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2016/09/19

【歌舞伎】吉右衛門と玉三郎の格調ある「吉野川」 2016年9月歌舞伎座昼の部

 九月の歌舞伎座は、重厚な時代物「吉野川」と、楽しい「らくだ」が並んだ夜の部を観劇しました。公式サイトはこちらです。

 まずは「吉野川」。「妹背山婦女庭訓」の一部ですが、ぽん太にとって「妹背山婦女庭訓」と言えば、お三輪ちゃんがいじめにあって馬子唄を歌わされるという話し。なんだか「吉野川」とつながりません。
 そこで文化デジタルライブラリーであらすじを見ると、「吉野川」は三段目でお三輪ちゃんは四段目ですね。四段目は、お三輪ちゃんが犠牲になって蘇我入鹿をやっつける話しですが、「吉野川」は、入鹿の無理難題で二人の若者が命を落とすということで、入鹿の残虐さを現したサイドストーリーのようです。

 「吉野川」は以前に一度だけ見たことがあります。確か幸四郎が大判事、藤十郎が定高で、久我之助は梅玉でした。ぐぐってみると平成19年6月でした。雛鳥は魁春だったようですね。
 藤十郎と幸四郎ということで、ぐずぐず泣いて、客席もあちこちからすすり泣きが聞こえるという、「泣かせる」芝居だったような記憶があります。それから、幸四郎が文机で無量品を読んでいるすぐ横で、梅玉が短刀を取り出して腹を切り、それを見て幸四郎がびっくりしてましたが、をひをひもっと早く気付けよ〜と思いました。

 今回は大判事が吉右衛門、定高が玉三郎という配役で、情に訴えるのではなく、時代物としての格調を感じさせる大舞台でした。また、文机の下りはなく、久我之助が一人腹を切ったところに、大判事が駆けつけるという演出でした。前回のとは型が違うのかしら。ぽん太にはよくわかりません。

 ところでこの演目、セリフが難しくてよくわかりません。「字幕ガイド」を借りたり、脚本を購入する方法もありますが、少々お金がかかります。文楽の床本でよければネットから印刷することができて、「ようこそ文楽へ」というサイトのこちらのページにあります。ほかにも色々な演目の床本がアップされているので便利です。歌舞伎のセリフと義太夫は、床本とおおよそ同じでした。セリフの内容がわかると、面白みが全然違います。ただ、客席で印刷したものを見ながら観劇する場合、紙をめくる動作が周りのお客さんの迷惑にならないように気を使いましょう。
 
 菊之助の雛鳥、染五郎の久我之助も、若々しくて美しくてよかったです。
 義太夫も、力強い葵太夫と、もう一人の人(名前わかりません。松竹さん、ホームページに義太夫さんや音楽方の名前を乗せて下さい。お願いします)の歌うような声の出し方の対比が面白かったです。

 ところで妹背山ってどこにあるの?調べてみると、奈良県は吉野川町上市のやや東で、吉野川を挟んで妹山 (260m) と背山 (272m) が向かい合ってます。下のストリートビューを御覧下さい。左が妹山、右が背山で、吉野川は奥から手前に流れております。歌舞伎の舞台と同じですね。

 この舞台において吉野川は、雛鳥と久我之助を隔てる障壁であり、また雛鳥の首と嫁入り道具を送り届ける役もします。そして雛鳥と久我之助の水盃の三三九度の水となります。人間の無常なドラマが繰り広げられるなか、とうとうと流れ続ける吉野川こそが、この演目の本当の主人公のように感じました。


 重厚な芝居から一転して「らくだ」。これは、勘三郎と亀蔵の名舞台の記憶が頭に焼き付いており、それにどこまでせまれるか、という思いを持ちながら見ました。
 う〜〜ん、結論から言うとまだまだ。松緑があいかわらず一本調子。見ていて、ここでも笑えるのに、あ、ここでも笑えるはずなのに、と何度も思いました。染五郎も、くず屋さんの情けなさがあんまり出てませんでしたが、酔っぱらってきて強気になるあたり、「酒で気が大きくなってる」という感じじゃなく、まんま染五郎の迫力が出てて、今回の舞台で一番面白かったです。らくだの亀寿、まあまあ上手でしたが、プラスアルファの面白さがありません。まあ亀蔵は、のそ〜と背が高いあたりがいかにも「らくだ」といった感じで、体型ですでに得してましたけど。


 最後の「元禄花見踊り」は、玉三郎姐さんが、美形若手をおおぜい引き連れて、お姫様状態で踊りました。とてもきれいで華やかでした。
 この踊りの詞章はネットのあちこちに見つかります(例えばこちら)。
 あんまり見たことない踊りですが、「〽連れて着連れて 行く袖も……」からの音楽はとっても有名ですね。歌舞伎を見たことないひとでも誰でも知ってると思います。例えば下の動画の49秒あたりから。

 


歌舞伎座
秀山祭り九月大歌舞伎
平成28年9月4日

夜の部

  妹背山婦女庭訓
一、吉野川(よしのがわ)

    大判事清澄   吉右衛門
    久我之助    染五郎
    腰元桔梗    梅枝
    腰元小菊    萬太郎
    雛鳥      菊之助
    太宰後室定高 玉三郎
     
 
  岡 鬼太郎 作
  眠駱駝物語
二、らくだ

    紙屑買久六   染五郎
    手斧目半次   松緑
    駱駝の馬吉   亀寿
    半次妹おやす  米吉
    家主佐兵衛   歌六
    家主女房おいく 東蔵

三、元禄花見踊(げんろくはなみおどり)

    元禄の女 玉三郎
    元禄の男 亀三郎
    元禄の男 亀寿
    元禄の男 歌昇
    元禄の男 萬太郎
    元禄の男 隼人
    元禄の男 吉之助改め吉之丞
    元禄の女 梅枝
    元禄の女 種之助
    元禄の女 米吉
    元禄の女 児太郎

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