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2018/03/26

【仏像】渡海文殊ほか鎌倉時代の仏さまがいっぱい・西大寺@奈良市

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 東大寺は知ってても、西大寺(さいだいじ)は知らない人が多いのでは?
 名前の通り、奈良の西部にある西大寺。奈良時代創建の真言律宗の総本山ですが、その後衰退し、鎌倉時代に叡尊によって復興されました。ということで、奈良のお寺でありながら、鎌倉時代の仏像がいっぱいあります。

 ぽん太とにゃん子は、昨年春に三井記念美術館で行われた「奈良西大寺展」を見ているのですが、狸と猫だけにあんまり覚えてないのと、美術館ではなくお寺で見たいという気持ちから、訪ねてみることにしました。実際、西大寺展に出品されていなかった仏像をいくつも見ることができました。

 本堂、四王堂、愛染堂、聚宝館の四つのお堂がありますが、残念ながら聚宝館は拝観期間外。残りの三つのお堂を拝観いたしました。

【寺院名】真言律宗総本山 西大寺(さいだいじ)
【公式サイト】http://saidaiji.or.jp
【住所】奈良県奈良市西大寺芝町1-1-5
【拝観日】2018年3月6日
【拝観】四つの建物があり、拝観時間が若干異なります。聚宝館は開館期間が決まってます。秘仏愛染明王は期間限定の公開。料金は四堂全部なら1000円。有料駐車場有り。
【仏像】
本堂
  本尊釈迦如来立像 鎌倉時代 重文
  文殊菩薩騎獅像及び四侍者像 鎌倉時代 重文
  弥勒菩薩坐像 鎌倉時代 市指定
  弘法大師坐像 江戸時代
  興正菩薩坐像 江戸時代
四王堂
  十一面観音立像 平安後期 重文
  四天王立像(金銅四天王邪鬼) 増長天の邪気が天平時代 他は鎌倉〜室町 重文
愛染堂
  愛染明王坐像(お前立ち)
  興正菩薩寿像 鎌倉時代 国宝

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 まず本堂から。この建物自体が、江戸中期に建てられた国の重要文化財です。

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 中央にはご本尊の釈迦如来さまがいらっしゃいます(以下、この記事の仏像の写真は、すべてWikipediaのパブリックドメインのものです)。もちろん「奈良西大寺展」には来てませんでした。
 一見してわかる「清涼寺式釈迦像」ですね。縄を巻いたような頭髪、両肩を覆う衣、前面の同心円状の衣の襞などが特徴です。
 インドに仏陀がまだ生きていた頃にその姿を刻んだ像がありました。その像はのちに中国に伝わり、10世紀後半にそれを模刻したものが日本に請来され、京都の清涼寺に祀られました。この像は「生きているお釈迦様」として信仰を集めたそうで、なんと体内には内臓の模型が収められていました。
 鎌倉時代になって、この釈迦像を模刻したものが日本各地に100体近く作られ、「清涼寺式釈迦像」と呼ばれております。この清涼寺式釈迦像の流行に大きな影響を与えたのが、上で触れた西大寺の中興の祖の叡尊です。叡尊は、仏教をお釈迦様が生きていた時代にまで戻し、お釈迦様自身を崇拝することが大切だと考えたため、清涼寺式釈迦像を本尊としたと言われております(清涼寺式を中心とする特定の模刻像の流行(1)。これ、高校生の論文ですね。お見事です)。
 運慶・快慶が活躍した鎌倉時代に、このような復古調の模刻像を本尊としたのには、叡尊の深い深い思いがあったんですね。

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 次は、ご本尊の向かって左に安置されている、文殊菩薩騎獅像及び四侍者像。いわゆる渡海文殊の形式です。「奈良西大寺展」には、文殊菩薩・善財童子・最勝老人が来てました。ということで優填王(うでんおう)と、仏陀波利三蔵(ぶっだばりさんぞう)には初めてお目にかかりました。
 これらは鎌倉時代らしい素晴らしい仏様です。文殊様が持っている蓮の葉が閉じているのか、チューリップみたいに見えるのが不思議です。獅子がとても生き生きしております。つぶらな瞳の善財童子や、口をへの字に結んで体を弓なりに曲げた優填王など、キャラが立ってます。

 向かって右には、弥勒菩薩坐像。写真は例えばこちらのサイトの真ん中辺にあります。丈六の大きな坐像で、顔が大きく、どっしりしております。

 他には江戸時代の弘法大師像や、興正菩薩坐像がありました。


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 次は四王堂です。奈良時代に西大寺が創建されるきっかけとなった金銅の四天王を祀るためのお堂ですが、現在のものは江戸時代に再建されたものです。

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 内部の四天王も、残念ながら当初のものは残っておらず、後年に再興されたもの。持国天・増長天・広目天は銅像で、多聞天像は左足の膝から下を除き木造。増長天が踏みしめている邪鬼だけが、天平時代の創建当初のものだそうです。
 ぽん太は銅像の四天王は初めて見ましたが、やはり重量感があります。

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 中央には丈六よりも大きな十一面観音様がおられます。下垂した右手に錫杖を持ち、左手には蓮の華瓶。いわゆる長谷寺式の十一面観音像ですね。平安後期の作で、元々は法勝寺十一面堂の本尊であったものを、正応2年(1289年)に四王堂に移したそうです。


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 最後は愛染堂です。
 秘仏の愛染明王は公開されておりませんでしたが、「奈良西大寺展」でお目にかかりました。今回は前立ちの愛染明王さまにご挨拶。

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 興正菩薩寿像です。興正菩薩=叡尊ですね。素晴らしい写実彫刻ですが、本人が生きている間に長寿を願って造られた寿像(じゅぞう)であることが、特色だそうです。国宝ですね。

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