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2014/03/25

【バレエ】デュポン/モロー「椿姫」パリ・オペラ座バレエ団

 ルグリの「スーパーバレエレッスン」で「ロミジュリ」のお手本を踊っていたのを見て着目していたエルヴェ・モロー。以来いちど生で見たいと思っていましたが、怪我で来日が流れたりで、これまでチャンスに恵まれませんでした。こんかいも直前まで来るかどうか、来てからも怪我しないかどうかとヒヤヒヤしてましたが、念願かなって初めて見ることができました。いや〜素晴らしかったです。ルグリのように表現力が豊かですね。翌日見たガニオと比べても、2幕目の最後のマルグリットが立ち去った時の絶望の踊りや、第3幕の舞踏会でマルグリットを手荒に扱う動きなどは、モローが勝っておりました。すっかりファンになりました。今後も来日して欲しいです。
 初めてと言えば、ノイマイヤーの「椿姫」を全幕で見たのも今回が初めて。黒のパ・ド・ドゥはガラで何度も見てるますが。これまた楽しみでした。
 オペラの「椿姫」は何回も観ているので、ストーリーは同じだろうと高をくくっていたら、だいぶ違うので戸惑いました。「マノン」と絡めたアイディアはは面白いけど、ストーリーがかぶるんじゃないかな〜とか思っていたら、マルグリットの死にアルマンが駆けつけないのにびっくり。
 帰ってからググってみて、ようやくストーリーがわかりました。「名作ドラマへの招待」というサイトのこちらのページがとっても詳しく、デュマ・フィスの小説、ヴェルディのオペラ、アシュトンとノイマイヤーのバレエの詳しいあらすじが、それぞれ載っております。
 読み比べてみると、オペラよりもノイマイヤー版バレエの方が原作に近いようです。そして「マノン」は原作の小説でも取り入れられており、ノイマイヤーのアイディアではなかったようです。マノンに恋をした騎士デ・グリューは身を持ち崩して破滅します。当時皆が知っていたこの物語を踏まえて、「椿姫」のマルグリットは、マノンのようにアルマンを破滅させまいとして、身を引くことを決意します。それによってマルグリットのけなげさ、気高さが強調されるわけです。
 一方でヴェルディのオペラ「椿姫」では、最後にアルフレード(=アルマン)が椿姫ヴィオレッタ(=マルグリット)の病床に駆けつけ、ヴィオレッタはアルフレードに抱かれつつこと切れます。この結末では「マノン」とかぶってますね。
 ちなみに時系列をおさらいすると、アベ・プレヴォーの小説『マノン・レスコー』が出版されたのが1731年。けっこう古いんですね。マスネのオペラ「マノン」の初演が1884年、プッチーニのオペラ「マノン・レスコー」は1893年、マスネの音楽を使ったマクミラン振付けのバレエ「マノン」は1974年初演です。デュマ・フィスの『椿姫』の出版が1848年。ヴェルディのオペラ「椿姫」は1853年初演ですから、原作のわずか5年後です。バレエではアシュトンの「マルグリットとアルマン」が1963年初演、ノイマイヤーの「椿姫」は1978年です。
 それから、あらすじを読んで、ガラでよく踊られる「黒のパ・ド・ドゥ」の状況をまったく勘違いしていたことに気付きました。オペラからの勝手な想像で、気持ちが行き違いになっていてた二人が再会し、初めはギクシャクしていたけど、最後は情熱的な愛によって結ばれてめでたしめでたしという話しかと思ってました。しかし実は、マルグリットは意地悪をやめるようにアルマンに頼みに行っただけで、彼と結ばれようとは思ってなかったし、アルマンはアルマンで、マルグリットが自分を裏切って高級娼婦というふしだらな生活を選んだと誤解し、アルマンを憎んでいた(ホントは好きだけど)のです。いや〜そう思うと、「黒のパ・ド・ドゥ」は凄いバレエですね。
 オレリー・デュポンのマルグリットは、ルグリ先生とのパ・ド・ドゥで何度か見ましたが、全幕も良かったです。踊りは言うまでもなく演技力が素晴らしく、第一幕の高級娼婦としての堂々たる振る舞い、第二幕の清楚さ、第三幕でのパッションの踊り分けが見事で、特に第三幕の絶望感が心に迫りました。
 アルマンのお父さん、いかにもフランス人のおじいさんっぽくて味がありました。カテコで盛大な拍手を受けておりましたが、あとでググったらミカエル・ドナール氏は往年の名エトワールとのこと。
 マノン・レスコーのエヴ・グリンツテイン、ある時は劇中劇の踊り子、またある時はマルグリットの内面の表現、そしてまたあるときは愛する人に抱かれて死ぬというマルグリットの夢を見事に踊りました。非現実的で神々しく、まるで何かの精のようでした。
 舞台美術や衣裳はとても美しかったです。特に第三幕の舞踏会での、ワルツのブルー系の衣裳から、赤系への転換もきれいでした。これはノイマイヤーのオリジナルなのかパリオペラ座の工夫なのか、ぽん太にはわかりません。
 最後になりましたがノイマイヤーの振付けはいつもながら見事で、三つの幕をうまく対比した構成力、ストーリー展開、動きの面白さ、細かいところへの気配りなど、ただただ感心いたしました。
 指揮者のジェームズ・タグルはぽん太は初めて。東京シティ・フィル、待ちの多い仕事をお疲れさまでした。


パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「椿姫」
2014年3月20日 東京文化会館

音楽:フレデリック・ショパン
振付・演出:ジョン・ノイマイヤー(1978年)
美術・衣装:ユルゲン・ローゼ
照明:ロルフ・ヴァルター
2006年6月20日パリ・オペラ座初演

マルグリット:オレリー・デュポン
アルマン:エルヴェ・モロー
デュヴァル氏(アルマンの父):ミカエル・ドナール(ゲスト・エトワール)

マノン・レスコー:エヴ・グリンツテイン
デ・グリュー:クリストフ・デュケンヌ

プリュダンス:ヴァランティーヌ・コラサント
ガストン:ヴァンサン・シャイエ
オランプ:レオノール・ボラック
公爵:ローラン・ノヴィ
N伯爵:シモン・ヴァラストロ
ナニーナ(マルグリットの侍女):クリスティーヌ・ペルツェー

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ジェームズ・タグル
ピアノ:エマニュエル・ストロセール、フレデリック・ヴェス=クニテール

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