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2013/02/13

【文楽】文楽の面白さが少しわかってきたよ。2013年2月国立劇場第二部・第三部

 文楽はあまり観たことがないぽん太ですが、久々に観に行って来ました。公式サイトはたぶんこちら
 ぽん太は歌舞伎はけっこう好きなのですが、文楽の良さは実はこれまでいまいちわかりませんでした。しかし今回、ようやく文楽の良さがわかりかけてきました。歌舞伎は俳優さんたちの身体パフォーマンスが主で義太夫は従ですが、文楽では義太夫が主なんですね。それがわかったのは、国立劇場で文楽を観たおかげ。これまでぽん太は、ホールを会場にした地方公演でした文楽を観たことがありませんでした。国立劇場小劇場では、義太夫さんの声が細かいところまでよく聞こえ、その魅力がわかりました。また地方公演では予算の関係からか、義太夫さんと三味線が各一名という編成だったのですが、今回の国立劇場の公演では、複数の義太夫さんや三味線の共演があり、新たな面白さがありました。それから字幕があって、意味がよくわかっただけでなく、義太夫の詞章の「日本語の美しさ」を味わうことができました。ぽん太は双眼鏡で一生懸命人形を観ていたのですが、他の常連さんたちが双眼鏡を使っていないのもヒントとなりました。それにプログラムもよく見ると、義太夫と三味線が先に書いてあって、人形遣はあとですよね。それから気がついたのですが、人形の左手や脚を遣っている人たちって、顔も出ないしプログラムに名前も書いてないんですね……って、初心者の驚きを延々と綴ってごめんなさい。
 第二部、「小鍛冶」は、音楽に合わせてリズミカルに刀を鎚で打つ、人形遣さんのテクに感動しました。「曲輪ぶんしょう」の「吉田屋」は、歌舞伎でもおなじみの演目。嶋太夫の義太夫が、なんか背中も曲がってて、声も若い人に比べると張りがないのに、とっても味があってすばらしかったです。
 「関取千両幟」は歌舞伎では観たことない演目。贔屓筋の若旦那の身請けのために、相撲をわざと負けるという話しで、「双蝶々曲輪日記」の「角力場」とちょと似ております。しかし、妻が身を売ったお金のおかげで勝ちをおさめるという結末です。けっこう感動的ですが、よく考えると女性差別のひどい話しです。歌舞伎で演じられないのは、その悲しい結末のせいか。それとも有名な「角力場」とちとかぶっているからかしら。女房おとわの人形を遣った蓑助が流石でした。文楽初心者のぽん太には、どこがいいのか具体的にはわからないのですが……。胸(胴体)の動きの美しさや、普通に座っている時に、手がちょっと動いたりしているのは気がつきました。人間国宝の義太夫の源太夫が病気休演だったのは残念ですが、代役の若手の呂勢大夫も、若々しいうえに上手でした。それから、三味線の曲弾きが面白かったです。相撲の櫓太鼓の音を三味線で真似ることから始まり、様々な三味線の超絶技巧が披露されていきます。ところが途中から、変な持ち方で弾いたり、バチを放り投げたりと、曲芸的な演奏になっていきます。超絶技巧の演奏と曲芸と、現代ではまったく別のものと考えられるものが、一連のものとしてつながっているところが面白かったです。この演奏も、江戸時代から伝わっているものなのでしょうか?
 第三部は「妹背山婦女庭訓」の通しです。むかし歌舞伎で、苧環を持って踊るのを観た気がしますが、よく覚えてません。文楽の楽しみ方が分かってきた今、物語のなかに入り込んで観ることができ、とっても感動しました。でもこれも、身分が違うから仕方がないとはいえ、命を失いながらも恋する人のために自分が役に立ったことを喜ぶという、とってもやるせない話しでした。文楽は人形が演じる分、歌舞伎でやるよりも不条理さが和らぐのかもしれません。
 文楽のプログラム、床本がついているのがありがたいです。ぜひ歌舞伎でもお願いします。
 しかし某市長は、文楽をみてこの素晴らしさが分からなかったのでしょうか。彼には吉本新喜劇しか理解できないのかもしれません。理解できなかったにしても、「自分には理解できないけれども、価値があるものが存在する」とか、「歴史的なものは保存する義務がある」といった考えはないのでしょうか?困ったものです。


人形浄瑠璃文楽2月公演
平成25年2月10日 国立劇場小劇場

<第二部>

 小鍛冶(こかじ)
      稲荷明神 竹本千歳太夫
      宗近   豊竹始太夫
      道成   豊竹靖太夫
      ツレ   豊竹咲寿太夫
         豊竹亘太夫
      <人形役割>
      三条小鍛冶宗近  吉田文昇
      老翁実は稲荷明神 豊松清十郎
      勅使橘美道成   吉田清五郎

 曲輪ぶんしょう(くるわぶんしょう)
    吉田屋の段
       口 豊竹睦太夫
         鶴澤清馗
      ツレ 鶴澤清公

       切 豊竹嶋太夫
         豊澤富助
      ツレ 豊澤龍爾

 関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)
    猪名川内より相撲場の段
      おとわ 竹本呂勢大夫
      猪名川 豊竹松香太夫
      鉄ヶ嶽 竹本相子太夫
          鶴澤藤蔵
       ツレ 鶴澤清志郎
      <人形役割>
      猪名川 吉田玉也
      鉄ヶ嶽 吉田文司
      おとわ 吉田蓑助

<第三部>

 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
    道行恋苧環
    鱶七上使の段
    姫戻りの段
    金殿の段

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