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2012/11/26

【バレエ】大人っぽくなってきたね/ダニール・シムキンのすべて <インテンシオ>

 シムキン君のガラ、最終日に観てきました。公式サイトはこちら。「インテンシオ」という言葉は初めて聞きましたが、intention(意図)とintense(力強い)を合わせた造語とのこと。なかなかすばらしい公演でした。
 公演が始まると、半透明の幕にシムキンのダンス映像が映し出され、幕の向こう側のライトが明滅するたびに、これから踊るダンサーがスナップショット的に紹介されていくという趣向。アメリカのショー的な感じでなかなかシャレておりますが、一階後方に設置されたプロジェクターの冷却ファンの音(?)がちょっと耳障りでした。映像にはシムキンの父親がかかわっているようですが、プログラムを買ってないのでよくわかりません。
 「Qi(気)」も映像技術を使った演出で、舞台でシムキンが踊ると、背景に写った影が煙の用に変化して行くというもの。パフォーマンスとしてはおもしろかったですが、目がついつい背景の方に行ってしまい、ダンスに集中できませんでした。
 「葉は色あせて」を踊ったジュリー・ケントとコリー・スターンズは、前回のABT来日公演のガラで観たことがあります。「葉は色あせて」は初めてでした。悪くはないですけど、あまり特徴のない振り付けでした。
 続いて「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」。イザベラ・ボイルストンは、ちょっとボリューム感ある体型の、明るい元気娘。やはり前回のABT来日公演で観ているようです。初見のホアキン・デ・ルースは甘いマスクの男性で、際立ったところはないけれど端正な踊りで安定感がありました。
 サンクトペテルブルク・バレエ・シアターのイリーナ・コレスニコワは、2011年春に「白鳥の湖」の来日公演が予定されていて、ぽん太もチケットを取っていたのですが、3.11の影響で日程が変更となり、観ることができませんでした。今回は前半で白鳥のグラン・アダージオ、後半で黒鳥のパ・ド・ドゥを踊るという趣向。「踊る女優」というキャッチコピーさながらの表現力のある踊りでしたが、ちょっと濃すぎるというか、演歌の世界という感じでした。ぽん太の好きなリフトがなかったのも残念。後半の黒鳥では、一転してピチピチした踊りをみせてくれるのかと期待していたのですが、こちらもねっとり妖艶。男のぽん太は、「こういう女に手を出してはいけない」と、本能的に危険信号が発令されます。ん〜〜善し悪しというより好き嫌いだよね。ぽん太はちと苦手。グランフェッテもスピードは速かったけど全部シングルなのがちと不満でした。ピルエットしながら両腕を上げていく技は初めて観ました。王子のウラジーミル・シショフは、ウィーン国立バレエ団所属。今年の春のガラで観ているようです。長身で手足が長く頭が小さくて見栄えがします。踊りも大きく見えますが、ちょっと荒いというか、エレガントな柔らかさに欠けておりました。
 「椿姫」第3幕のパ・ド・ドゥは、ジュリー・ケントは悪くなかったと思うのですが、ロベルト・ボッレがきびきびしすぎていて、狂おしいような感情の高まりが感じられませんでした。やはりこれはルグリの方がいいです。
 さて、前半の〆は、シムキンとコチェトコワという以前に観た「ドンキ」のコンビで、「海賊」のパ・ド・ドゥ。いや〜すばらしい。凄すぎます。シムキンの身体能力にはびっくり。特にあの空中まわしげりみたいなジャンプ(すんません、名前知りません)の高さは、観客席がどよめきました。
吉野山。二人は主従というより恋人のような踊り。コチェトコワはとてもキュートで、メドゥーラとアリは本来主従の関係のはずですが、恋人同士のような雰囲気でした。まあ、コンラッドもいないし、歌舞伎の「吉野山」の静御前と佐藤忠信みたいなもんすかね。グランフェッテでは、回転しながら向きを少しずつ変えて一周するという(わかるかな?)不思議な技を披露。最初、向きがわからなくなったのかと思いました。
 休憩を挟んでシムキン君が「雨」で登場。冒頭の「Qi」と同じくオチョアの振り付けですが、どうもぽん太はオチョアの振り付けがピンとこないというか、なんだか動きが多すぎてせわしなく感じます。伴奏はバッハの「ゴールドベルク変奏曲」のアリア。うなり声が入ってたからグールドの演奏ですかね。
 次のコチェトコワの「ジゼル」も最高でした。ほんとにふわりふわりと空中を漂うようで、ガラ公演ではありますが、「あの溌剌とした少女がこんな哀れな姿になっちゃって〜」と悲しみに襲われ、涙が出てきました。
 「クルーエル・ワールド」も悪くなかった気がしますが、あまりよく覚えてません。
 黒鳥はさっき書いた……と。
 「ロミオとジュリエット」のバルコニーシーン。吉田都のジュリエットはホントに可愛らしくて子供こどもしています。ボッレのロミオは、きびきびした踊りなので若者らしさがあり、「椿姫」よりはよかったです。ただ体がでかすぎて都ちゃんとのバランスが悪かったです。リフトは高かったですねえ。最後はバルコニーの上と下で手が届いていたのがすごかったです。
 最後は「レ・ブルジョワ」でシムキン君が本日4回目の登場。眼鏡をかけて出て来た時は、ハリー・ポッターかと思いました。シャンソンに乗せたコミカルで洒脱なダンスで、くわえ煙草をリズミカルに上げ下げしたりして、洒落っ気たっぷり。ただテクニック的には古典的な動きが多く、シムキンの身体能力は楽しめましたが、コンテンポラリーの振り付けとしてはイマイチだと思いました。「フィギュアスケートでスピンに入る前のように、飛び上がるように足を後ろに跳ね上げる動作」(名称不明)がすごかったです。
 ということで、ぽん太の好みでは1位「海賊」、2位「ジゼル」、3位「ロミジュリ」でした。


ダニール・シムキンのすべて
<インテンシオ>
2012年11月25日 ゆうぽうとホール

〈オープニング〉

「Qi (気)」
振付:アナベル・ロペス・オチョア/音楽:オーラヴル・アルナルズ
ダニール・シムキン

「葉は色あせて」
振付:アントニー・チューダー/音楽:アントニン・ドヴォルザーク
ジュリー・ケント、コリー・スターンズ

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
イザベラ・ボイルストン、ホアキン・デ・ルース

「白鳥の湖」より グラン・アダージオ
振付:レフ・イワーノフ/音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
イリーナ・コレスニコワ、ウラジーミル・シショフ

「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
ジュリー・ケント、ロベルト・ボッレ

「海賊」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
マリア・コチェトコワ、ダニール・シムキン

「雨」
振付:アナベル・ロペス・オチョア/音楽:ヨハン・S. バッハ
イザベラ・ボイルストン、ダニール・シムキン

「ジゼル」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン
マリア・コチェトコワ、ホアキン・デ・ルース

「クルーエル・ワールド」
振付:ジェイムズ・クルデカ/音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
ジュリー・ケント、コリー・スターンズ

「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
イリーナ・コレスニコワ、ウラジーミル・シショフ
黒鳥はどうかと思ったが、こちらもこってり。こういう女に惚れられては危険。グランフェっては速かったけどシングル。

「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
吉田都、ロベルト・ボッレ

「レ・ブルジョワ」
振付:ベン・ファン・コーウェンベルク/音楽:ジャック・ブレル
ダニール・シムキン

〈フィナーレ〉

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