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2013年9月の11件の記事

2013/09/30

【登山】猛暑の夏は雪渓がいいな/白馬岳(大雪渓から蓮華温泉へ)

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 登山への洗脳がすすみつつある義妹のひつじちゃんが、こんどは白馬岳に登りたいと行って来たので、大雪渓を登って蓮華温泉に下るというベタなルートで行ってまいりました。

【山名】白馬岳(2932m)
【山域】白馬・鹿島槍・五竜
【日程】2013年8月19日〜20日
【メンバー】ぽん太、にゃん子、ひつじちゃん
【天候】(8/19)晴れ、(8/20)雨
【ルート】(8/19)猿倉荘8:05…大雪渓…白馬山荘15:28(泊)
(8/20)白馬山荘7:10…白馬岳7:27…小蓮華山9:22…白馬大池山荘11:15…蓮華温泉15:10(泊)

(※大きい地図や3D地図、当日の天気図などはヤマレコの記録へ)
【マイカー登山情報】猿倉にも駐車場はありますが、シーズン中は混雑が予想されます。ぽん太たちは八方第二駐車場(無料)に車を停め、タクシーで猿倉まで入りました。正確な料金は忘れましたが、三人で乗るとバスと大して違いがなかったように思います。
 帰りは蓮華温泉まで義父に迎えに来てもらいました。蓮華温泉までの道は所々狭いですが、路線バスも入る道で、全線舗装してあります。
【関連リンク】
・八方尾根近辺の駐車場案内http://www.happo-one.jp/access/parking.html
・猿倉行きのバス時刻表http://www.alpico.co.jp/access/hakuba/sarukura/
・白馬山荘http://www.hakuba-sanso.co.jp/hakubasanso/
・蓮華温泉ロッジhttp://w2.avis.ne.jp/~renge/

Img_5810 前夜は松本のビジネスホテル泊。さっそく夜の街に繰り出しましたが、祭りだかイベントがあったようで、いつもいく店はどこも満席。松本まで来てチェーン店も何なので、腹が減ってイライラしながら歩き回っていたところ、とってもいいお店を見つけました。混むといやなので秘密です。
 当日朝は早朝にビジネスホテルを出発し、一路車で八方尾根へ。駐車場に車を停め、タクシーで猿倉に入り、登山開始が8時。これなら初心者のひつじちゃんの足でも、余裕をもって白馬山荘に入れそうです。写真は、猿倉荘付近から小蓮華山。
Img_5819 さあ、いよいよ大雪渓。買ったばかりのアイゼンをつけて、ひつじちゃんうれしそうです。ぽん太も初めて観たときは感動しました。
Img_5822 今年は異常な猛暑だったせいか、大雪渓に横方向に亀裂が入るという、珍しい現象が起きたそうです。おかげでクレバスを回り込んだり、一部巻き道を通ったりで、少しよけいに時間がかかりました。
Img_5823 ♪あの子の〜命は〜ひこうきぐも〜。
Img_5826 ガス立ちぬ、なんちって。次々と変わっていく大自然が生み出す光景に、あゝ感動!
Img_5877 猛暑のせいで高山植物も終わってるだろうと思ってましたが、雪が多かったために例年よりも多く残ってました。この白馬のお花畑は、ほかとはスケールが違いますね。実に見事なお花畑でしたが、写真にするとショボくなってしまうのはなぜでしょう?
Img_5902 収容人数800人の日本最大の山小屋。8月ですがそんなに混んでなくて、一人ふとん一枚でゆったり眠れました。疲れ切っての到着で、山頂までピストンする元気はなし。山頂よりビールが魅力的に感じました。
Img_5910 夕食は鶏肉でスタミナたっぷり。
Img_5919 杓子岳から白馬鑓へと続く南側の稜線。不帰のキレットを越えて唐松岳へは、いつか歩いてみたいと思っているコースです。
Img_5920 夜中に屋根を叩く激しい雨音が聞こえました。翌日の天気は残念ながら雨です。あゝ、こんなことなら昨日山頂までピストンしておくんだった。写真は朝食です。
Img_5921 山頂はすっかりガスの中。
Img_5928 こうなったら後は、雷鳥を見たことがないというひつじちゃんに、雷鳥を見せてあげるのだけが目的です。一生懸命さがしていたら、居ました!しかもすぐ近くまで来てくれました。ひつじちゃんも大喜び。そのあとなんだかんだと、親子連れも含めて、6〜7匹の雷鳥を目撃しました。
Img_5933 ガスの切れ間から見えた白馬大池。静謐で美しい湖です。
Img_5941 白馬大池山荘で昼食をいただきました。穴子丼です。シャケにホタテも入って美味しかったです。
Img_5945 蓮華温泉ロッジに到着したときは、3時を回っていました。今日の行動時間は8時間です。ひつじちゃんはへとへとでした。彼女は心肺機能はあるようで、登りはまあまあですが、筋力とテクニックが必要な下りでは、かなり歩行時間が延びてしまうようです。車で迎えに来てくれた義父も合流して、ロッジで一泊しました。蓮華温泉ロッジに関しては、以前の記事で書いたので、こんかいは省略します。
Img_5947 翌日は義父も交えて栂池自然園辺りを散策するつもりだったのですが、雨のため中止いたしました。白馬グリーンスポーツの森のなかにある白馬村歴史民俗資料館によりましたが、あまり大した展示品はありませんでした。安曇野翁でおいしいおそばをいただいて解散としました。

