【仏像】見てると幸せな気分になる下膨れのお顔。聖観音菩薩立像、弾誓寺@長野県大町市
1ヶ月遅れのご報告が続いております。
ぽん太とにゃん子訪れたのは、長野県は大町市の弾誓寺(たんせいじ)。そこに、ぷっくらした顎のとても可愛らしい観音様がいらっしゃいます。癒し系というか、見てると幸せな気分になってきます。
こちらが弾誓寺の本堂です。
境内には、赤い帽子をかぶったお地蔵さんが並んでます。
それぞれが個性的ですが、手に持っている杖かなんかも一緒に毛糸の帽子をかぶってます。膝の上に赤ちゃんを抱いてますが、赤ちゃんの仕草がリアルですね。面長のお顔で、唇には紅がさしてあります。
こちらが観音様のいらっしゃる観音堂です。
改修されてますが、元は古い建物だそうです。いい感じの彫刻が残っています。
堂の内部も、梁の部分などに、古いところが残ってます。
こちらが観音様です。右足をちょっと開いており、お腹もぽってり。お顔は冒頭の写真のように、顎がぷっくりと丸くておちょぼ口、薄目のような表情です。
お堂の天井に天蓋があります。昔はこの真下に仏様が安置されていたのでしょう。
観音様の案内板です(クリックで拡大します)。藤原様式以前の、平安時代前期の貞観様式だそうです。後年の補修の跡も多く、彫眼だった目が玉眼に変えられていたり、裸足だった足に靴がは履かせられており、また江戸時代金箔が貼り直されているそうです。
観音様の向かって右に安置されているのは、弘法大師、不動明王、多聞天です。
そして向かって左側は、木造伝弾誓上人坐像と、木造伝長音上人坐像です。
案内板です(クリックで拡大します)。
このお寺は、鎌倉時代の豪族仁科氏が居館を大町に移して町作りをしたとき、別のところに合った天台宗の浄福寺を現在の場所に移築したのが始まりで、同時に観音菩薩様も移されたと考えられております。
江戸時代初頭にこの寺を訪れ、常念仏の道場を開いたのが弾誓上人。常念仏とは、何人かで交替しながら、念仏を途切れず唱え続けることです。弾誓上人は尾張の出身で、木の実や草だけを食べるいわゆる木喰を行いながら各地を行脚し、最後は即身仏となったそうです。
こちらに並ぶ石碑は、そうした念仏の記念塔でしょうか?一番左側は、「南無阿弥陀仏四万日回向」という字が読めます。
ちなみに中央にある阿弥陀仏は、元々のものは戦争のおりに供出させられてしまい、復元したものの一回り小さくなってしまったそうです。
このお寺の中興の祖が長音(ちょうおん)上人。お寺の名前を弾誓寺と改めました。
さらに時代が下って、山居上人は享保9年(1724年)、弾誓上人にならって、この観音堂の地下で即身成仏したという伝説がありました。数年前に発掘調査が行われたところ、遺骨や遺品が現れ、伝説の正しさが確かめられたそうです。
境内の一角にある「鬼洞先生墓」。1825年に起きた「赤蓑騒動」という一揆を記録したことで有名な、諏訪藩士・六角鬼洞(もろずみきどう)のお墓だそうです。
弾誓寺(たんせいじ)
長野県大町市
聖観音菩薩立像 像高161.5cm ケヤキ材 一木造り 漆箔 10世紀初頭 県宝
木造伝弾誓上人坐像 像高75cm 檜材 寄木造 玉眼 江戸時代17世紀中頃 市指定
木造伝長音上人坐像 像高78cm 檜材 寄木造 玉眼 元禄13年(1700年) 願誉岳空寂阿作 市指定
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