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2014/12/09

【バレエ】ようやくグリゴローヴィチ版の意味がわかった。ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」

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 ハラショー、ハラショー、ボリショイがやってきた。まずはザハーロワだ!公式サイトはこちらだ。
 前回ザハーロワの白鳥を見たのはいつだったか。自分のブログをググってみると、2008年とのこと。う〜ん、あれから6年。しかしザハーロワはまったく衰えてません。それどころか優美さが増しているのでは?少女漫画のような顔、まさしく宙を舞う羽毛のような手足の繊細な動き、ポーズの美しさ、思わずため息とヨダレが出てしまいます。白鳥のウルウル感は世界一だとぽん太は思います。それでいて黒鳥の妖艶さも見事です。いったい何歳?1979年6月10日生まれの35歳とのこと。まだまだやれそう。しかし、こんなすばらしいダンサーが新国立劇場バレエのシーズンゲストダンサーを務めたなんて、信じられないですよね。
 王子のロヂキンは、ソリストとして観るのは今回が初めて。手足が長く、ジャンプも高く大きく、やわらかく優雅な踊りでした。
 ロットバルトのベリャコフも素晴らしかった。グリゴローヴィチ版のロットバルトは、2幕第1場に見せ場の踊りがあるので、ちゃんと踊れる人じゃないとだめですね。突然ロットバルトが素晴らしい踊りを見せたので、観客は皆まずびっくりし、そして盛大な拍手を送ってました。
 道化のメドヴェージェフは、ジャンプもピルエットもいまひとつ。岩田守弘さんにはかなわんぞえな〜(岩田さんの道化の動画はこちら)。

 さて、グリゴローヴィチ版の特徴を、思い出すままに書いてみます。
 なんといっても悲劇的な結末が特徴で、白鳥は死んでしまって王子が一人とりのこされます。
 全体の構成が対称的になっていて、第一幕が一場の舞踏会と二場の白鳥シーン、第二幕が一場の花嫁選びのパーティーと二場の白鳥シーンとなっております。
 第一幕第一場は、城内の貴族たちの舞踏会で、民衆のパーティーではありません。王子があちこちの群舞に加わります。パ・ド・トロワも王子です。道化はありです。王子に対して、長老(?)たちが剣を送り、母親の女王は首飾りを送ります。この象徴的な意味は不明。「明日は花嫁を選ぶんですよ」みたいなマイムはなし。マザコン王子のゆううつ踊り(通称)はありませんが、最後に王子のソロがあり、それにあわせてロットバルトが影のように踊りに加わります。王子が白鳥に会う前なのに、ロットバルトが王子に絡んで来るのが不思議です。
 第一幕第二場になると、いきなり湖になり、白鳥が登場。何のために王子が湖に来たのかもよくわかりません。その後は普通の版とだいたい同じ。最後にまたしても王子とロットバルトの踊りがあります。音楽は第二幕第二場のものでしょうか?
 第二幕第一場。民族舞踊はロシアもあり。すべてに女性のソロが加わっていると思ったら、それがお妃候補でした。各国のお妃が、舞踊団を伴ってやってきたという設定か。ということで、黒鳥も、黒鳥舞踊団を引き連れて登場。音楽は第二幕第二場のものだったか?黒鳥のパ・ド・ドゥの途中で背景に白鳥が現れるのはナシ。王子が黒鳥に愛を誓ってしまってから、白鳥が現れました。黒鳥のヴァリアシオンは蛇使いみたいな音楽の方。32回転はいつもの音楽の方。王子は、黒鳥は白鳥と別だとわかっていながら、魅力に負けて愛を誓ってしまったように見えました。最後にロットバルトの素晴らしいソロがあるのは、先ほど書きました。
 第二幕第二場、親白鳥が子白鳥に飛び方を教えるという振付けはありませんでした。最後は悲劇的な結末。

 ということで、なんか全体の意味がわからんな〜、あゝ、プログラムでも買っておけばよかったと思ったら、なんとプログラムがあった!じゃぱんあーつの夢倶楽部に入ったら、ダンサーの自筆サイン付きプログラムをプレゼントしてくれたのでした。ちなみにサインはマリーヤ・アレクサンドロワとウラディスラフ・ラントラートフでした。
 で、グリゴローヴィチ自身の書いた「解説」を読んでみると、彼はこのバレエをおとぎ話のジャンルからロマンス小説のジャンルに移し替えようとしたのだそうで、ロットバルトは運命の擬人化であり、白鳥たちのいる湖は、ロットバルトが王子に見せた空想上の理想の愛の世界だそうです。そしてロットバルトは、黒鳥を使って彼を悲劇的結末に導き、絶望させるんだそうな。
 さらに「あらすじ」を読んでみると、第一幕第一場で長老たちが王子に剣をわたすのは、王子が騎士に任ぜられたことを意味しているようです。なるほどね。
 ただ、この解釈でいくと、「オデットが魔法によって白鳥に変えられてしまった」という設定があやふやなのと、白鳥が空想の世界だとして、黒鳥は現実なの?といった疑問も湧いて来るのですが、そこは所詮バレエだからいか、といったところでしょうか。

2014年11月20日(木)
≪白鳥の湖≫全2幕4場
オーチャードホール

振付:マリウス・プティパ、レフ・イワノフ、
   アレクサンドル・ゴールスキー、ユーリー・グリゴローヴィチ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
台本・演出:ユーリー・グリゴローヴィチ
美術:シモン・ヴィルサラーゼ
照明:ミハイル・ソロコフ
音楽監督・共同制作:パーヴェル・ソローキン
指揮:パーヴェル・ソローキン
管弦楽:ボリショイ劇場管弦楽団
プティパ・イワノフ版初演:1895年1月15日、ペテルブルグ帝室マリインスキー劇場
グリゴローヴィチ新改訂版初演:2001年3月2日、モスクワ・ボリショイ劇場

<出演>
オデット/オディール:スヴェトラーナ・ザハーロワ
ジークフリート王子:デニス・ロヂキン
王妃(王子の母):クリスティーナ・カラショーワ
悪魔ロットバルト:アルテミー・ベリャコフ
王子の家庭教師:ヴィタリー・ビクティミロフ
道化:デニス・メドヴェージェフ
王子の友人たち:アンナ・ニクーリナ、クリスティーナ・クレトワ
儀典長:アレクサンドル・ファジェーチェフ
花嫁候補たち
ハンガリー:アンジェリーナ・カルポワ
ロシア:アンナ・レベツカヤ
スペイン:アンナ・チホミロワ
ナポリ:ダリア・コフロワ
ポーランド:マリーヤ・セメニャチェンコ
3羽の白鳥:アンジェリーナ・カルポワ、オルガ・マルチェンコワ、アナ・トゥラザシヴィリ
4羽の白鳥:ユリア・ルンキナ、アンナ・ヴォロンコワ、スヴェトラーナ・パヴロワ、マルガリータ・シュライネル
ワルツ:アンナ・レベツカヤ、ネッリ・コバヒーゼ、アナ・トゥラザシヴィリ、ヤニーナ・パリエンコ、ミハイル・クリュチコフ、イワン・アレクセーエフ、ドミトリー・エフレーモフ、クリム・エフィーモフ

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