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2016/03/18

【オペラ】サロメの愛は真実なの?「サロメ」新国立劇場

 新国立劇場の「サロメ」。このプロダクションはぽん太は2回目。こちらが公式サイトです。

 ぽん太は「サロメ」というと、二期会のコンヴィチュニー演出の舞台が頭に残っています。というか、頭にこびりついていて取れません。どうしてくれるんだ、コンヴィチュニー!
 そういえばコンヴィチュニー、あのあとは日本で演出してませんんね。やっぱりあの「サロメ」の演出で日本出入り禁止になったのかしら(^_^)。

 というわけで、コンヴィチュニーの演出を踏まえて、こんかい改めてリヒャルト・シュトラウスの音楽に耳を傾けてみました。
 「サロメ」というと、グロテスクで官能的な物語で、サロメは色きちがいの極悪人、という固定観念をぽん太は持ってました。しかし実際に音楽をよく聴いてみると、不安感は感じられますが、世紀末的な官能性はあんまりないですね。そしてコンヴィチュニーの言う通り、サロメがヨハナーンへの愛を語る部分の音楽はとても美しく、肉欲的な汚らしさはありません。ラストのサロメのアリアも、心底美しい真実の音楽でした。
 そこからコンヴィチュニーは、不道徳な酒池肉林のヘロデ王の世界にサロメは違和感を感じているが、そこからの出口がわからない、サロメは、ヘロデ王の不道徳を告発するヨハナーンに愛を抱くが、ヨハナーンは愛を受け止めることができない、しかしラストでサロメとヨハナーンは手に手を取って、新しい世界へと踏み出していく、という物語を引き出したわけです。
 しかしシュトラウス自身は、このオペラをどういう考えで作ったのか、ぽん太にはわかりません。サロメの愛は真実ではあったけど、「時代」によって歪められてしまったと考えたのでしょうか。
 オケピが奏者でみっちり埋まるほどの大編成のオケから発する、ボリュームたっぷりの複雑な音楽。コンヴィチュニーの言う通り、ヨカナーンが井戸から出てくるだけのところに、素晴らしい充実した音楽が付いてたりします。ひょっとしてシュトラウスは、凄い音楽を作りたかっただけで、あんまり内容は考えてなかったのかしら。むむむ、謎です。

 さて、新国立のプロダクション、でっかい井戸が真ん中にある舞台美術は悪くはなかったけど、演出はいまいちな気がしました。歌ってる人以外が、ぼーっと佇んでいたりします。サロメがひどいことを歌っているあいだ、ヘロデ王はじっと立っていて、サロメが歌い終わると、ヘロデ王が突然激怒して歌い出すといった具合。
 また「7つのヴェールの踊り」は、カミッラ・ニールント自身が踊り、最後は下着姿まで晒しましたが、たいへん申しわけありませんが、なんか「見たくない」って感じでした(^_^;)。ダンサーの吹き替えでもいいのでは?確かコンヴィチュニーも、「歌手の下手な踊りを延々と見せられるのは苦痛だ」みたいなことを言ってた気がしますが……。

 歌としてはサロメのカミッラ・ニールントは見事でした。ヨハナーンのグリア・グリムスレイも、容姿を含めて予言者らしい迫力あり。ヘロデ王のクリスティアン・フランツは何度か新国立で聴いてますが、こんかいも演劇的な表現力が素晴らしかったです。ヘロディアスは、「イェヌーファ」に出演中のハンナ・シュヴァルツ。急遽の代役でしょうか。ご苦労様です。

 エッティンガー指揮、東京交響楽団の音楽も、キレと迫力があってよかったと思います。最後の最後の盛り上がりでホルンが裏返ったのがちと残念。

 とうことで、コンヴィチュニーという麻薬を摂取したせいかもしれませんが、歌手は悪くなかったと思うのですが、なんか演出が物足りなくて、十分感動できませんでした。「イェヌーファ」や「リリオム」を観たあと、というせいもあるかしら。

 さるやんごとなきお方が観に来てました。どうせならもっと楽しい演目にすればいいのに。

オペラ「サロメ」/リヒャルト・シュトラウス
Salome/Richard Strauss
新国立劇場オペラパレス
2016年3月9日

指揮:ダン・エッティンガー
演出:アウグスト・エファーディング
美術・衣裳:ヨルク・ツィンマーマン
振付:石井清子
再演演出:三浦安浩
舞台監督:大澤 裕

サロメ:カミッラ・ニールント
ヘロデ:クリスティアン・フランツ
ヘロディアス:ハンナ・シュヴァルツ
ヨハナーン:グリア・グリムスレイ
ナラボート:望月哲也
ヘロディアスの小姓:加納悦子
5人のユダヤ人1:中嶋克彦
5人のユダヤ人2:糸賀修平
5人のユダヤ人3:児玉和弘
5人のユダヤ人4:青地英幸
5人のユダヤ人5:畠山 茂
2人のナザレ人1:北川辰彦
2人のナザレ人2:秋谷直之
2人の兵士1:大塚博章
2人の兵士2:伊藤貴之
カッパドキア人:大沼 徹
奴隷:松浦 麗

管弦楽:東京交響楽団
芸術監督:飯守泰次郎

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