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2013/09/29

【バレエ】鬼に金棒、オシポワに表現力「ロミオとジュリエット」ミラノ・スカラ座バレエ

 ミラノ・スカラ座バレエ団を観たというよりも、オシポワ、ワシーリエフを観たという感じでした。公式サイトはこちら
  2008年のボリショイ・バレエで「ドン・キホーテ」を観たときには、アスリート的な超絶的身体能力で驚ろかせてくれたオシポワですが、2年前のABTの来日公演での「ロミオとジュリエット」では、表現力も備わってきたことを示してくれました。しかしこんかいの「ロミジュリ」では、表現力にさらに磨きがかかっており、ぽん太は感動でウルウルしてしまいました。オシポワの身体能力に表現力が加われば、まさに鬼に金棒です。
 2年振りに見たオシポワちゃん。少し痩せたような。前は身体がムキムキしてましたが。
 最初の登場シーンでは、いかにも無邪気で可愛らしい少女という感じで、無理して子供っぽく演じている感じがありませんでした。すごいスピードで元気いっぱい動き回るオシポワ・ジュリエットに振り回される乳母が、ちょっと気の毒でしたが。
 パリスを紹介されたジュリエットは、嫌がっている風ではなく、まだウブなのでなんだか状況がよく分からないという印象。舞踏会での踊りも、「気が乗らない」感じはありましたが、嫌っている様子はありませんでした。
 舞踏会で出会ったロミオとジュリエットは、その場で三曲ぐらい踊ります。今回はマクミラン版とのことですが、見慣れたものとはちょと違うようです。最初はぎこちなかった二人が、徐々に心を許して行く様子が表現されていてい悪くなかったですが、ここであんまり二人が踊ってしまうと、バルコニーシーンが盛り上がらないような気もしました。
 そしてお待ちかねバルコニーシーン。いや〜素晴らしかったですlovely。からだがでかいしテクニックもすごいので、書かれた文字のフォントが一段でかいという感じ。訴えかけてくる強さが違います。ワシーリエフのピルエットも速かった。
 ただワシーリエフは身体能力は素晴らしかったですが、筋肉質でワイルドな感じなので、ロミオ君という感じではなかったですね。
 さて、第一幕でダンスの見所は終了し、あとは演劇的な表現力。ぽん太は双眼鏡でドアップにしてオシポワの表情を観察しました。ロミオとの別れ、パリスとの(こんどは)嫌悪感に満ちたパ・ド・ドゥ、見事です。絶望の泣き顔に、意志の力がみなぎって来て、教会へと走って行く演技もよいです。白いベール(?)をかざしながら教会に走って行くシーンは、前回のABTのときは足をきっちりのばしてバレエ的に美しく走って行きましたが、今回はより演劇的で、掲げたベールをゆさゆさ振るわせながら去って行き、必死さが現れておりました。
 恐怖におびえながらも仮死状態になる薬を飲み、やがて墓場で目を覚ましてロミオの亡がらを目にし、悲しみのなか後を追って死んで行くオシポワ・ジュリエットに、ぽん太は涙ダラダラ鼻水タラタラでしたcrying
 ガーフォースさん指揮の東京シティフィルも迫力ある演奏でした。おつかれさま〜。
 いや〜いいものを見せてもらいました。よきかな、よきかな。


ミラノ・スカラ座バレエ団 2013年日本公演
「ロミオとジュリエット」全3幕
2013年9月23日東京文化会館

振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
Romeo e Giulietta Balletto in tre atti
Coreografia di KENNETH MACMILLAN
Ripresa da JULIE LINCOLN
Musica di SERGEJ PROKOF'EV (Editore per l'Italia Universal Music Publishing Ricordi srl, Milano)

ロミオ:イワン・ワシーリエフ
Romeo:Ivan Vasiliev
ジュリエット:ナターリヤ・オシポワ
Giulietta:Natalia Osipova

マキューシオ:マッシモ・ガロン
Mercuzio:Massimo Garon
ティボルト:アレッサンドロ・グリッロ
Tebaldo:Alessandro Grillo
ベンヴォーリオ:クリスティアン・ファジェッティ
Benvolio:Christian Fagetti
パリス:マルコ・アゴスティーノ
Paride:Marco Agostino
キャピュレット公:リッカルド・マッシミ
Lord Capuleti:Riccardo Massimi
キャピュレット夫人:サブリナ・ブラッツォ
Lady Capuleti:Sabrina Brazzo
大公:マシュー・エンディコット
Il Duca:Matthew Endicott
ロザリンデ:ルアナ・サウッロ
Rosalinda:Luana Saullo
乳母:モニカ・ヴァリエッティ
La Nutrice:Monica Vaglietti
ロレンス修道僧:マシュー・エンディコット
Frate Lorenzo:Matthew Endicott
マンドリン・ダンス(ソロ):フェデリコ・フレジ
Solista Mandolino:Federico Fresi
3人の娼婦:アントネッラ・アルバーノ、デボラ・ジズモンディ、ステファニア・バロッネ Tre Zingare:Antonella Albano、Deborah Gismondi、Stefania Ballone
モンタギュー公:ジュゼッペ・コンテ
Lord Montecchi:Giuseppe Conte
モンタギュー夫人:セレーナ・コロンビ
Lady Montecchi:Serena Colombi
ジュリエットの友人:
マルタ・ジェラーニ、クリステッレ・チェッネレッリ、ヴィットリア・ヴァレリオ、
ルーシーメイ・ディ・ステファノ、アントニーナ・チャプキーナ、ジュリア・スケンブリ
Sei Amiche di Giulietta:
Marta Gerani、Christelle Cennerelli、Vittoria Valerio、
Lusymay Di Stefano、Antonina Chapkina、Giulia Schembri

ミラノ・スカラ座バレエ団
e il CORPO DI BALLO DEL TEATROALLA SCALA
芸術監督:マハール・ワジーエフ
Direttore: Makhar Vaziev

演奏:東京シティ・フィルハーモニック・オーケストラ 
Orchestra: Tokyo City Philharmonic Orchestra
指揮:デヴィッド・ガーフォース  
Direttore: David Garforth

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2013/09/28

【登山】富士山(塩原・新湯富士)

 富士山もようやく世界遺産に認定されたということで、ぽん太とにゃん子も富士山に登ってきました。といっても栃木県は奥塩原にある新湯富士で、標高は1184メートルです。

【山名】富士山(塩原・新湯富士)(1184.1m)
【山域】那須・塩原
【日程】2013年8月8日
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】晴れ
【ルート】新湯登山口9:37…新湯神社…富士山山頂10:34…新湯登山口11:32

(※大きい地図や3D地図、当日の天気図などはヤマレコの記録へ)

