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2018/05/18

【仏像】奈良から平安初期の薬師如来の変遷がわかります。「名作誕生-つながる日本美術」東京・国立博物館

 文楽を見た帰りに寄ったため、入館したのが4時過ぎ。閉館は5時だったので、仏像だけゆっくり見て、あとは駆け足の鑑賞となりました。
 音声ガイドのナレーションがなんと壇蜜さんだったので、ひょっとしたらセクシー解説なんじゃないかと思ってつい借りそうになりましたが、観仏に色欲は禁物と、あきらめました。
 今回の展覧会は、「名作誕生-つながる日本美術」と銘打っており、有名作品がどのような背景で生まれ、どのように受け継がれていったかを示すものです。第1章「祈りをつなぐ」の1「木の祈り」では、国宝の元興寺薬師如来立像(8〜9世紀)を中心に、8世紀に中国で作られた仏像に始まり、鑑真が中国から連れて来た仏師によるもの、それを元に日本人が作ったもの、そして9世紀になって日本的な様式が確立していくという流れを見てとることができました。
 
 仏像は11点が出品されており、国宝が2点で、残りのすべても重要文化財。ちょっと見に行けないところや、行っても見れない仏様などもあり、なかなかのラインアップでした。

 山口県、神福寺の十一面観音菩薩立像は、像高45cmと小さめのですが、一木造で、深く細かく掘られています。お顔や頭上面、指先が失われているのは残念です。唐代後期に中国で作られたものだそうで、胴長のプロポーションが外国風です。秘仏で、通常は30年に1度のご開帳。

 道明寺の十一面観音というと、国宝のそれが有名ですが、これは「試みの観音」と呼ばれる重要文化財の方です。しかし、国宝は月1回ご開帳されるに対し、重文は普段はご開帳されておりません。そういう意味では、こちらのほうが貴重かもしれません。
 「試みの観音」ということは、菅原道真が、国宝の十一面観音を彫る前に、試しに彫ったものということでしょうか。胴長短足で大きな顔、切れ長の目。小さいながらもなんか迫ってくるものがある仏様です。

 唐招提寺の伝薬師如来立像は、ほぼ等身大の一木造。どっしりとボリューム感があり、特に太ももあたりがすごいです。衣紋も特にお腹のあたりが深く密に彫り込まれています。両腕は欠けております。鑑真に伴われて日本に来た仏師の作と考えれているそうです。

 同じく唐招提寺の伝衆宝王菩薩立像は、上と同じく唐招提寺の旧講堂に安置されていた仏さま。

 元興寺の薬師如来立像は「国宝」です。奈良国立博物館に寄託されており、そちらで拝観することができます。体の雰囲気は、唐招提寺の伝薬師如来立像と似ておりますが、衣紋に変化がつけられていたり、彫りもやや浅いなど、ちょっと日本風になってきてます。おおらかさを残す体に比べ、顔は小さめで表情も厳しいです。これって、頭だけ後からつけたんじゃないの?などとぽん太は思ってしまいますが、こういうものだそうです。
 
 奈良県笠区の薬師如来立像は、お顔がちょっとアレ。頬から喉がでっぶりと肉付きよく、目つきも怖いです。お体は上の元興寺に似てますが、さらに衣紋は写実的となり、流れが自然になってきてます。体のバランスも良くなってます。

 京都・阿弥陀寺(京都国立博物館に寄託?)の薬師如来立像は、1m足らずの大きさですが、ぎゅっと凝縮されたような充実した仏様。体つきもどっしりしており、大きめの角ばったお顔も、目を吊り上げて怖い表情。いわゆる翻波式の衣紋も美しくかつダイナミックです。

 大阪の孝恩寺の薬師如来立像は、等身大の仏様。衣服や、衣紋の流れは、これまでの仏様と似ていますが、すらりと背が高いプロポーションが特徴か。背が高いついでに、頭髪、特に肉髻が盛り上がっていて、顔が小さく、しかも下の方にキュッと集まってます。気の弱いおばちゃんみたいな表情。威厳や威圧感はありません。

 兵庫県は淡路島の成相寺の薬師如来は、ほぼ等身大の仏様ですが、これまた力強さが感じられます。堂々たる体、翻波式の衣紋、ほどよく角ばったお顔、切れ長でつり上がった目、キュッと引き締まった口。

 薬師如来の最後は京都・春光寺。これも平安初期らしいのびやかで力強い作品でした。

 次は部屋が変わって、壁には様々な普賢菩薩の絵が飾ってあり、中央に大倉集古館の国宝の普賢菩薩騎象像が安置されております。東京所蔵の唯一の国宝仏像彫刻です。
 こちらは12世紀の作で、前の部屋の8〜9世紀の仏様とは全然違い、非常にバランスのとれたお姿。お顔もちょっと丸みをおびて、お優しいです。
 枝葉末節ですが、象の玉たまとおち○ち○がちゃんと表現されていることに気がつきました。また、この像だけでなく、多くの像で象の鼻が平べったく表現されてますが、上唇がそのまま伸びていると誤解していることもわかりました。


 仏像以外にも様々な作品が展示されておりました。
 特に昨年、84年ぶりに発見されたという幻の雪舟、「倣夏珪山水図」も展示されていたのですが、下調べが不十分で見逃しました……。

創刊記念『國華』130周年・朝日新聞140周年 特別展「名作誕生-つながる日本美術」

東京国立博物館 平成館
2018年4月13日~ 2018年5月27日
(5/16に鑑賞)

特設サイト
国立博物館公式サイト

出品目録(pdf, 928.4K)


【出展された全仏像リスト】●国宝、◎重要文化財

◎伝薬師如来像 木造 像高160.2cm 奈良時代 8世紀 奈良・唐招提寺 画像
◎伝衆宝王菩薩立像 奈良時代 8世紀 奈良・唐招提寺 画像
◎十一面観音菩薩立像 一木造 像高45cm 中国・唐時代 8世紀 山口・神福時 画像
◎十一面観音菩薩立像 奈良時代・8世紀 大阪・道明寺 画像
●薬師如来立像 一木造 素地 像高164.8cm 奈良〜平安時代 8〜9世紀 奈良・元興寺 画像
◎薬師如来立像 平安時代 9世紀 奈良・笠区 画像
◎薬師如来立像 像高95.1cm 平安時代 9世紀 京都・阿弥陀寺 画像
◎薬師如来立像 一木造 黄土彩 像高158.4cm 平安時代 9世紀 大阪・孝恩寺 画像
◎薬師如来立像 榧 一木造 像高156cm 平安時代 9世紀 兵庫・成相寺 画像
◎薬師如来立像 榧 像高146.7cm 平安時代 9世紀 京都・春光寺 画像
●普賢菩薩騎象像 平安時代 12世紀 東京・大倉集古館 画像

【その他の主な出品作】
●天橋立図 雪舟等楊筆 室町時代 15世紀 東京国立博物館
 倣夏珪山水図 雪舟等楊筆 室町時代 15世紀 山口県立美術館寄託
◎仙人掌群鶏図襖 伊藤若冲筆 江戸時代 18世紀 大阪・西福寺
●洛中洛外図屏風(舟木本) 岩佐又兵衛筆 江戸時代 17世紀 東京国立博物館
 士庶花下遊楽図屏風 岩佐又兵衛筆 江戸時代 17世紀 富山・白河豚美術館
 見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代 17世紀 東京国立博物館

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