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2016年10月の2件の記事

2016/10/10

【オペラ】5時間半が短く感じる「ワルキューレ」新国立劇場オペラ

 飯守さんが指揮・芸術監督の「ワルキューレ」。楽しみです。飯守さん自身によるオペラトークも見て準備万端。特設サイトはこちらです。

 新国立オペラというと、ビジュアルで歌手を選んでいる風がありますが、今回は恐らく歌唱力重視。ビジュアルはイマイチですが(狸の分際で失礼なことを申し上げてすみません)、歌声は素晴らしかった!
 休憩を入れると上演時間が5時間を超す「ワルキューレ」。これまで途中で意識消失することが多かったですが、今回は(ほとんど)意識消失せずに観ることができ、ようやく筋もわかりました。
 で、これは正に歌舞伎だな〜と思いました。神という立場にあるがゆえ、自分の望みを断念し、愛する人を殺し、娘に罰を与えなければなりません。その苦しみに、あとは自分が滅びることを願うのみ。歌舞伎でも、武士としての義を守るため、愛する我が子を手にかけたりします。ブリュンヒルデが、「私はあなた(ヴォータン)が断念した望みを実行したのよ」というあたりは、歌舞伎の「くどき」そのものでした。

 ジークムントは、「ラインの黄金」ではローゲを歌ったステファン・グールド。やっぱりジークムントの方があってます。明るく、英雄的な、朗々たる歌声で、初役とは思えない素晴らしさでした。ジークリンデのジョゼフィーネ・ウェーバーは期待の若手との触れ込みでしたが、これまた素晴らしかったです。イレーネ・テオリンのブリュンヒルデの力強い歌声もお見事。
 『サロメ』でヨハナーンを歌ったグリア・グリムスレイのヴォータンと、おなじみツィトコーワのフリッカは、ビジュアル担当か?いや、それにとどまらず、声も聞かせてくれました。特にヴォータンは、前回のライジネンだと心のない人非人(神非神か?)ぶりが目立ちましたが、グリムスレイは内面的な苦悩が伝わってきました。フンディングのアルベルト・ペーゼンドルファーは、演出のせいもあって、田舎の頑迷なおじさん風でした。

 ゲッツ・フリードリヒの演出はオーソドックスというか、ちょっとオーソドックスすぎる感じ。今回のプロダクションは、元々はフィンランド国立歌劇場のものだそうで、ジークムントが大河ドラマの真田昌幸よろしく毛皮を着ていたり、なんか北欧の田舎が舞台に思えます。でもまあ、ワルキューレにしろヴァルハラにしろ、元は北欧神話のなので、これでいいのかも知れません。
 ただ、気になったのはワルキューレの騎行の場面。ワルキューレたちが戦場で死んだ勇者の遺体を運んできて、ヴァルハラの護衛につかせるんだと思うのですが、担架の布をめくるとトランクスいっちょうの貧弱な肉体のオッサンが横たわっていて、しかもワルキューレたちがその上に馬乗りになって飛び跳ねながら奇声をあげたり。なんか、遺体を粗末に扱ってるみたいで、ぽん太は不快感を感じました。

 反対に感動したのは、ジークムントの前にブリュンヒルデが現れて、死ぬ運命を伝えるところ。ブリュンヒルデのペーゼンドルファーの神々しさが半端じゃなかったです。日本だったら、阿弥陀如来が迎えに来ちゃって、あ〜もう死んじゃうのか〜という感じでしょうか。
 
 飯守さん指揮、東フィルの、雄大で情感に満ちた音楽にも大満足。次の『ジークフリート』が待ち遠しいです。

 
リヒャルト・ワーグナー
「ワルキューレ」

2016年10月2日
新国立劇場 オペラハウス

指揮:飯守泰次郎 
演出:ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ 
照明:キンモ・ルスケラ

ジークムント:ステファン・グールド 
フンディング:アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン:グリア・グリムスレイ 
ジークリンデ: ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン 
フリッカ:エレナ・ツィトコーワ
ゲルヒルデ:佐藤路子 
オルトリンデ:増田のり子
ヴァルトラウテ:増田弥生 
シュヴェルトライテ:小野美咲
ヘルムヴィーゲ:日比野 幸 
ジークルーネ:松浦 麗
グリムゲルデ:金子美香 
ロスヴァイセ:田村由貴絵

