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2014/05/28

【オペラ】久々にオペラで泣いたぜ「アラベッラ」新国立劇場

 いや〜よかった、よかった。久々にオペラで泣いてしまいました。4年前にも見たプロダクションですが、2回目だったからか、歌手陣がすばらしかったせいなのか、とても感動いたしました。なかなかの名舞台だったんじゃないでしょうか。公式サイトはこちらです。
 誰もが幸福を望んでいたはずなのに、事態は破局へとつきすすんで行き、登場人物全員が屈辱と自己嫌悪、怒りと悲しみに苛まれます。その大きな力を押しとどめることは難しく、アラベッラも哀しい運命を受け入れるしかないと考えているように見えます。破滅を希望へと代えたのは、皆の「このままじゃいけない」という思いが、偶然、幸運にもつながりあったからです。アラベッラが一縷の望みを抱いてコップを手に階段から降りてこなかったなら、あるいはマンドリカがそのままホテルから立ち去ってしまっていたら、この幸せな結末は訪れなかったことでしょう。
 破局がいかに大きな力でもって人々を引きずり込んでいくか、そして幸福が、多くの人のささやかな希望が、奇跡的に結びついて生まれるものであるかを、知ることができました。
 リヒャルト・シュトラウスとホフマンスタールはこのオペラを、第一次世界大戦による破壊とそこからの復興への希望に重ね合わせたわけですが、その後、皮肉にも歴史が、ナチスの台頭と第二次世界大戦へと突き進んで行ったことは、よけいに哀しみを誘います。
 アラベッラのアンナ・ガブラーはスタイルもよくて美人ですが、色気ムンムンではなく、ちょっと神経質で偏屈な感じが、ウィーンでの華麗な日常よりもハンガリー(今のスロヴェニアか?)の大自然のなかの素朴で力強い生活に憧れるという役に合ってました。ちと声の延びと声量に欠けるような気もしたのですが、要所々々、特に第三幕で見事な喉を聴かせてくれました。ラストでの存在感も圧倒的でした。偏屈な娘が、深みのある女性へと変貌したところを見せてくれました。咳き込んでしまってラモラル伯爵とキスしそこねたみたいに見えたけど……。
 ズデンカのアニヤ=ニーナ・バーマン、男の子っぽい容姿で、透明な歌声。純粋さと行動力が感じられました。マンドリカのヴォルフガング・コッホ、力強く無骨な田舎者。手紙を受け取ったときに熊と闘っていたというのが笑いどころか。マッテオのマルティン・ニーヴァル、いかにも若い士官といった、一途さと生真面目さがありました。妻屋秀和と竹本節子、破産を前にしてギャンブルに興じる父と、占いにはまる母を好演。フィアッカミッリの安井陽子のコロラトゥーラもお見事でした。

オペラ「アラベッラ」/リヒャルト・シュトラウス
Arabella/Richard Strauss
2014年5月25日
新国立劇場オペラパレス

スタッフ
  指揮:ベルトラン・ド・ビリー
  演出・美術・照明:フィリップ・アルロー
  衣裳:森 英恵

キャスト
  ヴァルトナー伯爵:妻屋秀和
  アデライデ:竹本節子
  アラベッラ:アンナ・ガブラー
  ズデンカ:アニヤ=ニーナ・バーマン
  マンドリカ:ヴォルフガング・コッホ
  マッテオ:マルティン・ニーヴァル
  エレメル伯爵:望月哲也
  ドミニク伯爵:萩原 潤
  ラモラル伯爵:大久保光哉
  フィアッカミッリ:安井陽子
  カルタ占い:与田朝子

合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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