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2016/09/20

【文楽】「一谷嫩軍記」の前半はおもしろいなァ 2016年9月国立劇場第一部

 九月の国立劇場文楽は、「一谷嫩軍記」の通し。あまり見たことのない段が多い第一部を観劇。公式サイトはこちら、特設サイトはこちらです。

 小劇場、トイレの大の扉がきれいになってました。まだまだこの建物を使うつもりか……。でもトイレの混雑はあいかわらず。別棟でもいいですから、でっかいきれいなトイレを作ってほしいです。

 「一谷嫩軍記」というと、歌舞伎では「熊谷陣屋」が嫌というほど繰り返し演じられてますが、そのほかの段はほとんど上演されません。以前に一回だけ「陣門・組討」を團十郎の熊谷直実、藤十郎の敦盛で見てとても感動したことは、ブログに書きました。

 最初は「堀川御所の段」。なんか義経が平家の人と仲良くしていて、三種の神器のうち神璽と神鏡を受け取っていて、状況が把握できず。三種の神器は、平家が壇ノ浦で滅亡する時に三つとも持ってたような……。あわてて幕間にパンフレットを購入して読むと、義経は、三種の神器を取り戻すために、平時忠の娘と結婚したんだそうな。そんな史実ってあるのかな?今回はみちくさは省略。

 「敦盛出陣の段」では、敦盛が父・経盛から、実は後白河法皇のご落胤なので、滅亡必至の平家に同行せず都に行くように勧められるが、育ての親の経盛の恩を尊び、平家と運命を共にすることを決断する下りが心に残りました。玉織姫が、他の女房ともども、武器を片手に敵を追い払うあたり、武家の女性の手強さに驚きました。

 でもこの玉織姫ちゃんは、夫・敦盛を追って須磨浦をさまよううち、横恋慕する平山によってやすやすと胸を刺されてしまいます。さっきの力強さはどうしたの?
 そして「組討の段」では、敦盛を討ち取ったという熊谷の勝ち名乗りを聞いて、玉織姫の意識が戻り、瀕死の身体を引きずるようにして現れ、最後の名残に敦盛の首を抱かせて欲しいと訴えます。玉織姫が既に目が見えないことを知った熊谷は、首を玉織姫に渡します。

 熊谷が「陣門の段」で敦盛と小次郎を入れ替えたとことは、それを知っていればわかりますが、まったく初めて見る人だとわかりにくいです。文楽で初演された時点で、観客が何度も見ること、あるいは観客があらすじを伝え聞いていることを前提としていたのでしょうか?
 ということで熊谷は、敦盛の身代わりとなった我が子小次郎の首を刎ねるのですが、ぽん太が歌舞伎で感動した、首を刎ねたあと熊谷が悲しみをこらえながら長々と後片付けをする演技は、文楽にはありませんでした。歌舞伎のオリジナルなんでしょうね。

 歌舞伎で興味深かった遠見を使った演出は、文楽でもありました。しかも、遠見の熊谷と敦盛が馬上で素手で組み合い、馬から地面にどうと落ちたところで、瞬時に普通の人形に戻るところは、面白い演出でした。

 平忠度と「千載集」にまつわるストーリーは、歌舞伎では見たことなし。やはり知らない話しだと、このあとどうなるのかな、と舞台に引き込まれます。「堀川御所」「敦盛出陣」「林住家」を東京で上演するのは41年ぶりとのこと。歌舞伎でも名場面の繰り返しではなく、通しでレアな段を上演して欲しいと思いました。


国立劇場 小劇場
9月文楽公演
2016年9月11日

●第一部
通し狂言 一谷嫩軍記

初段 堀川御所の段

  豊竹亘太夫
  竹本小住太夫
  豊竹咲寿太夫

  鶴澤清允
  鶴澤燕二郎
  野澤錦吾
  鶴澤清公

敦盛出陣の段

口 豊竹希太夫
  鶴澤寛太郎

中 豊竹始太夫
  竹澤團吾

奥 竹本文字久太夫
  鶴澤清介

二段目 陣門の段
  小次郎 豊竹松香太夫
  平山  竹本津國太夫
  熊谷  竹本文字栄太夫
  軍兵  豊竹亘太夫

      鶴澤清友

須磨浦の段
  豊竹芳穂太夫
  鶴澤清馗

組討の段
  豊竹咲甫太夫
  野澤錦糸

林住家の段

口  竹本小住太夫
   鶴澤清公

中  豊竹睦太夫
   鶴澤清志郎

奥  竹本千歳太夫
   竹澤宗助


【人形役割】
源義経   吉田幸助
平時忠   桐竹亀次
菊の前(堀川御所)  吉田簑紫郎
岡部六弥太忠澄  吉田玉志
熊谷次郎直実  桐竹勘十郎
玉織姫  吉田一輔
平経盛  桐竹勘壽
藤の局  吉田勘彌
無冠太夫敦盛  吉田和生
熊谷小次郎直家  吉田和生
平山武者所  吉田玉佳
乳母林  吉田和生
薩摩守忠度  吉田玉男
菊の前(林住家)  吉田簑助
梶原平次景高  吉田玉輝

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