« 【フロイト「不気味なもの」を読む(3)】イェンチュ批判/unheimlichの語義(p4〜16) | トップページ | 【フロイト「不気味なもの」を読む(4)】ホフマンの『砂男』のフロイトによる要約(p16〜22) »

2013/03/06

【バレエ】ベジャールの熱狂とジル・ロマンの繊細さ/モーリス・ベジャール・バレエ団<Aプロ>

 モーリス・ベジャール・バレエ団の2013年日本公演、こんかいは日程の関係でAプロのみの鑑賞でした。公式サイトはこちら。ダンサーたちの迫力、ベジャールのダイナミックな振付け、そしてジル・ロマンの繊細な美意識が楽しめました。あゝ、よきかな、よきかな。
 まずは「ディオニソス組曲」。ぽん太は初めて観る演目でした。公式サイトの解説によれば、ニーチェの思索を舞台に再現した大作「ディオニソス」から一部を抽出して作られたものだそうです。
 ギリシャを題材にしたベジャールの作品というと「ギリシャの踊り」が思い出されますが、そちらが地中海をはじめとするギリシャの自然を描いているとすれば、「ディオニソス組曲」はギリシャの人間を表現しているように思われます。
 ディオニソスはギリシャ神話の神様ですが、バッカスという別名の方が有名かもしれません。ディオニソスはローマ神話ではバックスという名前で、その英語読みがバッカスです。お酒の神様ですね。
 ということでベジャールの振付けも、「ギリシャの踊り」とは全く異なり、エネルギッシュで熱狂的で艶やかで、ときには猥雑な印象さえ受けるものでした。赤いコスチュームも情熱的でした。背景には横尾忠則の絵が使われていました。「ディオニソス組曲」の元の「ディオニソス」の初演は1984年とのこと。横尾忠則のいわゆる「画家宣言」が1982年ですから、その直後ですね。なんだか懐かしいです。
 ダンサーたちのパフォーマンスは迫力満点。とっても素晴らしかったです。バックで踊っていた日本人は大貫真幹でしょうか、キレのある踊りで要所ようしょのポーズが美しかったです。
 次はジル・ロマン振付けの「シンコペ」。フランス語の題名は「SYNCOPE」で、発音はカタカナで書けば「サンコープ」という感じでしょうか、音楽のシンコペーションという意味と、医学の失神・心停止という意味があります。題名の通り、シンコペーションを多用した音楽が使われたり、ときどきダンサーが卒倒したりしてました(最後は突然息を吹き返すというコミカルな演出でした)。コスチュームも含め、繊細でオシャレでちょっとユーモラスな作品でした。電灯女、ソファのなかに飲み込まれてくぐり抜ける、籠のなかの鳥、突然広がる羽など、幻想的イメージがたくさんちりばめられていて素敵でしたが、なんか前回の「アリア」もそうでしたが、ちょっと小道具に頼りすぎる気もしないでもありません。踊りも繊細でしたが、やはり手足の細かい動きが多いようで、次はもっとダイナミックな踊りも見てみたいです。
 最後は「ボレロ」。メロディはエリザベット・ロスでした。身体パフォーマンスとしては、例のジャンプの連続で脚の引きつけが不十分だったりしましたが、独特の雰囲気と魅力がありました。妖艶というわけではなく、ギエムのようなエネルギッシュさでもないのですが、男をはべらせる存在感とカリスマ性が感じられました。またぽん太は今回はじめて、リズムの踊りの美しさに目が行きました。
 今回の公演は録音テープが使われておりましたが、音質がなかなかよかったです。公演によっては、運動会の拡声器みたいな音質の時がありますが、NBSさん、今後もこの音響システムでお願いします。

モーリス・ベジャール・バレエ団 2013年日本公演
<Aプロ>
2013年3月3日(日)東京文化会館


「ディオニソス組曲」
振付:モーリス・ベジャール  音楽:マノス・ハジダキス

ディオニソス:オスカー・シャコン
ギリシャ人:マルコ・メレンダ
ゼウス:ジュリアン・ファヴロー
セメレー:カテリーナ・シャルキナ
マヌーラ・ムウ*:リザ・カノ(*ギリシャ語で"私のお母さん"の意)

タベルナ(居酒屋)の人々
ギリシャの女:リザ・カノ
上流社会の婦人:マーシャ・ロドリゲス
アナーキスト:フロレンス・ルルー=コルノ
娘:ジャスミン・カマロタ
二人の水夫:那須野圭右、ヴィタリ・サフロンキーネ
労働者:フェリペ・ロシャ
ジゴロ:ローレンス・リグ
学生:ウィンテン・ギリアムス、エクトール・ナヴァロ
船長:アンジェロ・ムルドッコ
ならず者:ファブリス・ガララーギュ
ギリシャの農民:ホアン・ヒメネス
若者:大貫真幹
他、モーリス・ベジャール・バレエ団


「シンコペ」
振付:ジル・ロマン  音楽:シティ・パーカッション

序曲:ガブリエル・アレナス・ルイーズ-エリザベット・ロス
水滴の踊り:
カテリーナ・シャルキナ-オスカー・シャコン
キャサリーン・ティエルヘルム-ホアン・ヒメネス
ジャスミン・カマロターネ-マルコ・メレンダ
キアラ・パペリーニ- エクトール・ナヴァロ
フロレンス・ルルー=コルノ-ウィンテン・ギリアムス
ソロ:ガブリエル・アレナス・ルイーズ
トリオ:カテリーナ・シャルキナ-オスカー・シャコン-ホアン・ヒメネス
パ・ド・ドゥ:アランナ・アーキバルド-ガブリエル・アレナス・ルイーズ
パ・ド・ドゥ:カテリーナ・シャルキナ-オスカー・シャコン
白衣の踊り:
キャサリーン・ティエルヘルム、シモナ・タルタグリョーネ、フロレンス・ルルー=コルノ、
キアラ・パペリーニ、リザ・カノ、エクトール・ナヴァロ、マルコ・メレンダ、
ウィンテン・ギリアムス、ホアン・ヒメネス
パ・ド・ドゥ:コジマ・ムノス-アンジェロ・ムルドッコ
若者の踊り:
ガブリエル・アレナス・ルイーズ、オスカー・シャコン、エクトール・ナヴァロ、
マルコ・メレンダ、ウィンテン・ギリアムス
ソロ:エリザベット・ロス
フィナーレ:全員


「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール  音楽:モーリス・ラヴェル

メロディ:エリザベット・ロス
リズム:那須野圭右、マルコ・メレンダ、アンジェロ・ムルドッコ、イェー・ルッセル
他、モーリス・ベジャール・バレエ団

協力:東京バレエ団、東京バレエ学校

|

« 【フロイト「不気味なもの」を読む(3)】イェンチュ批判/unheimlichの語義(p4〜16) | トップページ | 【フロイト「不気味なもの」を読む(4)】ホフマンの『砂男』のフロイトによる要約(p16〜22) »

芸能・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74997/56897168

この記事へのトラックバック一覧です: 【バレエ】ベジャールの熱狂とジル・ロマンの繊細さ/モーリス・ベジャール・バレエ団<Aプロ>:

« 【フロイト「不気味なもの」を読む(3)】イェンチュ批判/unheimlichの語義(p4〜16) | トップページ | 【フロイト「不気味なもの」を読む(4)】ホフマンの『砂男』のフロイトによる要約(p16〜22) »