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
協力:日本ワーグナー協会
芸術監督:飯守 泰次郎

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2016/10/09

【バレエ】イタリアらしい男女の祝祭「ドン・キホーテ」ミラノ・スカラ座バレエ団

 ちょっとブログを書く時間がなくて、だいぶ印象が薄れてしまいましたが、備忘録として書いておきます。公式サイトはこちら

 今回のミラノ・スカラ座バレエ団の来日公演は、「ドン・キホーテ」の一演目のみ。
 せっかくポリーナちゃんの日のチケットを取ったのに、また来日せんかった……weep。ご懐妊では仕方ないというか、おめでとうございますですが、春の「ジゼル」もチケットとったのに見損なっていたので、ちと悲しいです。
 ところでダンナは誰だ?ぐぐってみたけどよくわからん。

 で、かわりにキトリを踊ったのは、シュツットガルト・バレエ団のエリサ・バデネス。昨年の来日公演で、ぽん太が日程優先で取った「ロミジュリ」と「オネーギン」が、両方ともバデネスでした。ポリーナと違って縁があるのね。
 レスリングの吉田沙保里にちょっと似た、明るい笑顔のお姉さん。演技力が抜群で、踊りも悪くはありませんでしたが、をゝっと思わず身を乗り出すようなところは、まだありませんでした。
 なんとスペインのバレンシア出身とのこと。同じスペイン生まれでも、タマラ・ロホはどっしりしていて厳しさがあり、スペインのおふくろさんという感じでいかにもバジルを尻に敷きそうですが、バデネスは恋多く可愛らしい娘さん風。振り付けではありますが、踊りの途中でスカートをひらつかせて、神父さんが目を覆ったりしてました。

 ところで今回のドンキはヌレエフの振り付け。ヌレエフ版のドンキは以前にパリ・オペラ座の来日公演で観てますが、あまり覚えてません。
 夏の「エトワール・ガラ」で観たヌレエフ版の「くるみ割り人形」では、なんか不自然な動きが目についたのですが、今回はそういう違和感はありませんでした。
 キトリとバジルだけでなく、コールドも含めて、恋する男女の華やかな踊りが次々と繰り広げられる、祝祭的な舞台でした。スペインというよりも、イタリアそのもの。これがヌレエフの振付けによるのか、スカラ座バレエ団の個性なのか、ぽん太にはよくわからなかったのですが、プログラムによればこの版は、1980年にヌレエフがスカラ座バレエ団のために振り付けたものとのこと。おそらくヌレエフとスカラ座が一体となって生み出したものなのでしょう。

 バジルの振り付けはちょっと地味目で、3幕のソロも「こんなもんかな〜」という感じ。1幕では細かな足技が多かったですが、今回のバジルは足さばきなら右に出る者がいないサラファーノフでしたので、とても面白く観れました。

ミラノ・スカラ座バレエ団2016年日本公演
「ドン・キホーテ」

2016年9月22日
東京文化会館

◆主な配役◆

ドン・キホーテ:ジュゼッペ・コンテ
サンチョ・パンサ(従者):ジャンルーカ・スキアヴォーニ
ロレンツォ(宿屋の主人):マシュー・エンディコット

キトリ(ロレンツォの娘)/ドルシネア:エリサ・バデネス
バジル:レオニード・サラファーノフ

ガマーシュ(裕福な貴族):リッカルド・マッシミ
二人のキトリの友人:デニース・ガッツォ、ルーシーメイ・ディ・ステファノ
街の踊り子:ヴィットリア・ヴァレリオ
エスパーダ(闘牛士):マルコ・アゴスティーノ
ドリアードの女王:ニコレッタ・マンニ
キューピッド:アントネッラ・アルバノ
ジプシー:アントニーノ・ステラ
二人のジプシー娘:エマヌエラ・モンタナーリ、フィリピーヌ・デ・セヴィン
ジプシーの王と女王:ルイジ・サルッジャ、ダニエラ・シィグリスト
ファンダンゴのソリスト:ヴィットリア・ヴァレリオ、マルコ・アゴスティーノ
花嫁の付き添い:ヴィルナ・トッピ
ほか、ミラノ・スカラ座バレエ団

指揮: デヴィッド・コールマン
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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