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2013/03/13

【歌舞伎】勘九郎やるっきゃない/2013年3月赤坂ACTシアター

 ぽん太が「怪談乳房榎」を観るのは3回目。初回は2009年8月の歌舞伎座で勘三郎。2回目は2011年8月の新橋演舞場で、主役が勘太郎(当時)、七之助のお関、獅童の浪江と、メインキャストが今回と同じでした。
 しかし、2回目の記憶がぽん太の頭からすっかり抜け落ちていました。今回の公演を見終わって家に帰り、自分のブログの記事を読み直して、ようやく以前に観たことを思い出しました。
 う〜ん、ぽん太の記憶力低下のせいか、それともぽん太の体調が悪かったのか、はてまた印象に残らないような舞台だったのか……よくわかりません。当時の自分の記事を読み返して見ると、「真面目な勘太郎が一生懸命頑張ってるけど、なんかいっぱいいっぱい」という感じだったのかもしれません。
 でも今回は、とっても楽しめました。
 まずは三役をこなした勘九郎。ACTシアターの客は歌舞伎をあまり観たことがない人が多いのか、早変わりでは「なんで〜」と驚きの声があがってました。うわばみ三次のようなハリのある役はもとより上手な勘九郎ですが、菱川重信は風格があり、そしてなによりも正助は、さすがに勘三郎の至芸にはかないませんが、素直に笑うことができました。まさに伸長著しいという感じ。父親が亡くなって、責任感と、良い意味の居直りが出てきたのかもしれません。
 七之助が重信の妻お関。円朝の原作では、情交を重ねるうちに自ら浪江を求めるようになっていく悪女として描かれていますが、歌舞伎ではあくまでも浪江にだまされた貞淑な妻。そのお関を、七之助はきっちりと演じておりました。でもそうなると、最後にお関の乳房が腫れる理由がわかりにくくなります。この辺は、こんかい乳房榎の場を加えた演出の問題ですね。
 磯貝浪江は中村獅童。前回は、ちんぴらみたいで色気もなければ巨悪っぽさもありませんでしたが、今回はなかなか良かったです。拍手拍手。
 上にもちと書きましたが、十二社の滝の後は、前回は円朝が出て来ましたが、今回は円朝のかわりに松井三郎という人物が加わり、そして乳房榎の場がありました。それによって「怪談乳房榎」というタイトルの意味は理解できましたが、最後の仇討ちシーンは菱川重信の霊の力が加わらないと、辻褄があわない気がしました。またお関が悪女じゃないと、乳房が腫れたのが腑に落ちないのは先ほど述べた通り。
 原作の落語の「乳房榎」ゆかりの場所については、こちらのサイトが詳しいですが、それによると、乳房榎があったのは板橋区赤塚の松月院(たとえばこちら)だそうですが、乳房榎は残っていないようです。『次郎物語』で有名な下村湖人の墓もあるようですね。
 最初の場面は、茶店に「長命寺」と書いてありましたから、墨田区向島の長命寺ですね。例えばこちらをご覧下さい。地図を見るとわかるように、隅田川の向こう側が猿楽町です。今回の舞台の背景には、芝居小屋と、神社のある小山が描かれてました。芝居小屋には、中村屋の角切銀杏(すみきりいちょう)の紋(こちらをどうぞ)がありました。江戸時代の中村座でしょうか?みなさん、気がつきました?その右にあった境内のある小山は、待乳山聖天かもしれません。
Img_0206 ぽん太は乳房榎というのは見たことがありませんが、乳房イチョウは見たことがあります。場所は奇しくも、歌舞伎の創始者出雲の阿国の生まれ故郷で、出雲大社の西、於國塔の登り口にあります。写真のように、まるで乳房のような枝(?)が垂れ下がっています。


中村勘九郎襲名記念
赤坂大歌舞伎
平成25年3月10日

三遊亭円朝 口演
怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)

  中村勘九郎三役早替りにて相勤め申し候

          菱川重信/下男正助/うわばみ三次  中村勘九郎
                     重信妻お関  中村七之助
                      松井三郎  片岡亀 蔵
                      磯貝浪江  中村獅 童

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