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2018/03/31

【展覧会】葛井寺の千手観音、道明寺の十一面観音など・特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」東京国立博物館

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 東京国立博物館で開催された「仁和寺と御室派のみほとけ」展は、仏像ファンにとって、なかなか見応えのある展覧会でした。
 特に、普通でもなかなか見れない秘仏がいくつも来てました。いずれも数年に1度、あるいは年に数日しか公開されていないものばかり。ブリューゲルでもベラスケスでも、所蔵している美術館に行けば見ることができますが、これらの秘仏はお寺まで出かけたとしても、なかなか見ることができません。
 また、普段なら修行僧しか入れない仁和寺の観音堂の内部が、仏像や壁画にいたるまで再現され、写真撮影オーケーになってました(冒頭の写真)。その迫力に圧倒されそうになります。

 今回ぽん太とにゃん子が見たかったのは、大阪は葛井寺(ふじいでら)の国宝・千手観音菩薩坐像。お写真は例えばこちら(葛井寺|サライ公式サイト)。毎月18日と、8月9日しか見ることができない秘仏です。
 「千手」観音といっても、実際は42本の手で表現されていることが多いのですが、この仏さまは千本の手を持っております。ってゆ〜か、実際に数えてみたら1041本で、なんと千本以上の手をお持ちだったそうです。
 千本近い手を持つ千手観音を「真数千手」などと呼ぶようで、代表作は唐招提寺の千手観音(現存953本)ですね。ぽん太は他に、福井県小浜市の妙楽寺や(本数不明)、京都府京田辺市の寿宝寺の千手観音を拝観したことがあります(ともに正確な手の本数は不明です)。
 全国に真数千手がどれだけあるのかは定かではありませんが、こちらのサイト(和顔愛語 古寺と古仏を訪ねて)にかなりのものがリストアップされてます。
 で、葛井寺の千手観音に話を戻すと、写真で見るほどのワラワラ感はありません。そして手ばかりに気を取られがちですが、お顔がとてもよい表情をしております。正面から見ると、ちょっと気の小さいお父さんのようですが、(仏さまから見て)斜め左から見ると、なかなかハンサムでお優しいお顔です。東大寺法華堂の日光・月光菩薩(現在は東大寺ミュージアムにあります)との類似性が指摘されているそうです。
 お身体は、千本の手のボリュームに対抗するためか、やや太めでがっしりとしており、上体をやや前に倒してます。
 さらに今回は仏様の後ろ側に回りこめるので、十一面のうちのにこやかな大笑面や、千本の手が付いている様子も見ることができました。

 もう一つぽん太とにゃん子が見たかったのが、大阪は道明寺の国宝・十一面観音菩薩さまです。お写真はたとえばこちら(まるわかり天神縁起)。こちらも毎月18日と25日にしかご開帳していない秘仏です。菅原道真が自ら刻んだという言い伝えがあるそうです。
 頭上面から台座の蓮肉まですべてを一木から彫り出したという一木造り。素材はカヤで、ほとんど彩色せずに木肌の美しさを見せております。お顔や体はふっくらとして肉付きがよいです。正面から見るとウエストがしまってますが、横から見るとお腹の前後の幅が大きいです。衣紋も彫りが深く、ちょっとマニエリスム的な迫力があります。
 国宝の十一面観音は日本に7躯ありますが(リストは例えばこちらまったりと和風)、これでぽん太は、室生寺と六波羅蜜寺をのぞいて5躯を拝観したことになります。

 仁和寺の秘仏本尊・薬師如来坐像も出品されてました。お写真は例えばこちら(金閣寺・御朱印)。像高12センチと小さいですが、白檀を細かく彫んであり、素地の上に精緻な截金(きりかね)文様(細かく切った金箔を貼って描いた模様)が施されております。光背や台座に、日光・月光菩薩や七仏薬師、十二神将まで刻まれてます。
 仏さまが小さいこともあって、立ち止まらないでくださいのシャンシャン状態でした。
 実はこの仏さま、昨年の京都国立博物館の「国宝」展にも出ていて、そこではゆっくりと見ることができました。その時は金印がシャンシャン状態でした。

