歌舞伎というところを見せてくれました。


初代市川猿翁 三代目市川段四郎 五十回忌追善
六月大歌舞伎

二代目市川猿翁・四代目市川猿之助・九代目市川中車 襲名披露
五代目市川團子 初舞台

新橋演舞場
平成24年6月13日 昼の部

一、小栗栖の長兵衛(おぐるすのちょうべえ)
                 長兵衛       中 車
               馬士弥太八       右 近
                妹おいね       笑三郎
                堀尾茂助       月乃助
                猟人伝蔵       弘太郎
                父長九郎       寿 猿
                巫女小鈴       春 猿
                 僧法善       猿 弥
                 七之助       門之助

二、口上
  初代市川猿翁 三代目市川段四郎 五十回忌追善
  二代目市川猿翁・四代目市川猿之助・九代目市川中車 襲名披露
  五代目市川團子 初舞台
                      猿之助改め猿 翁
                      亀治郎改め猿之助
                           中 車
                        初舞台團 子
                           幹部俳優出演

三、三代猿之助 四十八撰の内 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
  川連法眼館の場
  市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候
       佐藤忠信/忠信実は源九郎狐  亀治郎改め猿之助
                駿河次郎       門之助
                亀井六郎       右 近
                  飛鳥       竹三郎
                川連法眼       段四郎
                 静御前       秀太郎
                 源義経       藤十郎

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