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2013/08/17

【歌舞伎】七之助のお染と鏡獅子・2013年8月歌舞伎座第一部

 八月納涼歌舞伎、先日観た第三部は「狐狸狐狸ばなし」に「棒しばり」という楽しいプログラムでしたが、第一部は「野崎村」に「春興鏡獅子」という本格的な演目でした。公式サイトはこちら
 名作と名高い「野崎村」ですが、スペクタクルなラストを除くと、室内での対話が延々と続き、ちと眠くなります。身体表現の歌舞伎よりも、「語り」に特化した文楽の方が向いているのかも。
 それから、訪ねて来たお染がすでに久松の子を身ごもっていることや、最終的にはお染と久松は心中することなどを知らないと、あんまり楽しめません。
 劇中で言及される「お夏清十郎」については、Wikipediaに出ています。寛文2年(1662年)に播州姫路でおきた駆け落ち事件だそうです。旅籠の大店・但馬屋の娘お夏が、手代の清十郎を駆け落ちしますが捕らえられ、清十郎はかどわかしと店金持ち逃げの濡れ衣を着せられて打ち首となり、お夏は狂乱するという話しだそうです。これはいわゆる「心中」ではないのですね。
 「お染久松」の方は、こちらの文化デジタルライブラリーのサイトが詳しいです。宝永7年(1710年)正月6日に、大坂板屋橋南詰の油問屋の細工場で、丁稚の久松が主人の娘そめと刃で心中した事件だそうですが、もちろん異説もあるようです。時代的には、「お夏清十郎」から約50年後ということになります。事件直後の宝永7年(1710年)2月に歌舞伎の『心中鬼門角』(しんじゅうきもんかど)が上演されました。事件からわずか1ヶ月です。すごいスピードですね。そして人形浄瑠璃では、同じ年の春頃、『お染久松袂の白しぼり』(おそめひさまつたものしらしぼり)が上演されました。この題名は歌祭文の歌詞から取ったものだそうで、ということは事件から数ヶ月の間に、「お染久松」の心中は歌祭文となり、人々に知られていたということでしょうか!『お染久松袂の白しぼり』では、久松の父・久作が野崎村に住んでいたことになっているようです。現実ではどうだったのか、『心中鬼門角』ではどうだったのか、ぽん太にはわかりません。
 さて、こんかいの舞台に戻ると、後家お常が登場しないヴァージョンでしたね。目の不自由なお常が、お光が髪を切ったことに気がつかずに、お光の花嫁姿を誉め讃える場面は感動的なのですが……。
 福助のお光は、あどけない田舎娘を「作ってる」感じになってしまいましたが、それはそれで悪くはなかったです。お染の七之助は目の覚めるような美しさでしたが、大店の箱入り娘らしいおっとりした感じには欠けました。「江戸」の町娘みたいで、芯が強そうでした。久松を関西系の扇雀が演じていたせいで、よけいにそう感じたのでしょうか。扇雀から漂う上方味は、「狐狸狐狸ばなし」でもそうでしたが、なかなか雰囲気があります。彌十郎の久作も熱演でしたが、舞台全体として、お光の自己犠牲を褒めそやす、江戸っぽい芝居になってました。ぽん太は観たことありませんが、ひょっとしたら藤十郎一門が演じると、近松門左衛門みたいななにわっぽい男女の情感がでてくるのかしら。う〜ん、一度観てみたいです。
 「春興鏡獅子」は、七之助が演じる日を選ばせていただきました。小姓弥生の艶やかな美しさは言うに及ばず、獅子の精になってからも、若武者のような表情が印象的でした。そういえば七之助って、最近は立役を見ませんね。若武者や色男も見てみたいのですが。女形の修行で忙しいのかしら。
 鶴松くん、だいぶ大きくなりましたね。虎之介とともに、今回は大型のチョウチョでした。老女は小山三さんでした。


歌舞伎座
歌舞伎座新開場柿葺落
八月納涼歌舞伎
平成25年8月15日

第一部

新版歌祭文
一、野崎村(のざきむら)  
    お光 福 助
    久松 扇 雀
    お染 七之助
    久作 彌十郎
    後家お常 東 蔵

二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
       
    小姓弥生後に獅子の精 七之助
    胡蝶の精 虎之介
    胡蝶の精 鶴 松
    用人関口十太夫 宗之助
    家老渋井五左衛門 由次郎

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