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2013/09/14

【オペラ】ヌッチの「悪魔め、鬼め」に泣く・「リゴレット」ミラノ・スカラ座

 世界超一流のミラノ・スカラ座の来日公演ということで、チケットは少々お高いですけど、清水の舞台から飛び降りたつもりで行って来ました。とっても素晴らしい舞台で、飛び降りて良かったと思いました。公式サイトはこちらです。
 「リゴレット」という題名は非常に有名で、「風の中の羽のように……」という「女心の歌」も聞き慣れておりますが、実際にオペラを観るのはぽん太は初めて。「女心の歌」のイメージとはまったく異なる、暗くて重いオペラでした。
 何と言ってもレオ・ヌッチのリゴレットが最高でした。年老いた道化師の役ですが、メーキャップがやけにリアルです。調べてみると、1942年生まれですから、御年71歳!ば、化け物です。かる〜く歌ってもすごい声量。最初に歌い出した時は、観てても誰が歌っているのかわからず、オペラグラスで確認してやっとわかったくらいです。そして表現力も一流。特に第二幕のアリア「悪魔め、鬼め Cortigiani, vil razza」では、さらわれた娘を取り返しに来たという状況ですが、道化という立場から滑稽な衣装を着て、「ララ、ララ」と歌い出します。奇形で生まれたせいでさんざん苦労をし、道化をしながらもそれに満足しておらず、世間を恨んでいる。オペラに描かれていない部分で何があったのか知りませんが、想像するに忍びありません。やがて彼は怒り出し、大声で訴えますが、周りの人々はあざけるのみ。しかし誘拐した女性がリゴレットの娘だと知ると、一同は気まずい表情で目を伏せます。このあたりが大げさな演技ではなく、歌舞伎みたいに抑制された表現だったあたりも、ぽん太の好みでした。リゴレットはだんだん意気消沈し、すがる思いで返事を乞いますが、最後には絶望の淵に沈んでいきます。若い娘だけを生き甲斐とする老いた道化師(まあ、それ自体がちょっとエキセントリックではあるのですが)の必死の思いに、ぽん太は涙が止まりませんでした。この哀愁は、脂の乗り切った若者には決して出せない味でしょう。案の定拍手がなりやまず、2幕終了後は「ビス」(アンコール)という声が何度もかかり、「そうだ、復讐だ!Sì, vendetta」をも一度歌ってくれました。ぽん太はオペラでのアンコールを初めて見ました。
 ジルダのマリア・アレハンドレスは、コロコロキラキラした容姿で、いかにも目に入れてもいたくない可愛い娘、といった感じでした。ちょっと声がキンキンするところもありましたが、若々しく力一杯歌っており、素晴らしい高音を聞かせてくれました。マントヴァ公爵のジョルジョ・ベッルージ、優しく甘い歌声でしたが、このメンバーにはいるともうちょっと声量が欲しいところで、「女心の歌」もヌッチのあとでは今一歩という気がしました。
 美術も重厚。演出も奇をてらわずオーソドックスで、先ほど書いたように演技も大げさにならず抑制されていて、演劇を見ているかのようでした。
 う〜ん、やっぱり世界一流はいいな。思い切って観に来たかいがあったです。


ミラノ・スカラ座2013年日本公演
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
「リゴレット」全3幕
Giuseppe Verdi
RIGOLETTO
Melodramma in tre atti

2013年9月11日(水)/NHKホール

指揮:グスターボ・ドゥダメル
Direttore:Gustavo Dudamel
合唱監督:ブルーノ・カゾーニ
Maestro del Coro:Bruno Casoni
演出:ジルベール・デフロ
Regia Gilbert Deflo
再演演出:ロレンツァ・カンティーニ
Ripresa:Lorenza Cantini
美術:エツィオ・フリジェリオ
Scene:Ezio Frigerio
衣裳:フランカ・スクァルチャピーノ
Costumi:Franca Squarciapino 

マントヴァ公爵:ジョルジョ・ベッルージ
Il Duca di Mantova:Giorgio Berrugi
リゴレット:レオ・ヌッチ
Rigoletto:Leo Nucci
ジルダ:マリア・アレハンドレス
Gilda:Maria Alejandres
スパラフチーレ:アレクサンドル・ツィムバリュク
Sparafucile:Alexander Tsymbalyuk
マッダレーナ:ケテワン・ケモクリーゼ
Maddalena:Ketevan Kemoklidze

ジョヴァンナ:ジョヴァンナ・ランツァ
Giovanna:Giovanna Lanza
モンテローネ:エルネスト・パナリエッロ
Monterone:Ernesto Panariello
マルッロ:セルジョ・ヴィターレ
Marullo:Sergio Vitale
ボルサ:ニコラ・パミーオ
Borsa:Nicola Pamio
チェプラーノ伯爵:アンドレア・マストローニ
Conte di Ceprano:Andrea Mastroni
チェプラーノ伯爵夫人:エヴィス・ムーラ
Contessa di Ceprano:Evis Mula
廷吏:ヴァレリー・トゥルマノフ
Un usciere:Valeri Turmanov
小姓:ロザンナ・サヴォイア
Paggio:Rosanna Savoia

ミラノ・スカラ座管弦楽団、ミラノ・スカラ座合唱団、ミラノ・スカラ座バレエ団
協力:東京バレエ学校
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro alla Scala
Cooperation:The Tokyo Ballet School

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