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2014/07/27

【歌舞伎】上方風の情感漂う藤十郎の「沼津」2014年7月松竹座夜の部

 なにかと忙しくて観劇からだいぶ時間がたち、もう印象がうすれてきましたが、忘備録も兼ねてアップしておきます。公式サイトはこちら
 歌舞伎はここのところずっと3階からの観劇だったのですが、こんかいは久々に一階席。細かな表情もよく見えるし、迫力が全然違います。これからもたまには一階で見ようと思いました。

 まずは「沼津」。ぽん太は、題名からしても、この演目は関東系の芝居だと思っていたので、藤十郎一家が演じるとどうなるのか、ちょっと心配しておりました。ところが実際に見てみると、見事に上方風の情の芝居になっていたのでびっくりしました。
 むしろこれまでは、十兵衛が貧しい村娘のお米に惚れて、あばら屋に泊まり込み、結婚まで申し出ることに違和感があったのですが、藤十郎の十兵衛はちゃらちゃらしたボンボンという感じで、とても自然に見えました。
 まあ、元はと言えば大阪の文楽のために作られた作品なのですから、関西風が似合うのは当たり前と言えば当たり前ですが。
 雲助平作は翫雀。雲助平作というと、ぽん太は平成中村座の勘三郎が記憶に残っております。勘三郎一流の演技は「面白さ」という点では一級品でしたが、歌舞伎狂言のなかの一登場人物を演ずるという意味では、翫雀のやや抑えた演技が本筋なのかもしれません。
 進之介……う〜む。

 次いで「身替座禅」。仁左衛門の右京、翫雀の奥方玉の井 。「玉の井が妙に男っぽく凄んで笑いを取る」といったことはしないで、ちゃんと「歌舞伎狂言」として演じてました。普通だと、入れ替わっているとも知らずに、右京が玉の井の頭を扇子で叩いたりする場面がありますが、今回はそれもなかった気がします。
 仁左衛門の右京は、とても可愛らしかったです。翫雀、いろんな役を卒なく演じることができて、とっても器用ですね。橋之助の太郎冠者、揚幕から出て来た瞬間に舞台がパッと明るくなるのは、橋之助のキャラクターならばこそですが、この芝居ではもう少し抑えた演技でもよかった気がしました。
 常磐津は、人間国宝の一巴太夫が久々の出演。少し声量は落ちた気はしますが、見事な喉を聞かせてくれました。
 松竹の人にお願いがあります。「歌舞伎美人」の公演案内に、役者の配役だけでなく、義太夫や鳴り者の人などの名前も入れて下さい。よろしくお願いします。

 「真景累ヶ淵」は、納涼感満点の怪談。「身代座禅」に引き続き、深情けの女が男に付きまとうというお話でした。お客さんを怖がらせるのが主眼の演目で、筋はさしたることなし。というか、豊志賀が死んで行く様子を、噺家役が延々と語って聞かせるのでは、「芝居」になってません。
 時蔵は怖がらせ方が上手。竹三郎は、菊之助に急に引っ張られた時に首ががくんとなる演技が面白かったです。

 最後は孝太郎の「女伊達」。小柄な孝太郎ですが、どうだとばかりの得意げな表情など、演技力で女伊達ぶりを表現しておりました。萬太郎、こういった役はイナセな感じがぽん太が大好きです。国生くん、踊りというか器械体操のような……。もう少し頑張りましょう。


大阪松竹座
七月大歌舞伎
平成26年7月9日

夜の部

伊賀越道中双六
一、沼津(ぬまづ)  
    呉服屋十兵衛 藤十郎
    お米 扇 雀
    池添孫八 進之介
    雲助平作 翫 雀

二、新古演劇十種の内 身替座禅  
    山蔭右京 仁左衛門
    太郎冠者 橋之助
    侍女千枝 梅 枝
    同 小枝 児太郎
    奥方玉の井 翫 雀

三、真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)
  豊志賀の死 
    豊志賀 時 蔵
    お久 梅 枝
    噺家さん蝶 萬太郎
    伊東春海 橘三郎
    勘蔵 竹三郎
    新吉 菊之助

四、女伊達(おんなだて) 
    女伊達木崎のお秀 孝太郎
    男伊達淀川の千蔵 萬太郎
    同  中之島鳴平 国 生

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