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2017年9月の3件の記事

2017/09/07

【演劇】痛ましいアル中共依存夫婦がつかむハッピーエンド 「喝采」加藤健一事務所

 以前に牛先生がぽん太に勧めていた「加藤健一事務所」の芝居を観てきました。演目は「喝采」です。

 下北沢の本多劇場に足を踏みいれたのは何十年ぶりでしょうか。なつかし〜な〜。こんなに小さかったっけ。ぽん太が大きくなったのか? んなわけない

 ちょっとふっくらした竹下景子さんを久々に見れて嬉しかったです。加藤健一以下、みな芝居がうまいですね〜。大和田伸也のバスのきいた声も、芝居に彩りを与えてました。

 上演時間は、休憩15分をはさんで2時間40分の長丁場。
 前半は、かつての名優・現在はアル中のダメダメ男のフランク(加藤健一)と、なんとか彼が自信を取り戻して立ち直れるようにと甲斐甲斐しく尽くす妻のジョージー、フランクの嘘を信じ込んでジョージーがフランクをダメにしていると思い込んでいる演出家のバーニーの、3人のやりとりが中心。
 なんか典型的なアル中の家庭というか、教科書に載っているようなどろどろの共依存の関係を見ているようで、精神科医のぽん太にはちょっと疎ましかったです。なんか、休日にまでこんなの見たくない。

 後半はちょっと笑いも織り込んだりして、最後はフランクがブロードウェイで喝采をあびるというハッピーエンド。
 まあ、結果としてうまくいったからいいけど、普通はフランクとジョージーはずるずると滑り落ちていって、最後には離婚というパターンだよな〜などと思いました。

 しかし舞台としてはとっても楽しめました。繰り返しになるけど一人ひとりの俳優さんの演技が素晴らしかったです。ぽん太が普段見ている野田秀樹の芝居とはまったく異なるセリフ劇で、世の中にはいろいろな芸術活動をしているひとたちがいて、それぞれにファンがついてるんだな〜などと思いました。

 ストーリーとしては、前半はバーニーの視点からジョージーを悪者に描いておいて、後半で「実ハ」にしたら盛り上がるんじゃないかと思いましたが、歌舞伎の見過ぎか?
 実際は、フランクのために尽くしているのに、フランクの嘘を信じたバーニーに悪者扱いされるジョージーの気持ちが見所になるんでしょうけど、だとするとジョージー役の竹下景子はちょっと優しすぎたか。もっと暗さもある女優さんがよかったのかもしれません。

 ぽん太はジョージーの振る舞いを、フランクとの「共依存」における「アル中の妻」と感じたのですが、にゃん子から見ると、「夫のために献身的に尽くす妻のおかげで、ようやく幸せを得られた」と受け止めているようでした。見る人によって受け止め方はさまざまですね。

 ぽん太としては、演劇において「共依存」が描かれていることに興味を感じたので、作者のクリフォード・オデッツについてウィキペディアで調べて見ると、クリフォード・オデッツ(Clifford Odets、1906年 - 1963年)は、アメリカ合衆国のユダヤ人劇作家。スタニフラフスキー・システムを取り入れた進歩的俳優集団のグループ・シアターに参加。1934年にはアメリカ共産党に加わり、劇作家に転じて社会主義的の作品を発表。
 をを、なんとフランシス・ファーマーと一時不倫関係にあったと書いている。映画『女優フランシス』の主人公の、精神障害になってロボトミーをされたとかされてないとかいう女優ですね。年代を見比べると、精神医療施設に強制収容される以前のようですね。

 こんかいの舞台の原作は、1950年に初演されたThe Country Girl。1954年に同じタイトルで映画化され、グレイス・ケリーがジョージーを演じて評判になったようです。この映画が日本で公開された時のタイトルが「喝采」だったんですね。

 ところで、アルコール依存症の医療の歴史ってどうなってるんでしょう。共依存やアルコール依存者の妻といった概念はいつ頃確立したのでしょうか。ぽん太は残念ながらよく知りません。ぐぐってみると、AA(アルコール・アノニマス)は1935年にアメリカでできたようですね。そのうちアルコール依存症治療の歴史をみちくさしてみたいと思います。

 そういえばフランシス・ファーマーは、オデッツと不倫関係にあった少し後から、ひょとしたら同じ頃から、酒に溺れていったわけで、「喝采」が作られた1950年は奇しくもファーマーが精神医療施設から7年ぶりに退院した年。この劇のテーマとなんらかの関係があるかもしれません。
 


加藤健一事務所 vol.99
「喝采」

「喝采」加藤健一事務所公演情報

作:クリフォード・オデッツ
訳:小田島恒志、小田島則子
演出:松本祐子

下北沢・本多劇場

加藤健一
竹下景子
浅野雅博(文学座)
林次樹(Pカンパニー)
寺田みなみ
山路和宏(青年座)
大和田伸也

美術 乘峯雅寛
照明 古宮俊昭
音響 青蔭佳代
衣裳 竹原典子
ヘアメイク 馮啓孝
舞台監督 笹原久義

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2017/09/06

【温泉】下部温泉 大市館裕貴屋(山梨県)

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 8月末、ぽん太とにゃん子は、山梨県は下部温泉にある裕貴屋さんに泊まってきました。こちらが公式サイトです。