Img_5786 日塩もみじライン沿いにある奥塩原温泉新湯の温泉街から、案内板に従って山側に入って行きます。途中、中の湯の前を通り過ぎて行くと、温泉神社に突き当たります。迷わず石段を上って行きます。登山道は階段の途中から左に折れますが、まずは神社にお参りしましょう。
Img_5791 狛犬は、表情が細かく彫り込まれているわりには、体や手足はシンプルで、このアンバランスさが素朴でいいです。
Img_5792 こちらが神社の本殿です。
Img_5789 案内板によると、元湯が大地震による土砂崩れで壊滅し、新湯に移転して復興を期したさい、この神社も正徳3年(1713年)に元湯から新湯に移築されました。現在の本殿は、天明2年(1782年)に再建されたものだそうです。
Img_5788 ちょっと見にくいですが、石幢(せきどう)というもので、元湯から移されたものが残っているのだそうです。
 石幢(せきどう)は、石灯籠と似てますが異なるものだそうです。もともと幢は旗を意味し、インドではこれを石に刻んでストゥーパや仏殿の前に立てましたが、中国へ渡ってから八角の石柱となり、日本では地蔵信仰と結びついて六角の石灯籠に似たものが多く作られたそうです(コトバンク)。
Img_5787 案内板によると、石幢は、関東地方では珍しいものなのだそうです。
Img_5796 登山道は、新湯温泉街の源泉の上部を通って行きます。
Img_5800 あっというまに山頂に到着。下りは東向きの道を辿りました。富士山の東には大沼があり、水芭蕉の生息地として花の時期は観光客で賑わうそうですが(車で行ける)、今回はそこまで行かずに右折し、富士山の南側を回り込む道を通ってかえりました。大沼の方からこの山を見ると、富士山のような円錐形に見えるんだそうです。
 ところで、全国に富士がつく山はどれくらいあるのでしょうか。Wikipediaを見るといろいろ出ています。

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2013/09/27

【温泉】乳白色のにごり湯。食事もおいしい。奥塩原新湯温泉「渓雲閣」(★★★★)外湯(寺の湯、中の湯)

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 8月上旬、鶏頂山に登ったあとお世話になったのが、塩原温泉の渓雲閣です。公式サイトはこちらです。
 栃木県は塩原温泉と言っても広うござんすが、いわゆる塩原の温泉街からやや西に位置する山中にあるのが、奥塩原温泉です。奥塩原温泉は元湯と新湯に別れます。元湯は谷間にあり、塩原温泉のなかでは最も歴史が古く、一時は「元湯千軒」といわれるほど賑わいました。しかし万治2年(1659年)の地震による土砂崩れで埋もれてしまいました。今では3軒の宿屋が営業しておりますが、ぽん太はそのうち2軒に泊まったことがあります(元湯ゑびすや大出館)。
Img_5747 新湯は、日塩もみじラインの途中にあります。地震で壊滅的打撃を受けた元湯の旅館の多くが、この地に移って宿を再興したため、新湯と呼ばれているそうです。塩原温泉の歴史に関しては、こちらの「塩原温泉郷土史研究会」のサイトが大変詳しく、かつ興味深いです。
 ぽん太は新湯では、ブログを始める以前のことですが、下藤屋さんに泊まったことがあります。今回お世話になったのは渓雲閣さんです。
Img_5781 建物はコンクリート製ながら、和風の造りです。平屋に見えますが、斜面に建てられているためで、入り口は最上階になります。
Img_5752 ロビーの一角には、ぽん太の仲間たちが集合しております。
Img_5753 古道具が置かれたコーナーには、「君嶋旅館」という看板が。以前はこの名前で営業していたようです。
Img_5749 こちらが客室です。民芸調の家具が配置され、広くてゆったりくつろげます。
Img_5751 お風呂は、男女別の内湯と、無料で入れる二つの貸し切り露天風呂があります。
 写真は内湯で、その名も展望大浴場「たぬき湯」です。乳白色の濁り湯で、泉質は単純酸性硫黄温泉(硫化水素型)とのこと。いわゆる酸性の硫黄泉ですが、他と比べて酸性が弱いので、お肌への刺激が弱いんだそうです。もちろん源泉掛け流し。
Img_5747 ご覧の通り、宿のすぐ向かいの斜面から、白い煙を上げて温泉が湧いてますから、鮮度も抜群です。
Img_5777 こちらが貸し切り風呂です。眼前の緑が美しいです。こんな露天風呂を無料で貸し切りできるとは、ありがたいです。
Img_5754 さて夕食です。地元の食材を使いながら、ジャガイモの冷製スープなどの洋食がまざっていたり、山菜がマリネになっていたりと、創作系の工夫が加わっています。
Img_5758 こちらは日光たぐり湯葉時雨煮。栃木県らしい一品です。
Img_5762 栃木産コシヒカリのご飯には、冷やし山菜うどんがつきます。
Img_5763 デザートは、杏仁豆腐黒蜜がけ。杏仁豆腐と黒蜜がどちらも好きなぽん太ですが、生まれて初めてのハーモニーでした。
Img_5773 こちらが朝食です。硫黄で黒くなった温泉卵は久々にいただきました。

Img_5772 さて、奥塩原新湯温泉といえば、外湯めぐりも欠かせません。寺の湯、中の湯、むじなの湯という三つの外湯があります。どれも源泉掛け流し。寺の湯は混浴です。宿泊客は無料で入浴できます。
 写真は、寺の湯の外観。
Img_5769 内部はこのようになっていて、なかなか素朴で味わいがあります。
Img_5784 こちらは寺の湯の外観。
Img_5783 そして内部の様子です。むじなの湯は、坂を降りて行くのがめんどうだったので省略いたしました。
 乳白色の硫黄泉の温泉力はすばらしく、外湯も含めてバラエティに富んでます。夕食も一工夫してあってとっても美味しいです。ただ建物が、古い木造旅館が好きなぽん太の好みからは減点ポイントとなり、ぽん太の評価は4点。