 同じく仁和寺の阿弥陀三尊像(国宝)は、仁和寺創建当時のご本尊だったと言われております。お写真は、例えばこちらのサイト(仏像リンク)の真ん中あたりにあります。
 ボリューム豊かで顔もぱんぱん。おちょぼ口で、なんか可愛らしいです。脇侍の観音・勢至菩薩も、同じようなお顔で体もぽっちゃり。見慣れたお姿とはだいぶ違います。両脇寺が立像で、阿弥陀如来が坐像なのが珍しいですが、奈良時代以来の伝統とのこと。お座りになって定印を結んでいるお姿の阿弥陀如来としては、現存最古のものだそうです。ということはこのお姿は、われわれには見慣れた姿ですが、当時は最新のものだったということですね。

 そのほか様々な仏さまがいらっしゃいましたが、あまりに多すぎるので感想をいちいち書くのは差し控えたいと思います。
 


特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」

東京国立博物館
会期:2018年1月16日~ 2018年3月11日
訪問日:2018年2月28日

特設サイト
東京国立博物館のサイト

作品リスト (pdf: 987.0K)

出展された仏像のリスト

9  国宝 薬師如来坐像 円勢・長円作 1軀 平安時代・康和5年(1103) 京都・仁和寺
139   覚深法親王像   1幅 江戸時代・17世紀 京都・仁和寺
140   顕證坐像   1軀 江戸時代・17世紀 京都・仁和寺
147   千手観音菩薩立像 1軀 江戸時代・17世紀 京都・仁和寺
148   降三世明王立像   1軀 江戸時代・17世紀 京都・仁和寺
149   不動明王立像   1軀 江戸時代・17世紀 京都・仁和寺
150   二十八部衆立像   28軀 江戸時代・17世紀 京都・仁和寺
151   風神・雷神立像   2軀 江戸時代・17世紀 京都・仁和寺
152 国宝 阿弥陀如来坐像および両脇侍立像  3軀 平安時代・仁和4年(888) 京都・仁和寺
153 重文 吉祥天立像   1軀 平安時代・10世紀 京都・仁和寺
154 重文 愛染明王坐像   1軀 平安時代・12世紀 京都・仁和寺
155 重文 文殊菩薩坐像   1軀 鎌倉時代・13世紀 京都・仁和寺
156 重文 悉達太子坐像 院智作 1軀 鎌倉時代・建長4年(1252) 京都・仁和寺
157 重文 釈迦如来立像   1軀 鎌倉時代・13世紀 宮城・龍寶寺
158   菩薩坐像   1軀 奈良時代・8世紀 神奈川・龍華寺(神奈川県立金沢文庫管理)
159 重文 大日如来坐像   1軀 平安時代・10世紀 三重・蓮光院
160 重文 降三世明王立像   1軀 平安時代・11世紀 福井・明通寺
161 重文 深沙大将立像   1軀 平安時代・11世紀 福井・明通寺
162 重文 馬頭観音菩薩坐像   1軀 鎌倉時代・13世紀 福井・中山寺
163 重文 十一面観音菩薩立像   1軀 平安時代・10世紀 京都・遍照寺
164 重文 五智如来坐像   5軀 平安時代・12世紀 大阪・金剛寺
165 重文 大日如来坐像   1軀 平安~鎌倉時代・12世紀 大阪・金剛寺
166 国宝 十一面観音菩薩立像   1軀 平安時代・8~9世紀 大阪・道明寺
167 国宝 千手観音菩薩坐像   1軀 奈良時代・8世紀 大阪・葛井寺 2/14~
168 重文 如意輪観音菩薩坐像   1軀 平安時代・10世紀 兵庫・神呪寺
169 重文 不動明王坐像   1軀 平安時代・10世紀 広島・大聖院
170 重文 千手観音菩薩坐像   1軀 平安時代・10世紀 香川・屋島寺
171 重文 八幡神本地仏坐像   3軀 平安時代・11世紀 香川・長勝寺
172 重文 千手観音菩薩坐像 経尋作 1軀 平安時代・12世紀 徳島・雲辺寺
173 重文 毘沙門天立像 慶尊作 1軀 平安時代・寿永3年(1184) 徳島・雲辺寺
174   不動明王立像 慶尊作 1軀 平安時代・12世紀 徳島・雲辺寺

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