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2017/02/09

【歌舞伎】(ネタバレあり)しのぶちゃんとたかちゃん大活躍「座頭市」六本木歌舞伎

 このブログにはネタバレが含まれております。ご注意下さい。

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 前回、宮藤官九郎の「地球投五郎」が衝撃的だった六本木歌舞伎、今回も行って参りました。公式サイトはこちら、歌舞伎美人のページはこちらです。

 う〜ん、前回のクドカンほどの面白さはなかったけど、まあまあ悪くないというところで、中の上といった感じか。
 セットや衣装はイマドキ風だったけど、基本的には「歌舞伎」で、いがいとおとなしめな演出。ちょっとコアな大人向けエンターテイメント歌舞伎という感じでしょうか。

 幕があくと、暗闇の中に、白いTシャツにスウェットパンツのようないでたちの海老蔵がフラッシュで一瞬浮かび上がります。次にライトがつくと本水の雨のなかの立ち回り。カフェや映画館のある江戸時代の六本木(笑)のセットも、なかなかダークな雰囲気がよく、ツカミは好調でした。

 ただ、あんまりストーリーがないというか、前半は、座頭市が賭場でいかさまを見破ったり、花魁とちょめちょめになるといった、座頭市にはおなじみのエピソードに、客いじりと楽屋落ちで終わりました。はたして後半はどのようなストーリーが展開するかと思っていたら、賭場をしきっていたヤクザと対決になるという極めてオーソドックスなお話し。しかし突然、薄霧大夫が実は座頭市の幼なじみかなんか(?)だったということになり(このあたりぽん太には、見ててよくわかりませんでした)、マイク片手に歌まで唱ったりし、ヤクザの用心棒の風賀清志郎が実は鵺(ヌエ)だったのか、それとも新たに鵺が出て来たのかよくわからないまま鵺を退治し、なにかとうざったい新聞記者を思いっきり袈裟斬りにしとめるなど、歌舞伎らしいぶっ飛んだ展開に。最後に、盲目の娘に座頭市がお金を渡して故郷に帰るようにいうが、娘は日本一の花魁になると言って去ってゆき、いやな渡世だな〜で終わります。
 ってことで、あまりストーリー的な面白さはありませんでした。前半、花道で、海老蔵が突然ぐわ〜って苦しみだすと一瞬目が開き、その後またぐわ〜って苦しむと元に戻るという部分は、いったい何の意味があるのかわかりませんでしたが、海老蔵の演技もあいまって、心に残るシーンでした。

 海老蔵が客席を巡ってお客さんをいじったり、「築地に大ナマズが出たそうで、石原も来るとか」といった時事ネタを入れて笑いを取ってました。幕間には役者さんがホワイエや通路を歩いたり、後半の始まりにお客さんを巻き込んでのラップがあったり、しのぶちゃんの歌があったり、楽屋落ちがあったりと、サービス満点ではありましたが、「いいから舞台そのもので楽しませてちょうだい」という気もしました。

 せっかく江戸時代の六本木を舞台にしたのですから、もっと現代的な閉塞感、絶望感とつながるような脚本でもよかったのかも。

 音楽は、基本は歌舞伎の邦楽で、それに津軽三味線やドラムが入ってような気がします。ふだんは真面目に三味線を弾いている人が、ラップを歌う変なおじさんみたいな役で出て来たり。
 舞台の両側にはスピーカーが置いてありましたが、演奏は全部生で、音楽とセリフをマイクでひろって流してました。

 最初に座頭市が薪割りの手伝いをしてあげた盲目の少女が、実は座頭市が盲目だということを最初から見抜いていたというのがラストのちょっとしたオチになってて、盲目だとわかった理由は、「座頭市が三日月なのに満月と言っていた、女性は月のもので月の形がわかるのだ」というものでしたが、これは江戸時代という設定だとちょっと変に思いました。
 江戸時代は太陽太陰暦を使っていたので、1ヶ月は30日で、1日が新月、そのあと三日月になって、8日が半月、15日が満月、だんだん上弦の月となって、翌月の1日が新月と決まってました。だから江戸時代の人は、日付と月の満ち欠けはリンクしていたはず。月の形がわからないというのは、今日が何日かわからないということになり、絶対にありえません。
 ま、まあ、演劇ですからどうでもいいんですけど……。

 ストーリーが単純な分、役者の魅力や力量で見せるという芝居になっていて、海老蔵や寺島しのぶの演技を堪能できました。

 海老蔵は、なかなか良かったです。歌舞伎メイクなしで、様々な表情を見せてくれました。いろいろと経験して、人間として成長してるんでしょうか。切なさや虚無感、怒りなどが伝わってきました。お地蔵さんを哀しそうになでていて、ふと顔に笑みがうかんだと思ったら、持っていた花をお供えしようと思いついたからだったりするあたり、細かく表現されてました。ただ、なんでふところに生花を持ち歩いていたのかはわかりませんが…。立ち回りはスピーディーで見事でした。封印された目力を使っての見得も迫力満点。

 寺島しのぶ、さすがにセリフがうまい。早変わりや引き抜き、歌や海老ぞりなども、ご苦労様でした。だけど、おすずの演技はあんまり盲目に見えなかったです。花魁の白塗りでゆったり構えている表情など、とうちゃんそっくりでした。
 でも、実力派俳優のしのぶちゃん、「女が歌舞伎に挑戦しました」だけではちょっともったいない気もしました。最後の座頭市とおすずの場面など、もっと演劇風な長ゼリフでも聞かせて欲しかったです。

 右團次いつものがらうまい、右之助が気持ち悪い宿の親父を好演。嫌なやつをやらせたら右に出る物がいない市蔵がヤクザの親玉。他に九團次、廣松。
 
 

六本木歌舞伎 第二弾
「座頭市」

EXシアター六本木
2017年2月8日

脚本  リリー・フランキー
演出  三池崇史

市         市川海老蔵
風賀清志郎     市川右團次
文菊堂春吉     市川九團次
遊女貞       大谷廣松
六樽組権三     片岡市蔵
乃木坂屋弥太郎   市川右之助
薄霧太夫/おすず  寺島しのぶ

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