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2013/09/26

【歌舞伎】三人笑いはまだ早いか。2013年9月歌舞伎座昼の部

 花形歌舞伎昼の部は、ラクに観に行きました。夜の部は新作歌舞伎でしたが、昼の部は「新薄雪物語」に「吉原雀」という正当派古典歌舞伎の演目でした。公式サイトはこちらです。
 「新薄雪物語」を見るのはぽん太は2回目。前回は2008年6月の歌舞伎座で、幸四郎の園部兵衛、吉右衛門の幸崎伊賀守、芝翫の梅の方でした。三人が痛みや悲しみをこらえて笑う演技だけで数分間を引っ張り、観客を感動させなけるばならないという至難の業を、染五郎・松緑・菊之助がどこまで演じきれるのか。ふふふ、楽しみです。
 ところでこの演目のタイトルは「新薄雪物語」ですが、ということは「旧薄雪物語」もあるのでしょうか。ぐぐってみると、「新薄雪物語」は寛保元年(1741年)5月に大阪の竹本座で人形浄瑠璃として初演されました。元になったのは寛永9年(1632年)に刊行された浮世草子「薄雪物語」だそうですが、貞享2年(1685年)には歌舞伎「薄雪物語」として江戸の森田座で上演され、さらに「薄雪今中将姫」(1700年初演)などもあったそうです(コトバンク)。
 仮名草子の「薄雪物語」は、慶長19年(1614年)に刊行された恋愛小説で、作者は不明ですが、ベストセラーとなって、何度も再版されたそうです。あらすじは、園部衛門が清水寺で薄雪という人妻を見初め、ラブレターのやり取りでついに恋愛は成就しますが、その後、衛門の留守中に薄雪は病死し,衛門は高野山に出家するというものだそうです。衛門と薄雪の25通のラブレターが大半をしめ、恋文の文例として多くの人々に読まれたそうです(コトバンク)。
 さて、今回の舞台に話しを戻しますと、最初の「花見」は、若い役者が揃うととても華やかでした。梅枝の薄雪姫は、おっとりとしたお姫様。左衛門の勘九郎は、ちょっと色気も出てきましたが、まだ真面目で実直な印象が強いです。七之助の腰元籬は、恋の手練手管を知り尽くした女というよりは、利発な女性という感じでした。海老蔵の秋月大膳も、悪役の迫力がありました。愛之助の奴妻平は、色気と明るさと華がありました。立ち回りも、三階さんが驚異的なジャンプ力を披露し、傘を使った趣向などもあり、見応えがありました。
 「詮議」では、海老蔵がこんどは善玉の葛城民部役で登場。松緑の伊賀守、染五郎の園部兵衛、吉弥の松ヶ枝、亀蔵の秋月大学が加わり、緊迫したやりとりに引き込まれました。
 しかし、最後の「広間・合腹」はちょっと間延びしてるように思われました。陰腹の表現や、三人笑いなどは、さすがに若手では難しかったか。そのなかでは菊之助の格式を感じさせる笑いが光ってました。今日は最初から客席のざわつきが気になりましたが、三人笑いで客席から笑いが起きたのは、ちょっと役者さんたちに気の毒な気がしました。
 短い休憩をはさんで勘九郎と七之助の「吉原雀」。明るく華やかで、爽やかな踊りでした。


歌舞伎座
歌舞伎座新開場柿葺落
九月花形歌舞伎
平成25年9月25日

昼の部

通し狂言
一、新薄雪物語(しんうすゆきものがたり)
  花見
  詮議
  広間
  合腹
   
〈花見〉          
  秋月大膳 海老蔵
  園部左衛門 勘九郎
  団九郎 亀三郎
  薄雪姫 梅 枝
  清水寺住職 右之助
  来国行 家 橘
  腰元籬 七之助
  奴妻平 愛之助
   
〈詮議〉          
  幸崎伊賀守 松 緑
  葛城民部 海老蔵
  薄雪姫 梅 枝
  松ヶ枝 吉 弥
  秋月大学 亀 蔵
  園部左衛門 勘九郎
  園部兵衛 染五郎
   
〈広間・合腹〉       
  園部兵衛 染五郎
  幸崎伊賀守 松 緑
  園部左衛門 勘九郎
  腰元籬 七之助
  薄雪姫 梅 枝
  松ヶ枝 吉 弥
  刎川兵蔵 松 江
  奴妻平 愛之助
  梅の方 菊之助


二、吉原雀(よしわらすずめ)
   
  鳥売りの男 勘九郎
  鳥売りの女 七之助

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2013/09/23

【歌舞伎】若手が生きいきアニメ歌舞伎!2013年9月歌舞伎座夜の部

 9月花形歌舞伎は、染五郎、海老蔵、愛之助、七之助、勘九郎、松緑、菊之助という、時代を担う役者が勢揃い。まずは夜の部からの観劇。演目は新作の「陰陽師」です。こちら
Img_3828 原作は夢枕獏の小説『陰陽師』。一連の陰陽師ブームのきっかけとなった作品で、映画化やドラマ化もされたそうですが、世情に疎いぽん太は読んだことも見たこともなし。こんかいが初陰陽師でしたが、「悪くはない」感じで、なかなか楽しめました。第一幕はちと退屈でしたが、二幕、三幕と進むにつれて、思わず引き込まれました。写真は、以前に訪れた京都の清明神社です。
 全体としては現代のアニメ風というか、友情が強調され、さまざまなキャラが奇想天外な闘いを繰り広げます。怒りと憎しみで鬼になっていくあたりは「スターウォーズ」のダースベーダーを思い出します。しかししっかり歌舞伎にもなっていて、20年にわたる因縁、善と悪の争い、「実は」の展開などがみられます。最後に平将門の怨霊が鎮められて消えていくさまは、碇知盛を彷彿とさせます。
 海老蔵が平将門を演じましたが、このような超人的な役は悪くないですね〜。以前に仁木弾正を演じたときの、圧倒的パワーを持つ殺人鬼ぶりに驚いたことがありますが、こんかいも迫力がありました。最後に興世王を道連れに消えて行く時のパワーと目力は、海老蔵の真骨頂でした。しかし、だんだんと怨霊化していく過程で、もっとメイキャップや衣装を変えてもよかったのに。歌舞伎なんだから最後は隈取りでもいいのでは。蘇生の時も、横たわっている状態でブヮーっと煙が上がって、中から超人化した将門が出て来るのかと思ったら、煙が消えても同じ姿勢で横たわったままだったのにはガックリきました。ま、この辺りは演出の問題ですけど。
 染五郎のちょっとひょうひょうとした安倍晴明と、勘九郎の真面目で実直な源博雅のコンビも良かったです。とくに勘九郎は、本人の性格そのものでした。「半沢直樹」の黒崎で大ブレイクの愛之助、おネエ言葉は封印して悪役を熱演しておりました。松緑の俵藤太は、ムカデとの立ち回りが見せ場。
 なんでも演じられる名脇役の市蔵と亀蔵が、さすがの貫禄で舞台をしめておりました。ただ、これも演出の問題ですが、亀蔵の蘆屋道満は普通のいい人という感じでしたが、もっと得体の知れない怪人物っぽいほうがいいのでは?ぽん太が密かに好きな亀三郎が賀茂保憲。爽やかで、声もいいですね。
 ストーリーとしては、いい人だった将門が、興世王のたくらみはあったにしろ、何であんなに人が変わってしまったのかがよくわかりませんでした。また、将門が怨霊と化したあと、もっと超人的なパワーで残虐の限りをつくす場面を描いておかないと、最後の「もどり」が生きないのでは?
 演出・美術的には、ここまでやるなら、もっと大胆に激しくやってもよかったのでは?舞台美術も地味だし、せっかくの愛之助の宙乗りも、あれだけでは寂しい。百鬼夜行もキャラが可愛いすぎる気がします。もっとグロテスクでおどろおどろしい方がいいかも。でも、染五郎のキツネの小芝居は、可愛くて面白かったです。道具方さんにも拍手です。
 問題点もあるにしろ、次代を担う役者が伸びのびとした演技を見せてくれて、今後の歌舞伎の発展が伺えました。


