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2015/03/21

【展覧会】どこか親しみのある仏様たち「みちのくの仏像」東京国立博物館

 2月の末のことですが、上野の国立博物館に「みちのくの仏像」展を見に行ってきました。
公式サイトはこちら。作品リストはブログの一番下にあります。国立博物館にしては、けっこうこじんまりした展覧会で、会場も本館の特別室を使ったものでした。
 仏像はド素人のぽん太ですが、第一印象は、なんか塗装が剥げた仏像が多いなあというものでした。保存が悪いのかと思ったら、素地仕上げ(きじしあげ)といって、彩色や金箔を用いずに木肌の美しさを活かす技法なんだそうな。
 今回の展覧会の目玉は、東北の三大薬師と呼ばれる岩手県の黒石寺(こくせきじ)(重文)、福島県の勝常寺(しょうじょうじ)(国宝)、宮城県の双林寺(そうりんじ)(重文)の薬師如来が勢揃いしていることのようです。
 黒石寺は、何年か前にポスター(例えばこちら)で話題になった蘇民祭(そみんさい)で有名なところですね。ぽん太も以前に立ち寄ったことがあるのですが、拝観には事前連絡が必要なようで、そのときは拝観することがかないませんでした。
 Wikipediaで調べてみると、薬師如来とは、永徽元年(650年)の玄奘訳『薬師瑠璃光如来本願功徳経』(薬師経)や、景竜元年(707年)の義浄訳『薬師瑠璃光七佛本願功徳経』(七仏薬師経)などに書かれている仏様で、東方浄瑠璃世界(瑠璃光浄土)にいらっしゃるんだそうです。像容は、右手は上げてこちらに手の平を見せる施無畏(せむい)印、左手は下げて手の平を前あるいは上に向けた与願印。左手には普通は薬壷(やっこ)を乗せていますが、古い像では薬壷を持たないものも多いそうです。『薬師経』にならって日光菩薩・月光菩薩を従えた薬師三尊像として安置されたり、眷属として十二神将像が安置されることも多いそうです。また光背には7あるいは6体の薬師如来が置かれておりますが、七仏薬師と呼ばれる薬師如来とその化身仏で、「七仏薬師経」などに書かれているそうです。
 ということで黒石寺の薬師如来に戻ると、桂材の一木造りで、なんか腹まわりがメタボっぽくて、重量感があります。墨書によって貞観4年(862年)の作であることがわかっているそうで、東日本大震災に加え、貞観11年(869年)に東北を襲った貞観地震を体験されているそうです。光背は江戸時代に作り替えられましたが、七仏薬師は当初のものだと言われているそうです。
 双林寺の薬師如来坐像は欅の一木造りで、漆がはげて虫食いの穴があき、お肌がだいぶ荒れてます。9世紀頃の作だそうで、細かい衣紋の表現が美しかったです。
 で、勝常寺の「薬師如来坐像および両脇侍立像」は、さすがに国宝だけあって保存も良く、圧倒的な迫力が感じられます。像高141.8cmという大きさでありながら欅の一木造りだそうで、さぞかし巨木が使われたと推測されます。光背も当初のものだそうで、飛天が一つだけ残っております。またこの如来さまは、額に白毫(びゃくごう)がないのも特徴です。脇侍の日光・月光菩薩は、ふっくらとした体つきで、威厳がある本尊と違って慈愛が感じられます。
 勝常寺って福島県のどこかと思ったら、会津若松と会津坂下の間あたりですね。何度も近くに行っているのに、勝常寺はパスしてました。

 その他にぽん太の印象に残ったのは、まず岩手県天台寺の聖観音菩薩立像(重文)。全身にノミで彫った跡が残されています。公式サイトの解説では「荒々しいノミ目」と書いてありますが、ぽん太には、仏さまをいつくしむような丹念で丁寧なノミ跡に見えました。
 それから秋田県小沼神社の聖観音菩薩立像。頭の上の、本来なら阿弥陀如来の化仏があるべきところに、なにやら東北の民話にでてきそうな可愛らしい不思議な生き物が置かれ、にこにこ笑ってます。アップの写真は例えばこちらのブログにあります。仏さまの頭の上に「やっぱりこれだよな〜」とこれを乗っけてしまった作者(あるいは依頼者?)の気持ちを考えると、なんだか面白いです。
 そして青森県恵光院の「女神坐像」。優しいお母さんというかお袋さんとみたいで、手に取ってなでなでしたい感じがしました。
 それから初期の円空の三体(地蔵菩薩立像、釈迦如来立像、十一面観音菩薩立像)。良く知られた荒々しい形象ではなく、すべすべに仕上げられており、横からみると薄っぺらくて、なんだか東南アジアの仮面みたいでした。

1 重文 聖観音菩薩立像 1軀 平安時代・11世紀 岩手・天台寺
2   如来立像 1軀 平安時代・11世紀 岩手・天台寺
3 重文 千手観音菩薩立像 1軀 平安時代・10世紀 山形・吉祥院
4   菩薩立像(伝薬師如来) 1軀 平安時代・11世紀 山形・吉祥院
5   菩薩立像(伝阿弥陀如来) 1軀 平安時代・11世紀 山形・吉祥院
6 重文 薬師如来坐像 1軀 平安時代・9世紀 宮城・双林寺
7 重文 二天立像(持国天・増長天) 2軀 平安時代・9世紀 宮城・双林寺
8 国宝 薬師如来坐像および両脇侍立像 3軀 平安時代・9世紀 福島・勝常寺
9 重文 薬師如来坐像 1軀 平安時代・貞観4年(862) 岩手・黒石寺
10   日光菩薩立像・月光菩薩立像 2軀 平安時代・12世紀 岩手・黒石寺
11   聖観音菩薩立像 1軀 平安時代・10世紀 秋田・小沼神社
12 重文 伝吉祥天立像 1軀 平安時代・9世紀 岩手・成島毘沙門堂
13   訶梨帝母坐像 1軀 平安時代・12世紀 岩手・毛越寺
14   女神坐像 1軀 鎌倉時代・12~13世紀 青森・恵光院
15 重文 十二神将立像(丑神・寅神・卯神・酉神) 4軀 鎌倉時代・13世紀 山形・本山慈恩寺
16 重文 十一面観音菩薩立像 1軀 鎌倉時代・14世紀 宮城・給分浜観音堂
17   地蔵菩薩立像 円空作 1軀 江戸時代・17世紀 青森・西福寺
18   釈迦如来立像 円空作 1軀 江戸時代・17世紀 青森・常楽寺
19   十一面観音菩薩立像 円空作 1軀 江戸時代・17世紀 秋田・龍泉寺

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