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2012/08/10

【歌舞伎】根源的な悪にまで迫れず「桜姫東文章」2012年8月新橋演舞場昼の部

 8月の歌舞伎は、夜の部の海老蔵の「伊達の十役」は以前に観たことがあるので省略し、昼の部だけの観劇。公式サイトはこちらです。
 「桜姫東文章」は、鶴屋南北の作で文化14年(1817年)に初演された演目。南北らしい、奇想天外で何でもあり、おどろおどろしくも美しい芝居です。ぽん太は、2009年のコクーン歌舞伎で、この作品を元に串田和美が演出した「桜姫」を観たことがあります。
 今回の舞台は、8月の納涼エンタテイメントとして、ふつーに面白く仕上がっていたと思うのですが、ぽん太自身の好みからいうと、人間に潜む「悪」の深淵まであぶり出して、観る人を震撼させるようなところまで行ってほしかったです。仁左衛門の「盟三五大切」みたいに。
 白菊丸と桜姫を演じた福助は、稚児白菊丸やおぼこな桜姫を、妙なことをせずに可愛らしく演じておりましたが、やはり本領は三幕の「風鈴お姫」か。廓言葉と姫言葉がごちゃ混ぜになった勢いのいいセリフ回しも面白かったです。決まりきまりも錦絵のごとく美しかったですが、ゾクゾクするような猟奇的な美しさ、とまではいかなかったです。
 愛之助の清玄は、ちょっときれいで格好良すぎ。もっと情欲を前面に出して欲しかったです。「岩淵庵室」でのセリフ回しは海老蔵がうつったのか。客席から笑いが起こってました。
 海老蔵の釣鐘権助は、顔も怖いし確かに悪い奴ではありますが、六本木のチンピラレベルの悪に留まっていて、根源的な悪にまでは達していませんでした。
 右近の粟津七郎はツヤがあって安心して見られました。福助の息子の児太郎が吉田松若。入間悪五郎の亀蔵は、芸達者な人なのに今回は意外と目立たず。市蔵と萬次郎の残月・長浦のコンビが上手くて面白かったです。

 ところで、チラシの解説によると、この作品は「清玄桜姫」の物語と「梅若伝説」を取り入れて作られているそうな。といっても無学なぽん太はどちらも知りません。ということで、調べてみました。
 まず「清玄桜姫」ですが、こちらのWikipediaがわかりやすいです。歌舞伎の「世界」のひとつで、「清玄が桜姫を見染めるが逃げられ、自身も寺を追放される。落ちぶれた清玄のもとを桜姫が訪れ、恋慕の情を訴えるが殺されてしまう。しかし清玄は幽霊となって桜姫につきまとう」というようなものだそうです。江戸時代には、弥生狂言として、桜の咲く時期に毎年のように上演されたそうですが、近年は「桜姫東文章」を除いてほぼ廃れてしまったそうです。
 次いで「梅若伝説」ですが、例えばこちらの歌舞伎のおはなしをご覧下さい。コピペさせていただくと、「京都洛北の北白川に吉田少将行房という者が住んでいて、吉田家には"梅若丸"とうい名の幼い子供がいました。この梅若丸があるとき人買いにさらわれて、東国は武蔵の国、隅田川のほとりで病死しました。母親は子供を訪ねて旅を続けるのですが、悲しみのあまりとうとう発狂して隅田川のほとりをさ迷う」というものだそうです。能の「隅田川」もこの伝説を扱っているのですね。梅若丸を弔った塚は、現在は木母寺(もくぼじ)(公式サイト)となっているそうです。ぽん太もそのうち訪れてみたいです。


新橋演舞場
八月花形歌舞伎
平成24年8月 昼の部

桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)
  発 端 江の島稚児ヶ淵の場
  序 幕 新清水の場
      桜谷草庵の場
  二幕目 三囲の場
  三幕目 岩淵庵室の場
  四幕目 権助住居の場
  大 詰 浅草雷門の場

          白菊丸/桜姫  福 助
       清玄/稲野屋半兵衛  愛之助
            粟津七郎  右 近
           葛飾のお十  笑 也
            吉田松若  児太郎
             奴軍助  弘太郎
            端女お咲  歌 江
           入間悪五郎  亀 蔵
              残月  市 蔵
              長浦  萬次郎
   釣鐘権助/大友常陸之助頼国  海老蔵

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