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2013/07/16

【バレエ】ねっとり系バレエも悪くない・ルジマトフ「バレエの神髄 2013」

 ルジマトフの「バレエの神髄」を観て来ました。公式サイトはこちらです。
 先日観た「ロイヤル・ガラ」に比べると、アスレチックな要素が強いような気がしたのですが、あるいは久々に席が前の方だったので、ダンサーの動きがよく見えたため、よけいそう感じたのかもしれません。
 「パキータ」は、キエフ・バレエによる群舞やヴァリアシオンが着いてました。英国ロイヤルに比べると、エレガンスさや柔らかさに欠けますが、テクニックは見応えがありました。キエフ・バレエのペアで、カテリーナ・クーハリはちょっとアジア系が入ったエキゾチックな顔立ちで、とても安定してました。グラン・フェッテでは、シングルではありましたが、最後はスピードを上げて音楽を追い抜いていきました。オレクサンドル・ストヤノフは手足が長く大きな踊りでした。
 ついでお待ちかね、ルジマトフの登場。最初は外套を着ていたけど、途中で脱いでお決まりの上半身裸に。う〜ん、体のラインは崩れてません。すごいな、このおっさん、いったい何歳なんや……とググってみると、1962年生まれとのこと。ぽん太とあまり変わらないやん。民族音楽にのせた、「気」の入ったパフォーマンスでしたが、なんとなく武術風。ロマノフスキーという人の振り付けらしいけど、プログラムを買わなかったので、どういう人なのかよくわかりません。もうちょっと「踊り」を観たかったです。
 3番目は岩田守弘の「海賊」。場内放送によれば、初日の公演中に足を痛めたため「ナヤン・ナヴァー」だけ踊る予定でしたが、幸いなことに「海賊」も踊ることになったとのこと。あゝ、よかった。ところが相手の女(チェプラソワ)がでかいです。しかもどちらかというとムッチリ系。当初予定してたハニュコワから変更になったようですが、岩田さん、足を痛めてるというのに大丈夫かしら。ピルエットのサポートも大変そう、と思ってたらリフトで落としてしまいましたcoldsweats02。さすがに自身のジャンプの高さやピルエットの早さは素晴らしかったけど、ちと気の毒でした。つられてかチェプラソワも、グラン・フェッテに2回転をおりまぜていたものの、最後は観客に背を向けて止まってしまい、なんかグズグズの舞台になってしまいました。ところでチェプラソワは昔マリインスキーの来日公演で観ましたが、キエフに移ってたんですね。
 ルジマトフに負けないねっとり系のフィリピエワの「瀕死の白鳥」。羽の動きが素晴らしかったです。「得意技を踊ったるわ〜」という感じで、儚さにはちと欠け、むしろ強さのようなものを感じました。
 第一部の最後は「ドンキ」。マリインスキーのエレーナ・エフセーエワが、キエフ・バレエのセルギイ・シドルスキーと踊りました。エフセーエワがパワー全開。扇子のソロもテンポが速かったし、グランフェッテでは前半はドゥブルを交え、後半では片手を水平に開き、もう片手でスカートの端を持ってのピルエットでした。最後のピルエットしながら直線上に進む技も、すごいスピードでした。なんか競技を観てるみたい。10点満点!
 第2部の幕開きは、クーハリ、ストヤノフの「ロミジュリ」からバルコニー・シーン。あれれ、なんだか不思議な振り付け。最初の飛び跳ねるような音楽のところで、普通はロミオが踊るのに、ジュリエットが踊ってました。片手リフトも入ってたり。振り付けのシュケロという人は知りませんが、悪くはなかったけど、はっきりとしたプラスの部分があるわけでもなく、それだったらわざわざ振り付けを変えずに、マクミラン版でもよかったような気がしました。決して欧米の真似はしないってか?なんか昔の冷戦時代を思い出すにゃ〜。それはさておき、クーハリは魅力的ですね。
 次は岩田守弘の「ナヤン・ナヴァー」。世界初演です。なんかケルトっぽい感じもする音楽で、途中雨の音が聞こえたりして、「アイヌが神様に捧げる踊り」みたいな雰囲気でした。プログラムを立ち読みしたところでは、蒙古襲来によって生来の土地を離れなければない人たちの捧げる祈りを意味しているそうです。やっぱり武道っぽい動きで、しかも短い。
 次いで「ドンキ」で驚異的な身体能力を見せたエフセーエワが、「白鳥の湖」のロシアの踊りで、こんどは表現力を見せつけました。
 そして吉田都の「ラ・シルフィード」。ロイヤル・スタイルを身につけた彼女の踊りを観ると、キエフ・バレエと目指すものが全く違うのがよくわかりました。キエフのダンサーは、筋力を使ってブンブン踊ってる感じですが、吉田都はあくまでも軽く柔らか。シルフィードという役柄もあいまって、ほんとに重さがないかのようでした。
 さあ、こんかいの目玉、ルジマトフの「ボレロ」……って、ベジャール版じゃないんかい!ニコライ・アンドロソフという人の振り付けだそうです。公式サイトにインタビューが乗ってます。さすがルジマトフを知り尽くした男というか、ルジマトフの魅力をこれでもかと見せつけてくれる振り付けでした。でも、ベジャール版を踊ったらどうなるかも、観たかったにゃ〜。
 最後は「シェヘラザード」。3年前に同じフィリピエワ、ルジマトフで観た演目です。ねっとりとしたルジマトフの世界を堪能。ただセットが安っぽかったです。フォーキンの振り付けも、何度も観てるとちと飽きて来ますが、それでもやらなければならないのは、英国ロイヤルのアシュトン、歌舞伎の「勧進帳」みたいなものか?
 先日の英国ロイヤルとは正反対の、ねっとりしたド演歌の世界。これもまた悪くありません。バレエっていろいろだな〜。空席もありましたが、ルジマトフのコアなファンも多いようで、やや御高齢のお嬢様方からの花束攻めに合ってました。
 


「バレエの神髄」
2031年7月15日 文京シビックホール

第1部 ガラ・コンサート

「パキータ」より
クーハリ、ストヤノフ、キエフ・バレエ
音楽:L.ミンクス 振付:M.プティパ

「帰還」新作初演
ルジマトフ
音楽:民族音楽 振付:V.ロマノフスキー

「海賊」よりパ・ド・ドゥ
チェプラソワ、岩田守弘
音楽:R.ドリゴ 振付:M.プティパ

「瀕死の白鳥」
フィリピエワ
音楽:C.サン=サーンス 振付:M.フォーキン

「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ
エフセーエワ、シドルスキー
音楽:L.ミンクス 振付:M.プティパ


第2部 ガラ・コンサート

「ロミオとジュリエット」よりバルコニーの場面
クーハリ、ストヤノフ
音楽:S.プロコフィエフ 振付:A.シェケロ

「ナヤン・ナヴァー」新作世界初演
岩田守弘
音楽:V.ジャルサーノフ 振付:P.バザロン

「白鳥の湖」よりロシアの踊り
エレーナ・エフセーエワ
音楽:P.ちゃいこふすきー 振付:M.プティパ、L.イワノフ 改訂振付:V.ワシリエフ

「ラ・シルフィード」よりパ・ド・ドゥ
吉田都、シドルスキー
音楽:H.レーヴェンショルド 振付:A.ブルノンヴィル

「ボレロ」
ルジマトフ
音楽:M.ラヴェル 振付:N.アンドローソフ

第3部 「シェヘラザード」(全1幕)

ルジマトフ、フィリピエワ、キエフ・バレエ
音楽:N.リムスキー=コルサコフ 振付:M.フォーキン

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