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2014/10/11

【登山】裏剱遊歩(5)共食い中(?)のクマに遭遇!【写真あり】

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P9190308←モザイクがかかってない拡大写真はこちら(グロ注意!)。
 登山歴20年くらいになるぽん太ですが、初めて熊に遭遇しました。平成26年9月19日の昼の12時頃、場所は内蔵助谷の、内蔵助平と内蔵助谷出合のあいだで、真ん中よりやや下ったあたりです。
 内蔵助谷の右岸の、やや急だけど見晴らしのいい登山道を下っていました。いつも通り、ぽん太が先頭を歩き、にゃん子が後から付いてきていたのですが、十数メートル先の岩陰で何やら動く物が目にとまりました。
 毛が生えた動物で、なんだか剛毛、真っ黒で、筋肉隆々で……実際はこのかん、わずか1〜2秒だと思うのですが、ツキノワグマの背中であることがはっきりと見て取れました。
 ぽん太は「くま……くま、くま……」と声にならぬ声を出しながら後ずさり。にゃん子も気付いたようで、クマが追いかけてこないか注意しながら、30mくらいの距離まで離れました。そこで道が曲がっており、それ以上離れるとクマのいるあたりが見えなくなってしまうので、とりあえずそこで停止。
 クマは岩陰でなにやら作業をしているようで、こちらには気付かなかったようです。一生懸命モゾモゾ動いてましたから、岩陰の蟻の巣でもほじくってるのかな?とぽん太は思いました。
 ぽん太もにゃん子も熊鈴は付けておりましたが、傍らを流れる内蔵助谷の轟音で、聞こえなかったようです。あるいはクマが「取り込み中」だったので、音に気がつかなかったのかもしれません。風も谷の下から上へ、つまりクマの方からぽん太の方へ吹いてましたから、匂いも気付かなかったでしょう。
 さて、どうするか考えました。(1)山小屋まで戻る、(2)しばらく待つ、(3)音を立てて追い払う。
 (1)必要があれば山小屋まで戻ってもよいですが、ここからだと5時間ぐらい歩かないといけません。(2)しばらく待つにしても、いつまで待てばいいのかきりがないので、(3)音を立てて追い払うことにしました。
 ぽん太は予備知識として、本州にいるツキノワグマは木の実などを食べていて、基本的には臆病で、急に至近距離で出くわして、子連れだったりしないかぎりは、滅多に襲って来ないということは聞いてました。また、前々日の夜に泊まった仙人温泉小屋の小家主さんとの酒を飲みながらの話しているうちに、たまたまクマの話しになって、多少の心の準備もできていました。
 仙人温泉小屋は、冬の間に2年続けてクマが入り込んで冬眠をしていったそうで、戸をこじ開けた時の爪のあとが残ってました。倉庫に鍵をかけて保管してあった食料も全部食べられ、お酒も全部飲まれたそうです。様々な缶類を試しに咬んでみたようで、牙で穴があいた空き缶も見せてもらいました。なかには殺虫剤やラッカースプレーもあり、咬んだクマはさぞかしビックリしたことでしょう。ご丁寧に布団まで引っ張り出して、くるまって寝ていたそうです。
 また、ツキノワグマは基本的には臆病で、人間に会いたくない。東北ではマタギなどクマの狩猟を行うのでクマは人間に敵意をもっているが、ここらではクマの猟は行わないので、人間に対する敵意を持ってない。クマは耳が良くて、沢の反対側を登ってくる登山者の熊鈴の音を聞きつけて、そっと立ち去っていく、大声で話しながら歩いていればクマには会わない、などの話しをお伺いしました。
 ということで、2時間も3時間も待っているのも何なので、物音をたててみることにしました。音を聞きつけたクマが、こちらに向かってくる可能性は少ないだろうと判断したのです。もし向かってきた時は……そのとき考えるしかありません。
 まず熊鈴を振ってみましたが、クマからの距離と、沢の流れの轟音の前では、音が小さすぎてダメ。二本のストックをカチカチと打ち付けたりして見ました。さらに声を出してみました。良く響くように、高い声で、「ホー、ホー」と声を立ててみました。いきなり脅かさないように、小さな声から、だんだんと大きくしてみました。しばらく叫んでいると、なにやら「チイ、チイ」いう声が、谷の緑のなかを登っていくのが聞こえました。クマが「チイチイ」鳴くかは不明ですが、5分ほど声を出したので、そろそろクマも逃げてくれたのではないかと判断し、少しずつ近づいて見ました。
 徐々に降りて行くと、先ほどクマがいたところにはクマはいません。しめしめ。
 念のため、石ころを拾ってクマがいたあたりに投げてみましたが、反応なし。しめしめ。
 注意しながらそろり、そろりと下っていたところ、先ほどクマがいたあたりのちょっと右のあたりで、一カ所だけ草が不自然に揺れてます。そして次の瞬間、また黒い毛だらけ筋肉隆々の背中が……。
