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2015/04/09

【オペラ】キリスト教が絡んでくるとわかりにくいな〜「運命の力」新国立劇場

 新国立劇場のヴェルディ「運命の力」。公式サイトはこちらです。またこちらの「オペラ対訳プロジェクト」のサイトに対訳があります。
 ぽん太はこのオペラを観るのは初めてでしたが、いまいち感情移入できないというか、引き込まれないというか、所々で眠くなりました。
 「運命の力」と銘打つくらいですから、抗い得ない運命の力によって、登場人物たちが悲劇的な結末へと押し流されて行くドラマを期待したのですが、あんまり大したことはありませんでした。確かに3人の主人公が全員死ぬという結末は悲惨ですが、そこに至る過程が「悲劇」を感じさせません。
 むしろ、罪や不幸と、神との関係がテーマであるように感じました。レオノーラやアルヴァーロは修道院に救いを求めますし、最後はアルヴァーロは神に許され、レオノーラは天に召されます。しかしこのあたりは、キリスト教徒でないぽん太にはちとわかりにくい。
 「善にして万能である神が、なぜこの世に不幸をもたらすのか」というのは、『ヨブ記』でも扱われたキリスト教では古来から有名な問いですが、こんかいの舞台を観た限り、そういった神に対して疑問を抱いているように感じました。レオノーラの死を「神のもとに召されるのだ」というグルディアーノ神父のセリフはなんか説得力がありません。また第4幕第1場では、食べ物を乞う貧民をののしるメトリーネに対し、グルディアーノ神父が「慈善を行うのです」と説くところでも、神父の言葉が戯画化して扱われている感じがしました。これが今回の演出に限ったものなのか、それともぽん太の取り方が間違っているのか、よくわかりません。
 Wikipediaによれば、オペラ初演時の結末は、アルヴァーロが「自分は地獄からの使者だ、人類は皆滅びるがよい」という冒涜的な言葉を吐くというものでしたが(比較的検閲が緩いロシアで初演されたという事情があったようです)、のちに現在のように改訂されたんだそうです。やっぱり元々は、神に反発するオペラだったんですね。ちなみに初版のDVDは、下のリンクの一番右側です。
 歌手陣はなかなか良かった気がします。以前に「トスカ」を聴いたレオノーラのイアーノ・タマーはあいかわらず表現力・演技力があり、高音のフォルテもキンキンしません。アルヴァーロのゾラン・トドロヴィッチは、以前の新国立「蝶々夫人」のピンカートン訳では、ピンカートンにしてはいい人すぎる気がしましたが、今回は役柄があってました。対してドン・カルロのマルコ・ディ・フェリーチェは剛毅な感じで、トドロビッチとの対比が心地よかったです。プレツィオジッラのケモクリーゼは、今回もズベタ系で、スカートひらひらさせてました。メリトーネのマルコ・カマストラは、コミカルな役をきっちり演じてました。グァルディアーノ神父の松位浩、あいかわらず男前で品位があり、歌も外人に負けてませんね〜。
 赤いタタミイワシを多用した美術はシンプルで現代的で洗練されてました。
 ホセ・ルイス・ゴメス指揮の東フィルはキレはいいけどちょと軽めで、いまいち迫力や、どろどろした情念などがなかった気がしました。新国立劇場合唱団はいつもながら好演。最近カテコに出て来ないのが残念です。

オペラ「運命の力」/ジュゼッペ・ヴェルディ
La Forza del Destino/Giuseppe Verdi
2015年4月5日
新国立劇場オペラパレス

指揮:ホセ・ルイス・ゴメス
演出:エミリオ・サージ
美術・衣裳:ローレンス・コルベッラ
照明:磯野 睦

レオノーラ:イアーノ・タマー
ドン・アルヴァーロ:ゾラン・トドロヴィッチ
ドン・カルロ:マルコ・ディ・フェリーチェ
プレツィオジッラ:ケテワン・ケモクリーゼ
グァルディアーノ神父:松位 浩
フラ・メリトーネ:マルコ・カマストラ
カラトラーヴァ侯爵:久保田真澄
マストロ・トラブーコ:松浦 健
合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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