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2012/10/22

【歌舞伎】勘九郎の源九郎狐は親孝行で可愛いね。20120年10月御園座

 10月の名古屋御園座は、「中村勘九郎襲名披露」兼「顔見世」ということで、勘九郎の周りを豪華メンバーが固めるというプログラムとなりました。なかでも夜の部の最後の「四ノ切」が、勘九郎の実直さ可愛らしさが、親思いの子狐とマッチして、面白かったです。
 その前に「吉野山」。勘九郎の佐藤忠信は、見目麗しい若武者ぶりで、力強さと忠義深さが感じられました。その分、道行きっぽいアブナイ雰囲気にはちと欠けたかな。七之助の静御前は、美しいことこのうえなし。花道の七三のドブで見ていたのですが、くるりと回って目が合いそうになったとき、あまりの美しさにぽん太は気恥ずかしくなり、思わず目をそらしてしまいました。白拍子らしい強さはみじんも感じられず、柔らかく繊細で触れたら壊れそうなほどでした。
 で、「川連法眼館」ですが、最初の法眼と妻の会話や、最後の荒法師とのタテなどが省略された短縮版。最初の本物の佐藤忠信の方は、もうちょっと得体の知れない怪異な雰囲気があってもよかった気がします。源九郎狐になってからは、冒頭に述べたように、持って生まれた素直な性格が、源九郎狐とよく合ってました。狐言葉はなんだかぎこちなく、リズムが感じられませんでした。若いので身体能力もすばらしく、鼓で呼び戻されてスッポンから跳ね上がるときの高さ(2メートル近く飛んだように見えました)にびっくりしました。菊之助が義経をゆとりをもって演じてました。前半の義太夫さんが、ちと頼りなかった気がしました。
 「義経千本桜」に比べると「伊勢音頭恋寝刃」は、まだまだ研究の余地ありです。福岡貢の凛々しさはあますが、和事らしいやわらかさや色気は不十分でした。「奥庭」でのゾクゾクするような美しさも欲しいです。将来は仁左衛門のような色気がでてくるのか、それとも勘九郎独自の福岡貢を作り上げるのか、今後が楽しみです。左團次がお鹿、仁左衛門が料理人喜助、菊五郎が仲居万野という豪華な脇役。菊五郎は、大げさにならない押さえた演技ながら、菊五郎独特のとぼけた味わいがあり、意地悪くも怪しげな万野でした。仁左衛門はいつものように良いです。
 「嫗山姥」は時蔵が大活躍でした。
 「蝶の道行」は、菊之助と七之助という新旧色男による舞踊。恋の踊りはよかったですが、地獄の炎に焼かれてからの哀れさ、哀しさがちと欠けたような。
 「菊畑」は、歌舞伎らしい、美しいけど内容のない芝居ですが、この豪華メンバーで観るととても面白いです。これが芸の力なんですかね。
 「口上」で勘九郎が、「中村屋ゆかりの地である名古屋で」みたいなことを言っていて、そのときはわからなかったのですが、あとでぐぐってみると、初代中村(猿若)勘三郎の出生地が名古屋市中村区で、中村屋という屋号は地名に由来するという説があるそうですね(Wikipedia)。
 ところで、以前に御園座がつぶれそうだというニュースが流れていましたが、どうなんでしょうか。松竹と提携して建て替えを行うなどの話しも聞きますが、ぜひ頑張って欲しいものです。


御園座
中村勘太郎改め 六代目中村勘九郎襲名披露
第四十八回
吉例顔見世
平成24年10月

昼の部

一、八重桐廓噺(やえぎりくるわばなし)
  嫗山姥
              荻野屋八重桐       時 蔵
                太田十郎       彌十郎
                  白菊       梅 枝
                 沢瀉姫       新 悟
                腰元お歌       亀 蔵
       煙草屋源七実は坂田蔵人時行       扇 雀

  けいせい倭荘子
二、蝶の道行(ちょうのみちゆき)
                  助国       菊之助
                  小槇       七之助

三、伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
  油 屋
  奥 庭
                 福岡貢  勘太郎改め勘九郎
               料理人喜助       仁左衛門
               今田万次郎       扇 雀
                油屋お紺       菊之助
                油屋お岸       梅 枝
            徳島岩次実は北六       男女蔵
           藍玉屋北六実は岩次       亀 蔵
                油屋お鹿       左團次
                仲居万野       菊五郎

夜の部

一、鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)
  菊 畑
             虎蔵実は牛若丸       菊五郎
                 皆鶴姫       時 蔵
                腰元白菊       右 近
                笠原湛海       彦三郎
              吉岡鬼一法眼       左團次
            智恵内実は鬼三太       仁左衛門

二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上(こうじょう)
                      勘太郎改め勘九郎
                           幹部俳優出演

三、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
  道行初音旅
  川連法眼館
     佐藤忠信/佐藤忠信実は源九郎狐  勘太郎改め勘九郎
                 静御前       七之助
                亀井六郎       萬太郎
                駿河次郎       亀三郎
                 源義経       菊之助

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