 先ほどの位置まで再び退却。振り出しに戻って作戦の立て直しです。
 携帯電話をチェックしたところ、なんと電波が届いてます。そこで昨日泊まった真砂沢ロッジに電話して、小屋主さんにどうしたらいいか聞いてみたところ、とにかく音を立ててクマが逃げるのを待って、下山するしかないとのことでした。
 そこで声や音を出し続けていると、クマがいたあたりよりちょっと下流を、こちらから対岸に向かって渡渉していくサルが……。あれ?クマじゃなくてサルだったの。な〜んだよかった!
 しかし、サルの毛は薄茶でポヤポヤ、見たのは真っ黒な剛毛です。危険から逃れたいばっかりに、希望的観測に流れてはいけません。
 ぽん太は、非常用装備として、ホイッスルを常に携帯しております。滑落や遭難の際に自分の位置を知らせるためのものです。ただそれはリュックの一番下に入っているので、クマのいる方角から目をそらしてリュックの中身をだしているうちに、クマが襲って来ないとも限りません。そこで無理矢理リュックの中に腕をつっこみ、苦労したあげく、ついに非常用装備の袋を引っ張り出しました。
 ホイッスルはさすがに大きな音がします。脅かさないように小さい音から鳴らし始めましたが、思いっきり吹くと、谷に響き渡るほど大きな音がしました。
 1〜2分吹いていると、沢のなかにクマが現れました。大型犬と同じかそれ以上の大きさでした。ところが口になにやら加えてます。子グマかな?それとも獲物でも咥えてるんでしょうか?
 よく見ると咥えられているのはやはりクマで、咥えているクマよりも多少小柄ではありますが、決して子グマではなく、ぐったりとしています。クマは沢を渡って反対側に行こうとしているようです。肩から首を大きく振るようにして、力任せに引きずっていきます。相当の水量がある沢ですから、クマの力は大したものです。途中で沢の水が一瞬血でぱあっと赤く染まりました。よく見ると咥えられたクマはお腹が裂けて内蔵が出ているようでした。その時にゃん子が撮ったのが冒頭の写真です。
 ぽん太の心臓は早鐘のように打ってました。というのうも、クマが、腹の裂けたクマを引きずっているという状況が、ぽん太には理解できなかったからです。いったい何が起きているのでしょう。
 とにかくぽん太はホイッスルを吹き続けました。ふと見ると沢の丁度反対側では、先ほど見かけたサルが梢に登って、「キーッ、キーッ」とクマに向かって叫び声を揚げてました。ぽん太とサルになんだか仲間意識が芽生えた瞬間でした。
 クマは、沢の反対側の茂みのなかに身を隠しました。咥えたクマをいったん隠しておいて、やおらこちらに襲いかかってくるかもしれないので、そのあと数分間にわたってホイッスルを吹き続け、その後、ホイッスルを吹きながらゆっくりと下山して行きました。
Img_0853 『森のくまさん』の歌詞に、「ところが後からくまさんが付いてくる」というのがあったので、後ろを振り返りながら、急な坂をころげるように降りて行きました。以前に歩いたことがある下ノ廊下に出て、ほかの登山者を見たときは、正直ほっとしました。
Img_0857 下ノ廊下を登っていくと、黒部ダムの下に出ます。観光放水が上に見えてます。ここからダムの上まで登る40分間が、けっこうきついです。
Img_0862 到着。この入り口を入ると、トロリーバスの駅の近くに出ます。やっと「現実」に戻った気がしました。のんびりと観光を楽しむ一般の人たちに囲まれ、「俺たちはクマに会ったんだ〜」と大声で叫びたい気持ちでした。
 さんざん脅かされて悔しいので、土産やでクマの肉の缶詰でも売ってたら、食って仕返ししてやろうかと思ったのですが、鹿の肉しか売ってませんでした。
 家に帰ってからぐぐってみると、ツキノワグマは動物の死体を食べるそうで(例えばツキノワグマは「人を食う」…か?|ツキノワグマ事件簿)、共食いをすることもあるようです(クマの死体をみないワケ…|ツキノワグマ事件簿クマの共食い痕 - 筑波大学 藤岡)。
 ということは、ぽん太が見たクマは、共食い中だった可能性が高いんじゃないでしょうか。たまたま一匹のクマが死んでいたのか、あるいは闘って殺したのかわかりませんが、血だらけの内蔵をむさぼり喰ってたんだとしたら、相当に興奮し気が立っていたはずです。そこにぽん太とにゃん子がたらたら近づいて行ったわけですから、かなり危険な状況だったような気がします。
 さらに不思議に思ったのは、ツキノワグマって、基本的には木の実などを食べる「草食」動物なのに、なんで無駄に筋肉や牙が発達していて怪力なんでしょうか。ううう、疑問です。

 さらに今年は、クマ出没のニュースが相次いでいます。エサとなるブナやミズナラが不作な上、地域によって害虫による被害も加わり、エサを求めて山を降りて来たが、あちこちで目撃されているそうです。

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