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2013/06/18

【歌舞伎】海老蔵の「助六」に團十郎を想う・2013 年6月歌舞伎座第3部

 6月の歌舞伎座は第3部だけ観劇しました。公式サイトはこちらです。
 「助六由縁江戸桜」は、当然團十郎が新歌舞伎座杮葺落として演ずるはずだった演目ですが、皆さんご存知の成り行きとなりました。
 いまさらというか、今頃になってというか、ぽん太の記憶に残る團十郎の名舞台を思い出してみると、最初はもちろん「助六」や「勧進帳」が頭に浮かんで来るのですが、実はぽん太が一番感動したのは、「一谷嫩軍記」の「陣門・組打」でした。自分のブログを検索してみると、2008年の3月に歌舞伎座で観たようです。「一谷嫩軍記」というと「熊谷陣屋」が有名ですが、「陣門・組打」はその前段で、熊谷直実が戦場で自分の息子小次郎の首を斬る場面です。それまでぽん太は、團十郎の持ち味は、ベチャベチャした情とは無縁のカラリとした外面性だと思っていました。ところが「陣門・組打」では、我が子を手にかける父親の内面的な心情が、痛いほど伝わってきました。息子の首を切ったあと、後片付けをする場面が長々と続くのですが、そこには非常に濃密で緊迫した時間が流れており、後に「熊谷陣屋」のラストで慟哭の瞬間に爆発する情動が、潜在的な形で表現されていました。
 ぽん太が小耳に挟んだことなので真偽は不明ですが、團十郎は複雑な家庭環境に育ち、ストレートに父親の愛情を受けることができませんでした。そのため息子海老蔵に対しても、父親としてどう接していいのか分からなかったといいます。「陣門・組打」は、そのような複雑な父子関係を生きた人だからこそできた演技なのかもしれません。

 ということで、今回の海老蔵の「助六」も父團十郎と比べてみたくなるのですが、團十郎の助六が、真面目で鷹揚、人柄のよさが目立ったのに比べ、海老蔵は持ち前の男前による色気に、若さならではのパワーがあります。また侠気や凄みがあるのですが、ともすればそれが怖く、やくざっぽく感じられてしまいます。
 例えば、「鼻の穴へ屋形船蹴こむぞ、コリャまた、なんのこったい」と、喧嘩をふっかける稽古を兄につける場面では、團十郎ではとぼけた滑稽さが感じられましたが、海老蔵だとちと怖いというか、ホントにむかっと来るところがあります。そしてついつい例の事件を思い出してしまうあたりは、海老蔵の人徳のなさのなせるわざか。
 怖さが頼もしさになり、やくざっぽさが色気に変わって欲しいと願うぽん太です。ついでに発声も直してね。
 福助の揚巻、華やかさ、気っ風の良さ、押し出し、どれも素晴らしかったです。七之助の白玉も美しく、次世代(次々世代?)の立女形の風格十分。次々々世代の五人の傾城も華やかでしたが、ぽん太ご贔屓の壱太郎はちょっと声を張り上げすぎてきつく聞こえました。新悟のはんなりした色気がよかったです。くわんぺら門兵衛、吉右衛門のとぼけた味わいと、リズム感のあるセリフ回しが最高でした。白酒売新兵衛の菊五郎の間も、いつもながらの絶品。三津五郎の通人がさすがの器用さ。さよなら公演の勘三郎の通人も面白かったな。左團次の意休も手慣れた芸。
 
 「鈴ヶ森」は梅玉の白井権八。例によって美しく高貴な若武者ぶりでしたが、既に人を殺めてお尋ね者になっているという「影」の部分、追いつめられた感じにはちと欠けました。これも他界する直前の勘三郎の凄みはすばらしかったな〜。そして吉右衛門が、重苦しい空気をパッと明るくしたのが思い出されます。

歌舞伎座新開場
杮葺落六月大歌舞伎
平成25年6月16日 歌舞伎座

第三部

一、御存 鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)  
    幡随院長兵衛 幸四郎
    東海の勘蔵 團 蔵
    飛脚早助 錦 吾
    北海の熊六 家 橘
    白井権八 梅 玉

  十二世市川團十郎に捧ぐ
二、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
  河東節十寸見会御連中
 
    花川戸助六 海老蔵
    三浦屋揚巻 福 助
    通人里暁 三津五郎
    朝顔仙平 又五郎
    福山かつぎ 菊之助
    三浦屋白玉 七之助
    男伊達山谷弥吉 亀 鶴
    同  田甫富松 松 也
    同  竹門虎蔵 歌 昇
    同 砂利場石造 萬太郎
    同  石浜浪七 巳之助
    傾城八重衣 壱太郎
    同  浮橋 新 悟
    同  胡蝶 尾上右近
    同  愛染 米 吉
    同 誰ヶ袖 児太郎
    茶屋廻り 竹 松
    同 廣太郎
    同 種之助
    同 廣 松
    文使い番新白菊 歌 江
    奴奈良平 亀 蔵
    国侍利金太 市 蔵
    遣手お辰 右之助
    三浦屋女房お京 友右衛門
    曽我満江 東 蔵
    髭の意休 左團次
    くわんぺら門兵衛 吉右衛門
    白酒売新兵衛 菊五郎
   
    口上 幸四郎

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