歌舞伎座
歌舞伎座新開場柿葺落
九月花形歌舞伎
平成25年9月22日

夜の部
新開場記念 新作歌舞伎
新作 陰陽師(おんみょうじ)
  滝夜叉姫
  第一幕 都大路
      「晴明、百鬼夜行に遇いしこと」より
  第三幕 貴船山中
      「将門復活。最後の戦いと大団円」まで
   
安倍晴明 染五郎
平将門 海老蔵
興世王 愛之助
桔梗の前 七之助
賀茂保憲 亀三郎
平維時 亀 寿
大蛇の精 新 悟
蘆屋道満 亀 蔵
平貞盛 市 蔵
雲居寺浄蔵 権十郎
小野好古 團 蔵
源博雅 勘九郎
俵藤太 松 緑
滝夜叉姫 菊之助

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2013/09/22

【登山】スキー場で有名だけど実は信仰の山・鶏頂山

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 8月の話しになりますが、手頃な山ということで、栃木県の鶏頂山に登ってきました。ぽん太は何も知らずに行ったのですが、冬はスキーヤーで賑わうこの山は、実は信仰の山でした。

【山名】鶏頂山(1765m)
【山域】那須・塩原
【日程】2013年8月7日
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】晴れ
【ルート】西口登山口11:36…弁天沼12:43…鶏頂山13:23…御岳山14:14…弁天沼…西口登山口15:50

(※大きい地図や3D地図、当日の天気図などはヤマレコの記録へ)
【マイカー登山情報】日塩有料道路西側に駐車場あり。登山口の鳥居が目印です。
Img_5717 赤い鳥居が登山口の目印。「鶏頂山神社」と書かれており、周辺には狛犬や石仏があります。
Img_5723_2 登り始めは深い笹薮のなかを行きますが、やがて明るい広葉樹の林になります。
Img_5724 鶏頂山スキー場の廃墟などを見ながら登っていくと、やがて第二の鳥居が見えてきます。ここが弁天池で、山頂の案内板によれば、祠には弁財天や金山彦命が祀られているそうで、ちょっとしたパワースポットの雰囲気があります。
 金山彦命(かなやまひこのかみ)というのはぽん太は初耳ですが、Wikipediaにも書いているように、『古事記』においては、イザナミが火の神カグツチを産んで火傷で苦しんでいるとき、嘔吐物から化成した神で、鉱山や荒金の神とされております。
 で、鶏頂山近辺に鉱山があったのかどうかということになるわけですが、Wikipediaの「東武矢板線」の項には、矢板線が「高原山麓沿線の木材や鉱物資源を搬送するために開発された」と書いてあります。また、こちらの小山高専金野研究室のサイトのなかの「鉱物探索記」を見ると、鶏頂山を含む高原山の南東斜面にはいくつかの鉱山があったようです。
 あるいは鶏頂山には金鶏伝説があり、これを有すると長者になれるという金の鶏が、この山の頂上で休息したと言われているそうです(→こちら)。金山彦命が祀られているのは、この伝説と関係しているのかもしれません。
 ただ、『古事記』に記載されているような神々が祀られるようになったのは、明治以降の可能性も高いので、はっきりしたことは言えません。
Img_5725 ご覧の通り、それほど大きくはありませんが、とてもきれいな水をたたえた池があり、小さな祠が祀られています。
Img_5726 こちらの石碑には「栄明霊社」と書かれています。鶏頂山山頂の案内板に、「中興の祖栄明霊神」という文言があることから推測すると、中興の祖である栄明というお坊さんを、神様として祀っているのだと思います。「霊神」という言葉はぽん太は初めて聞いたのですが、コトバンクには、「霊験あらたかな神」のことと書いてありますが、さらに下の方を見てみると、『世界大百科事典』の【生祠】の項目の中に、「…〈尋常ならずすぐれたる徳のありて,可畏き物を迦微(かみ)とは云なり〉という本居宣長の考え方によれば,人間でも優れた資質があれば,神にまつられることになる。人を神にまつると,吉田神道では,これに霊神(れいじん)号を与えた。その生祠を霊社(れいしや)と称している」と書かれているそうです。生前に少なからぬ徳があった人が、死んでから神として祀られたものとのことですから、中興の祖を神として祀るという観点からは、これが近いような気がします。鶏頂山が「吉田神道」と関連があるのか、それとも他の神道でも「霊神」という考え方があるのか、ぽん太には全くわかりません。今後のみちくさの課題としたいと思います。
Img_5728 こちらの比較的新しい石碑は、「弁天池平家一門有縁の地」というタイトルです。壇ノ浦の戦いに破れた平家の残党が、弁天池周辺に落ち延びておりましたが、弁天池の霊力によって残党狩りを免れたそうです。ここから先は神域となるので、心を正して登っていきます。
Img_5732 やがて到着した山頂には、鶏頂山神社の奥社があります。
Img_5734 案内板によると、猿田彦大神が御祭神で、社殿は、神々が降臨したと言われる宮崎県の高千穂の峰に向かって建てられているそうですが、現在の建物は平成9年に造営されたものだそうです。
 サルタヒコノカミは、邇邇芸尊(ニニギノミコト)が神の国から地上に降り立とうとしたとき、その先導をした神です。社殿が、神が降臨した高千穂の峰に向いているのは、これと関係しているのでしょう。またサルタヒコノカミは、道の神、旅人の神とも見なされております。鶏頂山の西山麓(日塩有料道路のやや西)をかつて会津西街道が通っていて、きぬがわ高原カントリークラブのやや南には高原新田という宿場があったことと関係があるのでしょうか?
 高原新田宿は後に廃村となり、その住民が川治温泉に移住したため、川治温泉には鶏頂山神社の里宮が造られたそうです。廃村となった高原新田宿は、大戦後、引揚者によって開拓され、鶏頂開拓と呼ばれたそうです。このあたりは興味がつきませんが、みちくさはこのあたりまで。
Img_5736 山頂から東を眺めると、正面に釈迦ヶ岳が見え、その左の稜線上には御岳山の小ピークがあります。できれば釈迦ヶ岳まで行きたいところでしたが、時間が足りないため、御岳山まで行くことにしました。
Img_5740 御岳山の山頂(?)には、小さな祠がありました。木曽御岳山から神様を勧請したと言われているそうです。こちらの信州大学図書館のサイトで、『木曽総社御嶽山縁起/下野国塩谷郡鶏頂山開闢登山縁起』(井上 岩次郎著、1918年)という本を見ることができます。ちらりと読んでみると、鶏頂山には、もともと鶏頂山大権現と呼ばれる神が祀られておりましたが、嘉永元年(1848年)に御岳山神事を行っていたところ神懸かり状態となって言うことには、「自分は道祖神すなわち猿田彦命鶏頂山大権現である。お前たちが信じる御岳山の赤岩の神と同体である。天地開闢のとき、鶏鳥がこの山に止まって道しるべとなった。そのために鶏頂山という名がついた。のちに天富命(あめのとみのみこと)が、それをこの山の祭神とした……」といったようなことが書かれているようです。ちょっと全部読む記にはなれんし、そのうちまたみちくさするということで。
Img_5745 帰りは、大沼に寄りました。静謐な感じのする美しい池でした。

