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2014/09/29

【クラシック】ガッキーより笑える現代音楽。グスターボ・ドゥダメル指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(2014.9.24)

 ウィーンフィルがわざわざ日本に来てくれたので、聴きに行ってまいりました。公式サイトはこちらです。さるやんごとなきお方も聴きに来てました。
 指揮はグスターボ・ドゥダメル。Wikipediaのお告げによれば、ベネズエラ出身で1981年生まれとのこと。ぽん太はベネズエラと聞いても、カーロス・リベラぐらいしか思い浮かびませんが(わかるかな?)、クラシックの指揮者も生み出してるんですね。無知なるぽん太には初耳の名前です……って良く見たら、昨年のミラノ・スカラ座オペラの来日公演で「リゴレット」を振ってた人やん。ほんとにぽん太はお馬鹿さん。何にも記憶に残らないのね。
 「ベネズエラ出身」という先入観のせいかもしれませんが、まことに溌剌としてドラマチックな音楽で、かつ「ツァラトゥストラ」などを聞くと、リズム感もとてもいいようです。無駄のない抑制的な指揮振りですが、ニュアンスを的確に伝えているように思いました。演奏終了後、楽団員を順々に立たせて誉め讃え、また自分は決して指揮台に登らず、舞台の上で団員と一緒に拍手を受けていたのが印象的でした。
 ウィーンフィルの素晴らしさは言うまでもありませんが、楽団員全員にしみついている微妙なテンポのゆらぎが、ぽん太には心地よいです。歌舞伎で菊五郎のセリフ回しを聞いてるだけで気持ちよくなってくる感じと言いましょうか。バレエで動きをなぞっているだけと、その動きに微妙な表情が感じられるのとの違いと申しましょうか。ドヴォルザークの交響曲第8番の冒頭の序奏を聴いただけで、数え切れないほどの「美しさ」が感じられてぼーっとしてしまいます。
 最初の曲はモーツァルトの「協奏交響曲 変ホ長調 K364」。ぽん太は聞き覚えのない曲です。パリ滞在から帰って1779年にザルツブルクで作曲した曲ですが、母を失うなど悪いことだらけだったパリ滞在を引きずってか、モーツァルトらしい天真爛漫さや諧謔味に欠ける音楽です。しかし哀愁に満ちた第二楽章はすばらしく、ぽん太はマイケル・ナイマンの「数に溺れて」を連想しました。独奏はウィーンフィルの団員でしたが、ヴァイオリンのライナー・キュッヒルは軽くてきらびやかな音色でした。一方ヴィオラのハインリヒ・コルはちょっとタメのある演奏で、その微妙なテンポのずれがまた良かったです。

 次の「タイム・リサイクリング」は現代音楽。なんか佐村河内事件のおかげで、現代音楽に対する違和感がちょっと薄れた気がするぽん太です。作曲者のルネ・シュタールはウィーンフィルの第2ヴァイオリン奏者。現代音楽ということで、神妙な心持ちで聴いていたのですが、第4楽章に入って、パーカッションが怪しげなリズムを刻み始めたと思ったら、突然サンバ調のメロディーが。ヴァイオリン奏者が歌い始めたり、コントラバスが楽器をくるくる回したり、小太鼓を手のひらで叩いたり、金管楽器のマウスピースだけを吹いたり、立ち上がって演奏したりと、そりゃもう大騒ぎ。それをまた天下のウィーンフィルが「真剣に」演奏しているのがおかしく、笑いながら聴いてました。これまでしかつめらしく聴いてたのがバカみたい。ベルリンフィルだったらこんな曲は絶対に演奏しないでしょうね。アンコールのシュトラウス一家の曲を真剣に熱演している姿を見るにつけても、ウィーン人にはこうした諧謔さが備わっているのかもしれません。
 最後はドヴォルザークの交響曲第8番。ボヘミア風の美しい旋律が次から次へと出て来て、ぽん太が好きな曲の一つ。すばらしい演奏ではありましたが、なんかちょっと物足りない気も。ウィーンフィルだと演奏が整いすぎているというか、上手に演奏すればするほど、メロディーはいいけど構成力が乏しいところが感じられてしまいました。もっとすすり泣く弦、輝く金管!みたいな方がぽん太には好みなのかも。
 アンコールはヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・シュネル『憂いもなく』。ノリノリの演奏でした。


グスターボ・ドゥダメル指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2014年9月24日
サントリーホール

モーツァルト:協奏交響曲 変ホ長調 K364
  ヴァイオリン : ライナー・キュッヒル <第1コンサートマスター>
  ヴィオラ : ハインリヒ・コル <首席ヴィオラ奏者>

ルネ・シュタール:タイム・リサイクリング(日本初演)

ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 B163 op.88

(アンコール)
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・シュネル『憂いもなく』 op.271

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