 身延さんの宮大工が建てたという、登録有形文化財に指定された歴史ある建物をリフォームして、レトロモダンな空間を作り上げております。温泉もすごい!下部温泉で自家源泉を持っている宿は3軒しかなく、裕貴屋がそのひとつ。しかも浴槽の下から自然湧出しているという珍しいもの。半地下の浴室も雰囲気があります。地元の素材を使ったお料理も、品数が多くて美味しいです。ぽん太の評価は堂々の5点ですな。

 

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 これがその建物。木造三階建です。実に美しいですな。いつ頃建てられたものでしょう。公式サイトを見ても書いてありません。創業明治8年と書いてありますが、そこまで古くはないでしょう。
 登録有形文化財に登録されているとうことなので、調べて見るとありました、ありました。平成30年3月9日に登録されております。文化庁の報道発表資料の中の、一覧表(PDF)の4ページに大市館が出てますが、建築年代は昭和8年頃になってます。

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 内部はこのようにおしゃれなレトロモダン。

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お部屋はなんと、正面二階の三部屋をつなげた客室をとってくれました。すごい広々。

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 さて温泉は、暗い階段を下に降りていきます。

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 じゃじゃ〜ん。
 あれ?このお風呂、前に入ったじゃん。
 ようやくここが、昔泊まった大市館だと気がついたぽん太でした。

 大市館に泊まったのは、たしか2006年。子供はダメ、男だけの団体もダメ、というちょっと神経質な宿でしたが、なかなかいい宿でした。が、2007年9月に突然長期休業に入りました。しかし2008年10月に裕貴屋として再開業になったとのこと。

 さて、細長〜い浴槽ですが、底のスノコの下から源泉が自然湧出していて、ときおりポコポコと泡が出てきたりします。泉温は30.8度。入るときは冷たいですが、じっと浸かっているとなぜか体が温まってきます。

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 温泉分析書です。泉温30.8度。pHは8.56とアルカリ性。泉質は、アルカリ性単純温泉です。

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 こちらは暖かい内湯。

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 温泉分析書です。2005年にボーリングした下部温泉の新源泉ですね。泉温49.4度と暖かいです。泉質は、アルカリ性単純硫黄温泉。

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 貸切露天風呂も二つあります。

 

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 夕食はなんと3階建て。

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 食べるときは広げます。品数が多くて美味しいです。

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 朝食も美味しゅうございました。

 

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 レトロな下部温泉の町並みを散策。祠と、火の見櫓。

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 熊野大神社です。

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 ミネラルウォーター信玄の工場。

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 しぶい坂道。裕貴屋と源泉館のあいだですね。

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 ひなびた温泉街。

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 帰りにリゾナーレ八ヶ岳に寄りました。

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2017/09/05

【仏像】重文の吉祥天女坐像・持国天・毘沙門天 福光園寺(山梨県御坂町)

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山梨県は甲府盆地にある福光園寺に行ってきました。ここには二天を従えた重要文化財の吉祥天さまがいらっしゃいます。

 

【博物館名】真言宗智山派 大野山 福光園寺(ふっこうおんじ)
【公式サイト】あるみたいだけど、現在アクセス禁止になってます。
http://fukkouonji.jp
 かわりに笛吹市観光協会のページにリンクしておきます。
http://fuefuki-kanko.jp/detail/index_21.html
【住所】山梨県笛吹市御坂町大野寺2027
【拝観日】2017年8月31日
【拝観】要事前連絡。志納。
【仏像】◎重文 ●県指定、○市指定
◎吉祥天女坐像 檜 寄木造 玉眼 像高108.8cm 鎌倉時代
◎毘沙門天像 檜 寄木造 玉眼 像高118.7cm 鎌倉時代
◎持国天像 檜 寄木造 玉眼 像高116.8cm 鎌倉時代
●香王観音立像 けやき 一木造 平安後期
 本尊不動明王 室町時代

 

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 鐘楼門です。門の上が鐘楼になってるんですね。ちょっと珍しい気がします。

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 鐘楼門をくぐると、本堂と、右には収蔵庫。

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  まずは収蔵庫から。なかに入ると、真ん中で吉祥天女さまが笑っており、向かって右に毘沙門天、左に持国天が睨んでおります。

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  吉祥天さまは、珍しい座ったお姿。結跏趺坐で、背筋を伸ばして、きちんと座ってます。両腕を肘から曲げ、胸の高さで手のひらを上に向けてます。左手には宝珠が乗ってます。肘をゆったりとやや開き気味にしており、空間バランスが見事です。お顔は、彩色が残っていることもあり、写真だとちょっとマンガチックに見えますが、実物ではとってもきれいでお優しいお顔です。お口の紅も可愛らしいです。全体にややふっくらとして母性を感じますね。

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 持国天です。そんな怖い顔しなくたっていいじゃん。甲冑の描写も細かく正確。プロポーションも整っていて、あまり動きは感じませんが、迫力ある像です。

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 毘沙門天です。こちらは若者っぽい。怒りは内に秘め、厳しい表情で見つめています。

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 続いて観音堂に行き、香王観音立像を拝観。平安後期とのことですが、これはかなり朽ちてしまってます。左腕や右足も失われています。右袖には翻波式の衣紋が残っています。

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 自分の身を捨てて、衆生を守ってきてくれた観音様です。

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 最後に本堂です。ご本尊の不動無用王が祀られている厨子が、なかなか立派です。

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 こちらが本尊の不動明王。小さめのぞうながら、どっしりとして、迫力があります。どの時代のものでしょうか。

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 境内に石仏がいっぱいありました。こちらは如意輪観音。

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 こちらは庚申信仰に関連する青面金剛ですね。

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