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2013/07/17

【歌舞伎】菊之助・染五郎の「東海道四谷怪談」は本格歌舞伎でありつつも現代を写し出す・2013年7月歌舞伎座夜の部

 「東海道四谷怪談」というと、ケレンに満ちたおどろおどろしい怪談話だと思ってましたが、菊之助のお岩は本格的な歌舞伎の芸を見せてくれました。特に二幕目が絶品でした。公式サイトはこちらです。
 二幕目では、伊右衛門の子を産んだお岩は、血の道に効く薬と信じて飲んだ毒薬によって醜い顔に変貌します。真実を知ったお岩は、復讐のための身支度をするうちに、死んでしまいます。いわゆる「怪談もの」の見せ場ですから、普通は後半でおどろおどろしさを強調し、観客を怖がらせようとするところですが、菊之助のお岩はあくまで型をくずしませんでした。薬を飲むために病んだ身体を引きずって水を取りに行ってくるところ、貴重な薬を一粒たりとも残すまいと飲み下すところ、細かく丁寧な演技の積み重ねの美しさにぽん太は見とれてしまいました。これぞ歌舞伎の芸という感じです。そしてその芸に支えられて、お岩の誠実さが伝わってきて、醜い顔にななっていることを知らずに可憐に振る舞う姿は、哀れでなりませんでした。とはいえ、もっぱら古典的というわけではなく、現代的なセンスも感じられ、立ち姿など玉三郎かと思うような彫像的な美しさがありました。
 民谷伊右衛門の染五郎も、世話物っぽくしないで、菊之助にスタイルを合わせてました。セリフの内容は忘れてしまったのですが、染五郎がお岩に対して大声を張り上げるセリフがすばらしく、歌舞伎座全体が数秒にわたって凍り。それはまさしく現代の若者のキレた時の口調で、その生々しさに観客全員が凍り付き、数秒にわたって劇場が静まり返りました。染五郎はこのセリフで、「四谷怪談」が単なる過去の怪談話ではなく、現代の人間関係をもえぐり出していることを示しました。染五郎の現代劇っぽいところはぽん太は嫌いなのですが、今回に限っては深く感心いたしました。
 松緑は、一幕目は勢いがあってよかったけど、三幕目はいつもの棒読みっぽい。小山三さん、中村屋以外でも出るんですね。序幕の菊之助の与茂七との掛け合いのセリフ、聴いてるだけで気持ちよくなりました。
 「滝野川蛍狩の場」はぽん太は初めて観ました。お岩と伊右衛門が愛し合っていた頃の回想シーンという感じで、これまた見ていて、身につまされるというか、胸が締め付けられました。ラストの雪は省略し、夏の芝居として仕上げてました。

歌舞伎座
歌舞伎座新開場柿葺落
七月花形歌舞伎
平成25年7月14日

通し狂言 東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)
 
  序 幕 浅草観音額堂の場
      宅悦地獄宿の場
      浅草暗道地蔵の場
      浅草観音裏田圃の場
  二幕目 雑司ヶ谷四谷町伊右衛門浪宅の場
      伊藤喜兵衛内の場
      元の伊右衛門浪宅の場
  三幕目 本所砂村隠亡堀の場
  大 詰 滝野川蛍狩の場
      本所蛇山庵室の場
   
お岩/佐藤与茂七/小仏小平 菊之助
直助権兵衛 松 緑
奥田庄三郎 亀三郎
お袖 梅 枝
お梅 右 近
四谷左門 錦 吾
按摩宅悦 市 蔵
後家お弓 萬次郎
伊藤喜兵衛 團 蔵
民谷伊右衛門 染五郎

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