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2013/09/16

【舞台】初体験のパフォーマンスに笑うやら驚くやら・コンドルズ「TIME IS ON MY SIDE」

 コンドルズの舞台は初めてでしたが、いや〜面白かったな〜。最初は戸惑ったけどhappy01。本公演のページはこちらで、コンドルズの公式サイトはこちら
 なぜぽん太がコンドルズを観に行くことにしたかというと、以前に演劇の「音のいない世界で」を観たとき近藤良平の演技に感動したから(そのときの記事はこちら)。そこでググってみたところ、コンドルズというグループを率いて公演を行っているとのこと。Youtubeで見てみると、男らしいダンスパフォーマンスのようだったので、チケットを取ってみたのです。
 ところが会場に来てみると、なぜか子供を連れた家族連れが目立ちます。いきなり映画の予告編のパロディのような映像が映し出され、タイトルの「アルプスの少女ハイヅ」で会場は爆笑。次は中年体型のオッサンがクラシックバレエ風に踊って、「K-Ballet団員募集中」。にゃにゃにゃ、にゃ〜んだこりゃ?お笑いか?ダンスを見に来たつもりだったのに。ひょっとして、勘違いして、すごく場違いなところに来てしまったのでは?
 ダンス、寸劇、人形劇、映像、音楽、コントなどがオムニバス風に繰り広げられ、お客さん参加型コントも交え、これまで観たことがない新しいタイプのパフォーマンスに、ぽん太は最初はとまどいつつも、次第に引きつけられ、最後には心から感動しました。特に近藤良平の最後のソロダンスは、体の動きもすばらしかったし、表現力も抜群でした。何かに立ち向かおうとするが破れ、そしてまた立ち向かう、といった感じでした。
 こんなにダンスがうまければ、芸術的な舞踏の世界でもやっていけるのに、なんでこんなおちゃらけた舞台をやってるんだろう?と、にゃん子と話し合ったのですが、きっとこういうことをやるのが好きなんだろう、という結論になりました。
 ダンスに関しては、全員がうまいわけではなく、上手なのは4〜5人くらい。でもコンドルズのサイトを見てみると、団員一人ひとりが様々な才能を持っている様子。コンドルズのなかに、人形劇団やバンドがあるんですね。以前に見た野田秀樹の「パイパー」にも出演していたようです。近藤さんも、さまざまな場面で活躍しているようで、ぽん太が知らなかっただけみたいです。
 でも、ホントに近藤のダンスは素晴らしかった。ぽん太としては、首藤康之と二人でダンスの公演をしてほしいな〜。よろしくお願いします。

コンドルズ 日本縦断超時空ツアー2013
「TIME IS ON MY SIDE」(タイム イズ オン マイ サイド)
東京公演 1996スペシャル 
2013年9月1日/東京芸術劇場 プレイハウス

■スタッフ:
照明:坂本明浩(OneDrop)
音響:原嶋紘平(SONIC WAVE)
舞台監督:筒井昭善 
舞台美術:ArtBros.(筒井昭善) 
衣装:石野良子 
セリフ脚本:小林顕作(宇宙レコード) 
CG制作:映像制作:オクダサトシ(ATG)  
web制作:青木崇 
広報:西原栄 
グッズデザイン:藤田善宏(男魂)
宣伝写真:HARU
宣伝美術:柳沼博雅(goat)  
主題歌:ストライク
プロデューサー:勝山康晴(ROCKSTAR)

■出演:
青田潤一 石渕聡(映像出演) オクダサトシ 勝山康晴 鎌倉道彦 ぎたろー(新人) 古賀剛 小林顕作  スズキ拓朗 田中たつろう 橋爪利博 平原慎太郎(FA) 藤田善宏 安田有吾 山本光二郎 近藤良平 

■構成・映像・振付:近藤良平

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2013/09/15

【オペラ】マエストリの"個性"が光る・「ファルスタッフ」ミラノ・スカラ座

 ヌッチの「リゴレット」を聴いて最高の気分になったぽん太は、次は「ファルスタッフ」を観に行って来ました。公式サイトはこちらです。
 「ファルスタッフ」。ぽん太は観たことも聴いたこともありません。題名からすると、宇宙空間を舞台にしたヒーローものか?
 ところが実際に観てみると、とてもおちゃらけた話しでした。ヴェルディって、重厚で感動的なオペラしか知りませんでしたが、こんなおちゃらけたコメディも創ってるんですね。
 ただ音楽的には、ヴェルディが80代を前にして創ったというだけあって、技巧がこらしてあって非常に複雑で、聞き応えがあります。幕切れも、オペラに大フーガが組み込まれているとはびっくり仰天でした。他の歌劇のパロディもあるそうですが、無知なるぽん太にはわかりませんでした。
 脳科学者の養老孟司先生は、個性とは持って生まれた身体にあるというようなことを言っていた気がします。ヌッチのリゴレットもそうでしたが、アンブロージョ・マエストリのファルスタッフも、この人の「個性」を抜きには考えられない名演でした。でっぷりとした巨体と滑稽な顔は、ファルスタッフそのものでした。豊かな声量も、この身体ならあたりまえか。
 演出・美術は、重厚でオーソドックスだった「リゴレット」とは対照的で、現代風でオシャレでした。本物の馬が出て来て、しかも大音響が鳴り響く舞台の上でむしゃむしゃと馬草を食い続けているのには驚きました。
 バルバラ・フリットリがアリーチェ。以前にトリノ王立劇場の「ラ・ボエーム」でミミを聴いたことがあります。今回もとっても楽しみにしていたのですが、「聴かせどころのアリア」みたいなのがなくて、少し残念でした。ヴェルディ先生におかれましては、楽しい舞台もいいですけど、やはりそれぞれの歌手のうっとりするような聴かせどころも入れて欲しかったです。ナンネッタのイリーナ・ルングが妖精になって歌う「夏のそよ風に乗って」も印象に残りました。


