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2015/09/16

【歌舞伎】玉三郎の政岡に思う。2015年9月歌舞伎座夜の部

 9月歌舞伎座夜の部は玉三郎の政岡で「伽羅先代萩」の通し。公式サイトはこちらです。
 今期を限りに歌舞伎会ゴールド会員の資格を失う予定のぽん太、最後の機会なので、一階の最前列の席を取ってみました。さすがに細かい表情がよく見え、迫力がありました。
 「伽羅先代萩」は超有名な演目ですが、思い返してみると、ぽん太が観た政岡は限られている気がします。自分のブログをぐぐってみたところ、菊五郎、藤十郎、菊之助、魁春、そして玉三郎でした。玉三郎は、仁左衛門の八汐で通しを観たようですが、あゝ悲しきはぽん太の狸脳、あんまり覚えてません。
 政岡は、母親らしい愛情とともに強靭さを併せ持つ女性。立役もする役者の方が演じやすいのかもしれません。そこを女形専門の玉三郎がどのように演じるかが、こんかいの楽しみでした。

 で、結論から言うと、やはり玉三郎の線の細さが気になってしまいました。「竹の間」で政岡が八汐の詮議の果てに、上手に遠ざけられて「獄屋に送る」と言い渡されたとき、本当に怯えてオドオドしているように見えましたし、鶴千代の言葉に救われて「御前様有難う存じます」と礼を言うとき、心底安堵して平身低頭しているように見えました。このあたりは、八汐の計略にはまりながらも反撃の機会を伺っているくらいであって欲しいし、鶴千代に対しても「はいはい、よくできました」といった余裕が欲しい気がします。
 「御殿」で、目の前で我が子千松が八汐によってなぶり殺しになる場面でも、正面をきっと睨んだ玉三郎の顔は、苦悩に満ちていました。これでは「泪一滴目に持たぬ男まさりの政岡が、忠義は先代末代まで、又あるまじき烈女の鏡」という義太夫にあわない気がしますし、またその様子を栄御前が見て、取り替え子と勘違いするというのも不自然に思えます。
 ひょっとすると、玉三郎もその辺がわかっているので、小槙が出て来て「実は私が栄え御前に取り替え子ということを吹き込んだ」と言う、あまり見ない下りを入れたのかもしれません。
 一方で、なぶり殺しの場面で政岡が鶴千代を守る仕草は、主をお守りするという感じではなく、我が子を抱きしめるかのようで、これは栄御前の思い違いを補強する演技でした。

 そんなところは気になりましたが、もちろん玉三郎の演技は素晴らしかったです。特に「御殿」は、歌舞伎というよりシェイクスピアの劇を見ているかのような印象で、それも賛否があるんでしょうけど、歌舞伎以外の様々な演劇の経験を積んだ玉三郎ならではだと思いました。
 ちなみに「飯炊き」も入ってました。

 「花水橋」は梅玉の足利頼兼が絶品。漂う品格、ちょっとした目の動き、仕草が素晴らしいです。そして又五郎が絹川谷蔵。このクラスの役者がそろうと、単なる導入かと思っていた「花水橋」がまったく別物のごとしで、とても感動いたしました。
 歌六の八汐、実はあんまり期待していなかったのですが、憎々しさと滑稽さがうまく出ていて、歌六の芸の力を改めて見直しました。最後に渡辺外記左衛門まで演じてるんですから立派。
 吉右衛門の仁木弾正は、なんだかぬぼーっとしていて、「妖しい」というよりは、得体が知れず不気味な感じ。「床下」、「対決」は素晴らしかったですが、さすがに「刃傷」は体力が付いて行かなかったようで、鷺見得もふらついてしまいました。
 細川勝元の染五郎。若々しく颯爽とした正義の味方でしたが、これだけの役者を揃えた重厚な物語全体の捌き役としては、ちょっと若すぎたか。こんなワカゾーに手玉に取られた仁木弾正が、ちょっと可哀想な気がしました。酸いも甘いも噛み分けた名奉行という感じで、菊五郎くらいに演じて欲しかったです。

 


歌舞伎座
秀山祭九月大歌舞伎
平成27年9月6日

夜の部

通し狂言 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
  花水橋
  竹の間
  御殿
  床下
  対決
  刃傷

〈花水橋〉          
  足利頼兼 梅 玉
  絹川谷蔵 又五郎  
〈竹の間〉          
  乳人政岡 玉三郎
  沖の井 菊之助
  鳶の嘉藤太 吉之助
  小槙 児太郎
  八汐 歌 六  
〈御殿〉           
  乳人政岡 玉三郎
  沖の井 菊之助
  小槙 児太郎
  栄御前 吉 弥
  八汐 歌 六  
〈床下〉           
  仁木弾正 吉右衛門
  荒獅子男之助 松 緑 
〈対決・刃傷〉        
  仁木弾正 吉右衛門
  細川勝元 染五郎
  渡辺民部 歌 昇
  山中鹿之介 種之助
  大江鬼貫 由次郎
  山名宗全 友右衛門
  渡辺外記左衛門 歌 六

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