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2012/11/06

【拾い読み】後白河法皇入門『梁塵秘抄』

 今回の大河ドラマ「平清盛」は今ひとつでした。理由は、画面が汚いとか、松山ケンイチの演技が悪いとか、題材が悪いとかいろいろ言われていますが、ぽん太に言わせれば脚本が悪いと思います。「大河」ドラマだからといって史実を全部追っていたら散漫になるのは当たり前で、複雑な史実のなかから物語を取捨選択して、毎回のドラマを作り上げなくては、見ていて面白いはずがありません。
 でも、よく取り上げられる源平合戦よりもちょっと前の時代に触れられたのはよかったです。後白河法皇なんてこれまでまったく知りませんでしたが、なんとなくイメージが涌きました(正しいかどうかは別にして)。
 ということで、後白河法皇が編纂した『梁塵秘抄』をひもといてみました。わかりやすい現代語・日本語訳で有名な光文社文庫版です(川村湊訳、光文社、2011年)。
 みなさんはご存知かと思いますが、無知なるぽん太が自分のためにおさらいしておけば、『梁塵秘抄』は後白河法皇(大治2年(1127年)〜建久3年(1192年))が治承年間(1180年頃)に編纂した歌謡集で、そこに納められているのは「今様」と呼ばれるものです。
 本書の前書きによれば、今様は11世紀後半から12世紀にかけて京を中心に流行したもので、宗教的なものからまったくの俗謡まで幅が広く、伴奏や舞いを伴って歌われ、宮中の余興から神社仏閣の行事、庶民の大道芸としても演じられたものだそうです。今陽は、静御前で有名な白拍子が歌ったものとしても知られてますね。次の歌は、小耳に挟んだことがあると思います。

遊びをせんとや生まれけん 戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子どもの声きけば、わが身さえこそゆるがるれ(原歌359)
 本書は、『梁塵秘抄』から100の歌を選び、かなりこなれた訳を付け加えたものです。仏教的な歌を恋愛の歌として訳すなどかなりぶっ飛んだ訳ですが、雰囲気がわかって悪くはありません。かくゆうぽん太も昔古典の時間に清少納言の「春はあけぼの…」を、「朝方になって、高層ビルが紫に光るわ」と訳してえらく怒られた記憶があります。
 で、ぽん太は『梁塵秘抄』を文学的に批評する力はありませんので、以下、いつものような拾い読みです。
四方の霊験所は 伊豆の走湯 信濃の戸隠 駿河の富士の山 伯耆の大山 丹後の成相とか 土佐の室生戸 讃岐の志度の道場とこそ聞け(原歌310)
 日本各地のパワースポットを挙げた歌。「伊豆の走湯」ってどこでしょう。こちらのようです。熱海の少し北の伊豆山温泉にあるんですね。あそこらへんは高級旅館が多いので、行ったことがありませんでした。そのうち見に行ってみます。「丹後の成相」は、天橋立近くの成相寺のようです。「志度の道場」はこちらの志度寺ですね。

 原歌314の解説。「清水寺は、最初の征夷大将軍の坂上田村麻呂が、その東北征伐であまりに多くのエミシを殺したので、その魂を祀るために建てたと伝えられる、観音菩薩を本尊とした寺である」。ううう、そんな恐ろしい由来があるとは知りませんでした。しかし、清水寺公式サイトの縁起のページWikipediaに坂上田村麻呂は出て来るが、「多くのエミシを殺したので」という下りはないぞ。よくわからん。

京より下りしとけのほる 島江に屋建てて住みしかど そも知らずうち捨てて いかに祭れば百大夫験なくて 花の都に帰すらん(原歌375)
 解説によれば、「百太夫」とは遊女の守り神で、男根をかたどった柱のようなかたちで、大きいものは道祖神として路傍に祀られ、小さいものは「金精様」として遊女の部屋に祀られたんだそうな。
 「金精様」と聞くと、ぽん太は日光の「金精峠」を思い出しますが。Wikipediaを見ると、金精峠には金精神社があり、男根をご神体としているとのこと!キター!
 公式サイトはなさそうなのでWikipediaを見ると、巨根だったという道鏡に由来するものだそうな。金精信仰は、関東・東北地方に盛んで、子宝や豊穣に霊験があるそうですが、性病にも効くといわれ、このあたりが遊女とつながっているのかもしれません。

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