ミラノ・スカラ座2013年来日公演
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
「ファルスタッフ」全3幕
Giuseppe Verdi
FALSTAFF
Commedia lirica in tre atti
2013年9月12日(木)/東京文化会館

指揮:ダニエル・ハーディング
Direttore:Daniel Harding
合唱監督:ブルーノ・カゾーニ
Maestro del Coro:Bruno Casoni
演出:ロバート・カーセン
Regia:Robert Carsen
再演演出:ロレンツァ・カンティーニ
Ripresa:Lorenza Cantini
美術:ポール・スタインバーグ 
Scene:Paul Steinberg
衣裳:ブリギッテ・ライフェンシュトゥエル
Costumi:Brigitte Reiffenstuel 
照明:ロバート・カーセン、ピーテル・ヴァン・プレート
Luci:Robert Carsen e Peter Van Praet

In coproduzione con Royal Opera House, Covent Garden, Londra; Canadian Opera Company, Toronto
The Metropolitan Opera, New York; The Nederlandse Opera, Amsterdam

サー・ジョン・ファルスタッフ:アンブロージョ・マエストリ
Sir John Falstaff:Ambrogio Maestri
フォード:マッシモ・カヴァレッティ
Ford:Massimo Cavalletti
フェントン:アントニオ・ポーリ
Fenton:Antonio Poli 
医師カイウス:カルロ・ボージ
Dr. Cajus:Carlo Bosi 
バルドルフォ:リッカルド・ボッタ
Bardolfo:Riccardo Botta 
ピストラ:アレッサンドロ・グェルツォーニ
Pistola:Alessandro Guerzoni 
フォード夫人アリーチェ:バルバラ・フリットリ 
Mrs. Alice Ford:Barbara Frittoli
ナンネッタ:イリーナ・ルング
Nannetta:Irina Lungu 
クイックリー夫人:ダニエラ・バルチェッローナ
Mrs. Quickly:Daniela Barcellona 
ページ夫人メグ:ラウラ・ポルヴェレッリ
Mrs. Meg Page:Laura Polverelli

ミラノ・スカラ座管弦楽団、ミラノ・スカラ座合唱団 
Orchestra e Coro del Teatro alla Scala

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2013/09/14

【オペラ】ヌッチの「悪魔め、鬼め」に泣く・「リゴレット」ミラノ・スカラ座

 世界超一流のミラノ・スカラ座の来日公演ということで、チケットは少々お高いですけど、清水の舞台から飛び降りたつもりで行って来ました。とっても素晴らしい舞台で、飛び降りて良かったと思いました。公式サイトはこちらです。
 「リゴレット」という題名は非常に有名で、「風の中の羽のように……」という「女心の歌」も聞き慣れておりますが、実際にオペラを観るのはぽん太は初めて。「女心の歌」のイメージとはまったく異なる、暗くて重いオペラでした。
 何と言ってもレオ・ヌッチのリゴレットが最高でした。年老いた道化師の役ですが、メーキャップがやけにリアルです。調べてみると、1942年生まれですから、御年71歳!ば、化け物です。かる〜く歌ってもすごい声量。最初に歌い出した時は、観てても誰が歌っているのかわからず、オペラグラスで確認してやっとわかったくらいです。そして表現力も一流。特に第二幕のアリア「悪魔め、鬼め Cortigiani, vil razza」では、さらわれた娘を取り返しに来たという状況ですが、道化という立場から滑稽な衣装を着て、「ララ、ララ」と歌い出します。奇形で生まれたせいでさんざん苦労をし、道化をしながらもそれに満足しておらず、世間を恨んでいる。オペラに描かれていない部分で何があったのか知りませんが、想像するに忍びありません。やがて彼は怒り出し、大声で訴えますが、周りの人々はあざけるのみ。しかし誘拐した女性がリゴレットの娘だと知ると、一同は気まずい表情で目を伏せます。このあたりが大げさな演技ではなく、歌舞伎みたいに抑制された表現だったあたりも、ぽん太の好みでした。リゴレットはだんだん意気消沈し、すがる思いで返事を乞いますが、最後には絶望の淵に沈んでいきます。若い娘だけを生き甲斐とする老いた道化師(まあ、それ自体がちょっとエキセントリックではあるのですが)の必死の思いに、ぽん太は涙が止まりませんでした。この哀愁は、脂の乗り切った若者には決して出せない味でしょう。案の定拍手がなりやまず、2幕終了後は「ビス」(アンコール)という声が何度もかかり、「そうだ、復讐だ!Sì, vendetta」をも一度歌ってくれました。ぽん太はオペラでのアンコールを初めて見ました。
 ジルダのマリア・アレハンドレスは、コロコロキラキラした容姿で、いかにも目に入れてもいたくない可愛い娘、といった感じでした。ちょっと声がキンキンするところもありましたが、若々しく力一杯歌っており、素晴らしい高音を聞かせてくれました。マントヴァ公爵のジョルジョ・ベッルージ、優しく甘い歌声でしたが、このメンバーにはいるともうちょっと声量が欲しいところで、「女心の歌」もヌッチのあとでは今一歩という気がしました。
 美術も重厚。演出も奇をてらわずオーソドックスで、先ほど書いたように演技も大げさにならず抑制されていて、演劇を見ているかのようでした。
 う〜ん、やっぱり世界一流はいいな。思い切って観に来たかいがあったです。


ミラノ・スカラ座2013年日本公演
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
「リゴレット」全3幕
Giuseppe Verdi
RIGOLETTO
Melodramma in tre atti

2013年9月11日(水)/NHKホール

指揮:グスターボ・ドゥダメル
Direttore:Gustavo Dudamel
合唱監督:ブルーノ・カゾーニ
Maestro del Coro:Bruno Casoni
演出:ジルベール・デフロ
Regia Gilbert Deflo
再演演出:ロレンツァ・カンティーニ
Ripresa:Lorenza Cantini
美術:エツィオ・フリジェリオ
Scene:Ezio Frigerio
衣裳:フランカ・スクァルチャピーノ
Costumi:Franca Squarciapino 

