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2017/01/30

【オペラ】ラストは思わずうるうる「カルメン」新国立劇場

 このプロダクションの新国立の「カルメン」はこれで3度目。「まあ見とくか」みたいな感じで行ったのですが、とっても感動しました。素晴らしい舞台だった気がします。

 エレーナ・マクシモワは、容姿といい声質といいカルメンにぴったり。ほどほどにグラマーな体格で、ちょっとドスが利いた声。情熱的で奔放で、ちょっとすれっからしの雰囲気をみごとに歌い、演じてました。ぽん太は、新国立の「ウェルテル」でシャルロットを歌ったのを聞いているようです。
 最初の方で、後ろ手に縛られた状態でドン・ホセを籠絡しようとして、長椅子に座り、口を使ってスカートをたくし上げて脚を見せる演技には虚をつかれました。これまでもこんな演出あったかな?

 ドン・ホセのマッシモ・ジョルダーノはなかなかの男前。ぽん太は初めて聴きました。イタリア生まれとのことで、いかにもイタリアっぽい歌い方。嫌いではありませんが、フランス・オペラの「カルメン」では若干違和感もありました。彼もまた演技力抜群。

 この二人による闘牛場の前のラストシーンは圧巻でした。建物の陰からうつむいて現れたドン・ホセが姿は、カルメンへの愛に翻弄されて人生めちゃくちゃになり、すっかりやつれて、もう行っちゃってる感じ。危ないです。「僕はお前(カルメン)を救いに来たんだ。二人で幸せになろう」などと甘いメロディーで歌いますが、典型的なストーカーというか、自分勝手な言い草です。エスカミーリョを愛しているというカルメンの言葉に身悶えし、地面に巻かれた花を蹴散らします。感情が暴力的行動を引き起こし初めており、とっても危険。そして「お前を救いたい」という言葉が、だんだんと「言う通りにしないと殺すぞ」という色調を帯びてきます。「これほど脅してもか」と思わず本音をいうホセ。身の危険がせまっているのに、自分を偽ることをせず、しまいにはもらった指環を投げ返すカルメン。ラストシーン、ホセは舞台中央で観客の方を向き、ナイフの一撃を受けたカルメンは観客に背を向けて崩れ落ちて行きますが、まさに映画の一場面を見ているかのような迫真の演技でした。

 エスカミーリョのガボール・ブレッツは、以前にスカラ座の「ドン・カルロ」の修道士役を聴いてるはずですが、記憶になし。お目当ての「闘牛士の歌」は、なんか声があんまり出てなくて、ちょっとがっかりでした。でもその後では迫力あるバスを聴かせてくれていて、ちょっと不思議。闘牛士の歌は音程が合わなかったのかしらん。

 砂川涼子のミカエラが、声量も外国勢に引けを取らず、ミカエラの清楚さが出ていてとても素晴らしかったです。妻屋秀和がスニガ、星野淳のモラレスもいつもながらいい仕事。


 公演後に、芸術監督の飯守泰次郎さんによる、来シーズンのラインナップの説明会がありました。いつもながら、誠実で音楽愛に満ちた飯守さんのお話しでした。
 再演であっても、これまでよりも良い舞台にするために、キャストや演出などいろいろ努力や工夫をしているということを飯守さんはおっしゃっていて、今回の「カルメン」の舞台の素晴らしさの理由ががわかりました。
 「え〜日本人〜?」とパスするつもりだった「松風」にも行ってみたくなりました。ベルギー王立モネ劇場で初演されたサシャ・ヴァルツの演出が素晴らしいそうで、音楽・舞踊・声楽が一体となったコレオグラフィック・オペラだそうです。ベルギー王立モネ劇場と言えば、かつてベジャールの20世紀バレエ団の本拠地だったところ。これは見逃せません。
 最後の質問コーナーでは、飯守さんや劇場の人の本音(?)も聞けて興味深かったです。四面舞台を駆使した演出が減った理由としては、予算や、他の劇場とセットを融通できなくなることがあるそうです。また、ロシア・オペラの公演がないという質問に対しては、実は飯守さんは「ボリス・ゴドノフ」を提案したのだけど、言葉の問題や予算の関係で実現できなかったとのことでした。
 


オペラ「カルメン」/ジョルジュ・ビゼー
Carmen / Georges BIZET
新国立劇場 オペラパレス
2017年1月22日

指揮:イヴ・アベル
演出:鵜山仁
美術:島次郎
衣裳:緒方規矩子
照明:沢田祐二
振付:石井潤
再演演出:澤田康子
舞台監督:斉藤美穂

カルメン:エレーナ・マクシモワ
ドン・ホセ:マッシモ・ジョルダーノ
エスカミーリョ:ガボール・ブレッツ
ミカエラ:砂川涼子
スニガ:妻屋秀和
モラレス:星野淳
ダンカイロ:北川辰彦
レメンダード:村上公太
フラスキータ:日比野幸
メルセデス:金子美香

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
ダンサー:新国立劇場バレエ団
管弦楽:東京交響楽団

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