【オペラ】壇蜜より色っぽい?ケモクリーゼの「カルメン」新国立劇場オペラ
新国立オペラの「カルメン」。公式サイトはこちらです。
なんといってもカルメン初役というケテワン・ケモクリーゼが「見もの」でした。若くてスタイルもよくて美人。グルジア生まれとのことでヨーロッパ南方系の容姿で、スペイン人っぽく見えました。カルメンというと、貫禄ある妖艶なおばちゃんが多いですが、ケモクリーゼのカルメンは「ズベ公」という言葉ぴったり。とっても色っぽいですが、女工がいきなり工場の昼休みに、股開いたりパンツ見せたりするものかと思いました。歌も地声を混ぜて表情たっぷり……と思ってたのですが、ちょっと地声が多すぎます。よく聞いていると、実は低い声が苦手で、地声でごまかしているような気がしてきました。演技力も大切ですが、やはりオペラですから、しっかりとした発声でアリアを歌い切ってもらいたいと思いました。まだ若いので今後に期待。しっかりと低い声が出るようになった頃は、身体もぶっとくなってたりして。
ケモクリーゼを聴くのは初めてだと思ってましたが、自分のブログをググってみたら、ミラノ・スカラ座の「リゴレット」でマッダレーナ(殺し屋の妹)を歌ってたじゃん。ううう、覚えてません。
ドン・ホセのガストン・リベロは、とても甘くのびやかな歌声で、ぽん太の好きなタイプの声でした。今度はイタリア・オペラを聴いてみたいものです。カルメンを殺した後の茫然とした表情が、目を見開いたまま死んでいるカルメンとともに、とても印象に残りました。
エスカミーリョのドミトリー・ウリアノフは、ホール全体が鳴り響くような迫力あるバスで、ガタイも立派。ただ、遊び人っぽい色っぽさには欠けていて、まるでプロレスラーのように剛毅な感じ。「闘牛士の歌」もテンポが速く、細かいニュアンスの表現はほとんどなくて、最初から最後まで一気に歌い切ってしまい、期待していたアリアだけに、ちょっと拍子抜けしました。このテンポ設定はウリアノフの希望なのか、それとも指揮者の指示でしょうか。こんどはウリアノフの地響きするような声で、ロシア物やワグナーを聴いてみたいです。
日本勢も大健闘で、前回の「ホフマン物語」に続き清楚な女性を歌った浜田理恵、スニガの妻屋秀和、平井香織と清水華澄の「カルタの三重唱」など、それぞれ良かったです。新国立バレエ団にも拍手!
アイナルス・ルビキスの指揮は、序曲を筆頭に、ところどころテンポが早すぎるように感じました。序曲も速くてバタバタしてたし、「闘牛士の歌」が一本調子になってしまったのは先に書いた通り。「ジプシーの踊り」でもケモクリーゼの歌とオケがばらばらになってました。
この演出はぽん太は2回目ですが、オーソドックスで悪くはないけど、目新しさも感じられないといったところでしょうか。
ところで、こんかい初めて気がつきましたが、ミカエラという女性は、ホセの母親の言葉や様子を伝えるだけで、「自分が」ホセを愛しているとは一言も言わないのですね。つまりミカエラは劇中の清楚キャラクターとは異なり、「純愛」の象徴ではなくって、実際は「母親的な愛情」あるいは「家族制度」を表していることになりそうです。
オペラ「カルメン」/ジョルジュ・ビゼー
Carmen/Georges Bizet
2014年1月26日
新国立劇場オペラパレス
指揮:アイナルス・ルビキス
演出:鵜山 仁
美術:島 次郎
衣裳:緒方規矩子
照明:沢田祐二
振付:石井 潤
カルメン:ケテワン・ケモクリーゼ
ドン・ホセ:ガストン・リベロエス
カミーリョ:ドミトリー・ウリアノフ
ミカエラ:浜田理恵
スニガ:妻屋秀和
モラレス:桝 貴志
ダンカイロ:谷 友博
レメンダード:大野光彦
フラスキータ:平井香織
メルセデス:清水華澄
合 唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
ダンサー:新国立劇場バレエ団
竹田仁美、楠元郁子、今井奈穂、大湊由美、島田沙羅、鈴木 優
小柴富久修、八木 進、林田翔平 福田紘也(男性ダンサーは交替出演)
管弦楽:東京交響楽団
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