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2016/03/25

【絵画】悪い奴ほどよく描く。カラヴァッジョ展・国立西洋美術館

Mary_magdalene_caravaggio
 歌舞伎の帰りに上野の西洋美術館に寄って、「カラヴァッジョ展」を見てきました。こちらが公式サイト、こちらが出品リスト(pdf, 783.3K)です。また上の絵は「法悦のマグダラのマリア」(1606年、個人像)、出典はWikipediaです)。

 カルパッチチョといえば、薄切りの生の牛ヒレ肉にチーズやソースをかけたイタリア料理で、刺身を使う魚のカルパッチョは実は日本が発祥とのこと。
 で、カラヴァッジョといえばイタリア人の画家。フルネームはミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ( Michelangelo Merisi da Caravaggio)で、1571年にミラノで出生、1610年にトスカーナ州モンテ・アルジェンターリオでわずか38歳でこの世を去りました。
 人間的には素行不良のならず者で、何度も暴行・傷害事件を起こし、挙げ句の果てに殺人まで犯しましたが、逃亡中の潜伏先で極めて精神性の高い名作を
描きあげました。人間性と芸術性が無関係であることの例証として有名です。強烈な明暗を劇的に使ったリアルな表現は、バロック絵画の誕生に大きな影響を与えたと言われております。

 カラヴァッジョの現存作品は60点あまり。英語のウィキペディアに全作品のリストがあります(こちら)。
 今回はそのうち11点が来ており、日本では過去最多、世界的にも有数の規模だそうです。また、カラヴァッジョの悪行が記載された資料も展示されておりました。

800pxmichelangelo_caravaggio_062 「果物籠を持つ少年」(画像はWikipediaより)は、カラヴァッジョが22〜23歳の作品ですが、過去に入った果物の描写が素晴らしいテクニックです。サクランボやリンゴの皮の艶、桃のうっすらとはえた産毛、ブドウの独特の質感など、すべて的確に描き込まれています。
 果物に比べて人物はぼんやりと描かれてますが、これについて解説板には、昔ゼウクシスというギリシャの画家がブドウを持った少年の絵を描いたところ、小鳥が本物と間違えてついばみに来たので人々は賞賛たが、ゼウクシスは喜ぶどころか、「人物も見事に描いていれば小鳥は怯えて来なかったのに」と落胆した、という逸話があり、それにちなんで人物を薄く描いた、みたいなことが書いてありました。
 ぽん太は、゙ゼウクシスとパラシオスの競作の逸話は知ってますが、上の逸話は知りませんでした。出典はどこでしょう?

800pxnarcissuscaravaggio_159496_edi  「ナルキッソス」にはびっくりしました。写真だとあんまり感じませんが、ナルシスとその水に映った姿が多角形をなしてkて、中央に闇のなかに照らし出された丸い膝小僧があり、まるで抽象絵画のようでした。膝小僧は妙にリアルに生々しく描かれており、ちょっとダリみたいでした。

 また、冒頭の「法悦のマグダラのマリア」は、長く個人が秘蔵していたものが2014年に発見され、カラヴァッジョの真作と認定されたもので、世界初公開なんだそうです。この絵が「悔悛」の場面なのか「聖天」の場面なのか、狸のぽん太にはさっぱりわかりませんが、目を半開きにした表情は性的なエクスタシーを思わせます。マグダラのマリアにはお決まりの髑髏は、袋に入っているのか、シャツのなかに包み込んでいるのか、描かれておりません。カラヴァッジョはこの絵を、殺人を犯して逃亡中に描いたそうです。

800pxmichelangelo_merisi_da_caravag 「洗礼者ヨハネ」。先日のオペラ「サロメ」で首を斬られた人ですね。オペラとだいぶイメージが違います。

日伊国交樹立150周年記念
カラヴァッジョ展
2016年3月10日
国立西洋美術館

主な出品作

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
 「女占い師」1597年、ローマ、カピトリーノ絵画館
 「トカゲに噛まれる少年」1596-97年頃、フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術財団
 「ナルキッソス」1596-97年頃、ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館
 「果物籠を持つ少年」1593-94年、ローマ、ボルゲーゼ美術館
 「バッカス」1597-98年頃、フィレンツェ、ウフィツィ美術館
 「マッフェオ・バルベリーニの肖像」1596年頃、個人像
 「エマオの晩餐」1606年、ミラノ、ブレラ絵画館
 「メドゥーサ」1597-98年頃、個人像
 「洗礼者ヨハネ」1602年、ローマ、コルシーニ宮国立古典美術館
 「法悦のマグダラのマリア」1606年、個人像
 「エッケ・ホモ」1605年頃、ジェノヴァ、ストラーダ・ヌオーヴォ美術館ビアンコ宮

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