マントヴァ公爵:ジョルジョ・ベッルージ
Il Duca di Mantova:Giorgio Berrugi
リゴレット:レオ・ヌッチ
Rigoletto:Leo Nucci
ジルダ:マリア・アレハンドレス
Gilda:Maria Alejandres
スパラフチーレ:アレクサンドル・ツィムバリュク
Sparafucile:Alexander Tsymbalyuk
マッダレーナ:ケテワン・ケモクリーゼ
Maddalena:Ketevan Kemoklidze

ジョヴァンナ:ジョヴァンナ・ランツァ
Giovanna:Giovanna Lanza
モンテローネ:エルネスト・パナリエッロ
Monterone:Ernesto Panariello
マルッロ:セルジョ・ヴィターレ
Marullo:Sergio Vitale
ボルサ:ニコラ・パミーオ
Borsa:Nicola Pamio
チェプラーノ伯爵:アンドレア・マストローニ
Conte di Ceprano:Andrea Mastroni
チェプラーノ伯爵夫人:エヴィス・ムーラ
Contessa di Ceprano:Evis Mula
廷吏:ヴァレリー・トゥルマノフ
Un usciere:Valeri Turmanov
小姓:ロザンナ・サヴォイア
Paggio:Rosanna Savoia

ミラノ・スカラ座管弦楽団、ミラノ・スカラ座合唱団、ミラノ・スカラ座バレエ団
協力:東京バレエ学校
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro alla Scala
Cooperation:The Tokyo Ballet School

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2013/09/09

【歌舞伎】幸四郎の不知火検校の人物像が不明瞭・2013年9月新橋演舞場夜の部

 九月大歌舞伎は会場が新橋演舞場。ぽん太は「元禄忠臣蔵」と「河内山」はちょっと苦手なので、初めて観る「不知火検校」をかける夜の部だけの観劇です。公式サイトはこちら
 で、その初めて観た「不知火検校」ですが、ひとことで言うと、「悪くもないけど良くもない」という感想でした。
 不知火検校という悪人を幸四郎が演じたのですが、その悪人をどのように描きたいのか、観ていてわかりませんでした。悪人ながらカッコいい悪のヒーローなのか、悪い奴だけど憎めないところもあるやつなのか、それとも人間性の欠けた不気味なサイコパスなのか、猟奇的な変質者なのか。そうした「芯」がないので、悪事を積み重ねてどう変化していくのかが示されず、単に延々と悪事を繰り返しているようにしか見えませんでした。そのため最後に検校が捕縛されても、カタルシスが感じられませんでした。
 最後の花道で検校は、自分に石をぶつけた町人に向かって、「おまえらのように、何の野望も持たず、世間の枠のなかで無難に生きて来たやつらには、せいぜいお祭りが最大の楽しみで、俺の生き方などわかるまい」というような内容のことを言ってました。そうだとすると、常識を超えた非道さや、さらに上を目指していくどん欲さ、理解できないほどの悪事のエスカレート、そして悪事を行うことでの悦びを描くべきではないでしょうか。
 脚本も練れてないようで、二代目検校となった富の市に、皆がみな「富の市、おっと検校様でしたな」と繰り返すのは、しつこすぎます。富の市が初代検校から奪ったお金を、床の隠し窓を開けて、一回にばらまくのも意味不明。富の市を殺そうとしていた丹治・玉太郎兄弟が、生首の次郎と話しをして急に子分になるのも唐突です。高麗蔵の夜鷹宿おつまも、何で突然出て来るのかよくわかりません。また幕切れ近くで検校が「玉太郎も殺っておくんだった。いや、もう遅いか」などと言っておいて、最後が玉太郎の密告では、そのまんま過ぎて話しがオチません。登場人物がみんな「カネ、カネ」と言うのも、「現代人はお金のことばっかりいってるけど、もっと大切なものがあるんじゃないの」みたいな常套句に感じられ、ちょっと陳腐な気がしました。
 幸四郎の富の市のちに不知火検校、いつものように暗い感じで、愛嬌やとぼけた感じはありませんでした。前述のように、どのような人物像を描きたかったのかが不明瞭。目が見えないので手探り足探りをするのはいいけど、住み慣れた初代検校の家では、もっとスムーズに動いてもいいのでは?
 魁春の奥方浪江、富の市となぜ一夜を共にしたのかがよくわかりません。無理矢理には見えませんでしたし、金を貸してもらった義理だけではなく、富の市の歌を所望したりしてたので、多少は富の市に気があったのかも。だとしたら幸四郎の富の市は、もっと色男風に演じなければなりませんが……。
 36年ぶりの復活上演とのことですが、脚本と演出をもうちょっと練り直して、再演してほしいとぽん太は思いました。この芝居って、海老蔵がやったら面白いのでは?

 「馬盗人」は三津五郎がならず者悪太を演じ、巳之助と親子競演となるはずだった演目。三津五郎の病欠で、百姓六兵衛をやるはずだった翫雀が悪太にまわり、六兵衛は橋之助が演じました。例によって馬の演技や、面白い場面転換が見物。翫雀の悪太も勢いがあり滑稽で良かったですが、三津五郎だったもっと軽妙洒脱に柔らかく演じたんだろうな……。復帰を心待ちにしてます。


新橋演舞場
九月大歌舞伎
平成25年9月8日
夜の部

  沖津浪闇不知火
一、不知火検校(しらぬいけんぎょう)
  松本幸四郎悪の華相勤め申し候

浜町河岸より横山町の往来まで  
  按摩富の市後に二代目検校 幸四郎
  奥方浪江 魁 春
  指物師房五郎 翫 雀
  生首の次郎後に手引の幸吉 橋之助
  湯島おはん 孝太郎
  丹治弟玉太郎 亀 鶴
  若旦那豊次郎 巳之助
  娘おしづ 壱太郎
  富之助 玉太郎
  魚売富五郎 錦 吾
  初代検校 桂 三
  因果者師勘次 由次郎
  夜鷹宿おつま 高麗蔵
  鳥羽屋丹治 彌十郎
  岩瀬藤十郎 友右衛門
  母おもと 秀太郎
  寺社奉行石坂喜内 左團次

二、馬盗人(うまぬすびと) 
  ならず者悪太 翫 雀
  ならず者すね三 巳之助
  百姓六兵衛 橋之助

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